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薬制薬事の雑記

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薬制薬事の仕事をする中での備忘録のような何かです。
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2023年3月の記事一覧

薬制薬事の雑記(15) あの日、私は過酸化水素カートリッジを日本郵便で送れたのか?

過酸化水素ガスプラズマ滅菌に用いる過酸化水素カートリッジは毒劇法上の劇物に指定されていたりします。

これを何とかして別の営業所に送りたいという要望を受けたことがありました。

過酸化水素は、濃度によって法令の適用が変わる何ともややこしい化学物質です。

ちなみに毒劇法における製剤とは、

これを送る方法として、日本郵便で送ることを考えました。

2019年に商法が改正され、危険物の運送を依頼する

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薬制薬事の雑記(14) アルコール綿は消防法上の危険物?

消毒用エタノール含浸綿は、第4類危険物アルコール類とは扱われません。

根拠はこちらの通達です。

製薬会社の案内を見ると、それ以前は消防法上の危険物として扱われていたようですね。

薬制薬事の雑記(13) 過ぎ去りし日々、あの日の消毒用アルコールは80L未満

段々とCOVID-19対応が緩められて、日常が帰って来つつあります。

消毒用アルコールの入手が困難になった2020年頃を覚えていますでしょうか?

消毒用アルコールを買い占める人が現れて、店頭から姿を消した頃です。

その頃、私のいた会社の事業所でもエタノールの一斗缶を在庫していました。在庫量が80Lを越えないように...

その根拠について忘れないように記録しておこう、という趣旨です。

これ

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薬制薬事の雑記(12) 薬機法事業者が遵守すべき薬事に関する法令に「PMDA法」が含まれているのはなぜ?

私は製造販売業者に勤務したことがないので知らなかったという話です。

薬事に関する15法令についてはこちら↓

薬事に関する15法令というのは、薬機法の許可事業者に遵守が求められているものなので、何らかの義務が定められているはずです。

PMDA法というのは、PMDA設置の根拠となる法律であり、厚生労働省設置法のようなものなのですが、以下の規定があり、そのためにリストアップされているのでしょう。

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薬制薬事の雑記(11) 薬事に関する各法令に紐づく通知の発出数には大きな差がある

薬事に関する15法令それぞれに紐づく通知はどれくらい発出されているのでしょうか?

昨年、時間があったので調べてみたのです。

方法として、厚労省法令等データベースの目次(体系)検索から該当する法令を選び、ヒットする通知数をカウントしました。

カルタヘナ法は目次がないので、法律名で検索して該当するものをおおよそで数えています。

まぁ、ざっくりカウントだと思って下さい・・・

結果は次の通り。

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薬制薬事の雑記(10) 薬機法以外の法令に許可証等の掲示義務はあるのか?

薬事に関する15法令を対象に、掲示義務について考えていきます。

<毒劇法の場合>

毒物劇物営業者(製造業/輸入業/販売業)は登録制(毒劇法4条)であり、登録票が交付されます。

毒劇法の法律/政令/省令を読んでも、掲示について触れた記載は見受けられません。

では、掲示義務はないのかというとそういう訳ではなく、地方公共団体が定める条例や規則にその規定が置かれている場合があります。

例えば、都

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薬制薬事の雑記(9) 基本のキ:物流と商流を分けて考えるということ

貿易について知っていれば当たり前なのかもしれませんが、物流(物それ自体の流れ)と商流(所有権の流れ)とは必ずしも一致しません。

これを知らないと、物流と商流が一致することを前提として書かれた薬機法などの業法の規定を現実のケースに当て嵌めることが出来ずに困ることになります。

販売業ではなくても良いのですが、ある物をAからB、BからCへと販売する場合には、例えばこの2つのケースが考えられます。

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薬制薬事の雑記(8) 原薬の譲渡提供はSDS提供義務を免れるのか?

原薬とSDS提供義務の用途除外について確認していきたいと思います。

SDS制度も非常に分かりづらいです。そもそも3つの法令に分かれていることからして分かりづらく、当然のようにこれらの法律は調和していません。

表にまとめてみますが、化管法における細かい根拠が経産省HP以外に見つからないので、不十分な点があるかもしれません。

SDSの提供義務はこの3つのいずれか1つにでも該当すれば適用されること

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薬制薬事の雑記(7) 毒劇法は読みづらいから嫌いだという話

私は毒劇法があまり好きではありません。なぜなら、ひどく読みづらく感じるから。いくつか例を書いてみます。

<毒物劇物取扱責任者の設置>

直接取り扱わない(商流のみ)のであれば、毒物劇物取扱責任者を置く必要はないということになります。これは「ただし書」を使って記載して欲しいですよね。

ちなみに薬剤師国家試験でも問われています。

<譲受譲渡の手続き>

これは譲受書に関する規定で、
 ・相手が毒

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薬制薬事の雑記(6) 事務連絡「医薬品等輸入手続質疑応答集(Q&A)について」の改正(2023/03/09)

令和4年3月9日付け事務連絡「医薬品等輸入手続質疑応答集(Q&A)について」が発出され、令和3年9月10日付け事務連絡「医薬品等輸入手続質疑応答集(Q&A)について」が廃止されました。

https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2023/03/1678342080.pdf

https://www.pref.saitama.lg.jp/documen

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薬制薬事の雑記(5) GDPニュース:NIPPON EXPRESS HDが『グローバル品質マニュアル』を制定・公開(2023/03/09)

メルマガを読んでいたら、こんな記事を見つけました。

>LNEWS. 「NXHD/医薬品物流の品質マニュアル作成、グローバル体制強化」, 2023/03/09

>Logistics Today. 「NX、医薬品物流の国際水準品質管理マニュアル制定」, 2023/03/09

NIPPON EXPRESS HDがGMP/GDP/ICH-Q10などに対応したグローバル品質マニュアルを制定し、さらにそ

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薬制薬事の雑記(4) おもしろ通牒:「まむしの黒焼」の医薬品製造許可??

これを見て欲しい...

ここでいう現行薬事法というのは、1948(昭和23)年制定の薬事法のことでしょう。

つまり70年前くらいの日本の製薬産業はこんなレベルだったということなんでしょう。

そう考えると今の地位は凄いですよね...

ちなみに引用元は、横浜地方検察庁が厚生省に「まむし、しま蛇の黒焼は医薬品として製造許可されているのか?」と問い合わせたのに対して、過去の通牒を引用しているもので

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薬制薬事の雑記(3) 薬事に関する法令とは?

2019(令和元)年薬機法改正において、製造販売業者などの許可等事業者に「法令遵守体制」の整備が義務付けられました。

該当する事業者は次の通り。
・薬局(9条の2)
・医薬品/医薬部外品/化粧品の製造販売業者・製造業者(法18条の2)
・医療機器/体外診断用医薬品の製造販売業者・製造業者(法23条の2の15の2)
・再生医療等製品の製造販売業者・製造業者(法23条の35の2)
・医薬品の店舗販売

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薬制薬事の雑記(2) 薬事業務って何?

と思いませんか?

求人募集を読んだり、転職系の記事を読んだりすると「開発薬事」だの「CMC薬事」だの「薬制薬事」だのといった分類がされ、呼ばれているようです。

薬事の仕事、すわなち「薬事業務」とは何なのか?
公的な発信にそういった記載はないのでしょうか。

いわゆる三役留意事項通知のQ&Aにこのような記載があります。

三役ということで製造販売業者を想定した記載になっていますが、要するに
・承

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