見出し画像

スクープ!私の一次創作は二次創作だった!?――19年前に始動した携帯サイトで顧みる創作欲の根源

世界は夢の淵に沈む。
選ばれざる者達に福音あらん事を。

ごきげんよう、好事家諸賢。
『星屑図書館』館長、璃宮彩鈴――あややでございます。

……………………。
あっ、はい。私は完全に正気です。恐れ入ります。


自分の一次創作内に息づく二次創作の精神

私、8月27日に天寿を全うする、フォレストページ使用携帯サイトの記述サルベージをしていたのですよ。
冒頭の2行は弊サイトの一部を飾っていたポエムです。つまりはそういうサイトだったんです。

1ページずつ表示し(1ページあたりの文字数が少ない!)全文選択してコピー、用意していたメモ帳(windowsアクセサリー)のファイルにすかさずペースト。どこまでもこの繰り返し。
小説や設定集はもちろん、掲示板も日記も、目に付く限りの文字をぜーんぶ。
自作イラストも、頂き物イラストも、何なら素材配布サイト様から借りてきた飾り付け用画像も、全部、ぜーーんぶ。

最初は重要な設定と小説だけでいいかなと思って始めましたが、眺めているうちにどんどん愛着が呼び起こされていくもので
あんまり注目を集めなかったサイトだと認識したけど、掲示板に書き込みまでしてくれた方がこんなにいらしたんだな、とか。
18~20歳の頃の日記のふわふわハジけた文体や茶目っ気アピール演出がヤッベェな、とか。

そんなことをつらつら感じながらコピペ作業を進めていきます。
私は自分がこしらえた作品や設定が好きなので、内容もニコニコ読みながら作業していたのですが。

それで改めて思ったんです。
「私、二次創作しかしてないな……」と。

一応ね。サイトのメインは一次創作にカテゴライズできるものではあるんですよ。癖強二次創作もそれはそれで置いていましたが。
しかし、それは『原作』が“(漫画や小説等、近現代の、著作者がはっきりした)物語”ではないから一次創作になれているに過ぎないんです。
では、私の一次創作の原作とは何か。それは神話であったり、ファンタジーの概念・要素です。

ファンタジーの概念とは何を指しているのか。
エルフを例に挙げます。
自分の作品で取り扱うエルフの設定が、特定の作品で採用されているエルフの設定をまるっと利用しているならそれは二次創作(そう明記せずにこっそり丸ごと自分のものということにしてしまうのならばパクリ)です。
でも……数多の作品を横断して包み込んでいる、エルフという存在の概念、最大公約数。
長命だとか。耳が長いとか。自然を愛するとか。
それらを取捨選択・重みづけしつつ混ぜ合わせ、更に自分独自の解釈を加えちゃえば……それは一次創作と呼べるもの、自分の世界だけのエルフになるんです。

創作には多かれ少なかれそういう面があるでしょう。無数の創作物の上に成り立つ現代エンタメ。何の影響も受けずに無から要素を錬成するのは非常に困難だと考えます。
しかしそれを踏まえてもなお、私が自分の一次創作を二次創作的だと感じるのは『私もこの要素を使って話や世界を創りたい』という欲求がかなり多めに含まれているためです。

沈んだ大陸の伝承に惹かれるから、それが現代地球に存在している世界にしよう。
エルフやドワーフなど、色々な『人種』が共存している世界観が好きだから、ていうか各作品のそういった種族の設定を読んでいくことが好きだから、私も私なりのエルフやドワーフを設定してみたい。

その気持ちは多分『このキャラクターが好きだから、このキャラクターのあんな一面を見てみたい、それができる話を作ろう』――そういう、二次創作を導く衝動と同じ色をしているんです。

この動機はサイト開設してから20年近く経った今でも同じ。
先日ここにアップした小説だって現実の二次創作です。
どこがどう、というのはご迷惑がかかるので明記しませんが……。
私が現実に生きているフィールドに、もしもこうだったら……という幻想を被せて作り上げたお話です。

そう、私は一次創作が好き。それとは棲み分けが難しい形で、二次創作が好き。

とっくに解っていたこの性質を再確認した上で、私の思索はこのサイトを立ち上げた約20年前、高校生の頃へと潜っていきます。

私は二次創作ができないと思い違いをしていたあの頃

漫画、アニメ、ゲーム。そういった世界を語り合う友達が居た。
同人誌を書く方が居た。コスプレをする方も居た。

同志たる友人との話題でも、インターネットの窓の向こう側でも。
結構な存在感を占めていたのが『カップリング』です。

カップリング。このnoteをお読みの方には意味が伝わりますでしょうか?
実在、非実在、無限の『個』からたった二人を選び出し空想の中で結びつける。
そして必要とあらば、どちらが『攻め』る側で『受け』る側か定義する。

このnoteは様々な方にフラットな読み心地で届けたいので具体例を挙げるのは避けますが……。
原作たる大元の物語の中では特別恋人関係でない二人の間に恋情を見出したりね。
二次創作には『夢小説』という楽しみ方もありますが。こちらも原作キャラクターさんと夢主さんのカップリングに帰結する作品が多い感じを受けますしね。
(言うまでもなく、二次創作はそれだけではないけれど)

で、私は。
漫画アニメゲームは好きだけど、二次創作も好きだけど。
カップリングに乗れなかったんです。

忌避はしていません。むしろ全然読みます。雑食です。
ただ『これぞ我が心に掲げるべきカップリングである!』という衝動はなかった。

好みや関心の勾配が全くなかったかというとそうではないんですよ。明らかに『この二人』の作品を捕りにいく、という気持ちで人様の作品をハンティングしていくこともあった。
ただ、その感情の内訳は『この二人の関係性に関する二次創作を読みたい』というような色合いで……その気持ちも『特定カップリングを求めている』に含めることも可能なのだろうけど。
カップリングというと、どうしても恋愛関係が前提の概念になると思います。
私の場合、恋愛物語を求めているのではなかった。ただその二人の関係性をファンの解釈を以て析出させた作品を読みたい。それがボーイズラブ(男女カップリングでもガールズラブでも)で『あってもいい』。
BL『』いい、中でもこのカップリングにこだわりたい、という熱は持てなかった。

未成年の私はここで視野狭窄に陥りました。
カップリングに熱を持てない。妄想できない。恋愛物語に興味がない(※恋愛要素を避けたい、ではない)。
この心境を眺めた結果、私は私自身を、二次創作ができない奴だと認定していたんです。
二次創作是即ちカップリングだと刷り込まれていたから。

そんな私の二次創作界における視野を広げてくれたのが『二次創作内オリキャラ』でした。

気付きを得たのはどこからだろう。多分、切っ掛けは夢小説かな。
クロスオーバーが好き、という自覚は幼少期からあったので(恐らく、テレビ朝日系の特番でドラえもん、しんちゃん、うさぎちゃん他が会合している特別映像を観たのがオリジン)『混合夢』――複数作品のキャラや世界観を掛け合わせた夢小説を意識的に探していました。

それで、夢主(オリジナル主人公)さんの『設定』に目が惹かれる自分に気付いたんです。
この部活のマネージャーだとか。あの組織のエージェントだとか。その家系の血を引くとか。
特に混合夢ともなると、夢主さんの背景設定がハイブリッドになっているものも多くて、その自由な発想に惹かれていきました。
原作を受け手の精神世界に投射し、その余白に居るかもしれない、受け手の精神が介在しなければ生まれなかった唯一の誰かを置く。
あ、これ……楽しいな、と。

そこからネット界を掘り進めていくうちに、尖った個性を携えた二次創作との出会いが増えていきます。
ゲームPC(無個性、あるいは個性を定義する情報が限定されている)に詳細設定と情感溢れる物語を乗せた二次創作とか。
書き手オリジナルのポケモントレーナーだとか。
原作キャラクター二人の関係性にフォーカスしなくても、二次創作の世界は広げられる。そう気付いたんです。
そんな先駆者の作品を見ていくうちに「あ、私もこれをやってみたい」という欲望が湧いてきたんです。
この気持ちは、一次創作世界の構築を始めた原動力となった欲求と同じ属性を帯びていました。
そうして私は携帯サイトに二次創作オリキャラ小説置き場を増設したのです。

私の創作はいつだって『私もこれを書きたい』から生まれる。
二次創作ができないなんてとんでもない誤認でした。
きっと私は生粋の二次創作者なんです。
二次創作オリキャラ概念に出会う前の、最初の一次創作からずっとその欲求に突き動かされていたのですから。

取り留めのない『ヤマなしオチなしイミなし』な話となってしまいましたが、携帯サイトが強制店仕舞いと相成るこのタイミングで、自分の創作欲求を掘り返したくなったのです。
今回もここまでお付き合いいただきありがとうございました。

せっかくなので、個人サイトのフッターに載せていたポエムでこの記事を閉めましょうか。

あの日見た物語は、星屑が見せた夢だったのでしょうか……
本日は来館ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております……

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?