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二次創作オリキャラはいいぞ

エンタメ作品の見どころ、って何処にあるのでしょう?
作品のどの要素が貴方を惹きつけ、魅了するのか。
この問いに『キャラクター』を挙げる方は多いでしょう。
登場人物の生き様、信念、愛嬌……それらの相乗効果で織り上げられる関係性。
そこに在る引力に異論はありません。
ですが私はむしろ、彼ら登場人物が立つ世界の奥行きにこそ心惹かれているような気がします。
そして私は一次創作が――架空の人物や世界観を空想するのが好き。
この辺の嗜好が融合した結果惹き込まれた沼が『二次創作オリキャラ』の世界です。
今回は私がこの概念にどういった良さを感じているのかを語っていきたいと思います。

個人的に感じている二次創作内オリキャラの醍醐味は『TRPG』に近いものがあります。
テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム。
ルールブックにより規定された世界観と法則に従い、自分で操作するキャラクターを創り出す。

私はTRPGの経験が浅いです。
初めてTRPGというものを知ってから、そして実際にプレイしてみてから経過した年月は長いですが、全く熟練できていない。
幾度かコンベンションに参加して、単発のシナリオに参加させていただいたのがこれまでの人生におけるプレイ経験のほとんど。
キャンペーン(コンピューターゲーム的に言えば『続きからプレイ』で繋げていくゲームスタイル)に関しては1シリーズのみ。実生活上の友人との間での、公式シナリオを使用したもの(現在進行形)。
TRPGが好きな人、の範疇には入ることができるかもしれませんが、TRPGプレイヤーとは呼べないようなコミットの薄さです。

そうであるのに、私がTRPG関係に費やしたお金はそこそこ多いのです(※あくまで私自身が、私のお金の使い道をジャッジした結果であり、他者との比較や絶対的な金額の大きさを誇るものではありません)。
何故ならば……ルールブックを読むのが好きだから!!!

ちょっとでも引力を感じたルールブックはとりあえず買う。読んでみて更に惹かれたらサプリメントを買う。場合によっては公式リプレイも買っちゃう。そうして世界に浸る。

架空世界の成り立ち・世界法則・文化などなどの情報を喰らうのは、私にとってはフィクション摂取のメインディッシュに等しいと感じています。フィクションにおいて一番脂が乗っている箇所に思えて仕方ないんです。

そして私の創作活動の土台にあるのは『オリキャラ作成』。
正直『うちの子』たちは作り込みも甘くふわふわして、その上総数は半端に多い。
クオリティ面では私以外の人間に自信をもってお勧めできる! という存在ではないでしょうが、私にとっては空想を走らせる快感の源泉である存在たち。
誰にお勧めできなくても、私に需要がある。
自分向けであるからこそ、自分以外の誰かに興味を持っていただけた時の喜びと高揚は果てしないものです。
それが得られないとしても、私自身が楽しみを感じられれば存在価値はある、ヨシ! な訳ですね。

なのでTRPGのルールブックを読んだ時も、動かす予定もない自PCをルールブックの手順に基づいて作ってみて、ギアが上がれば設定を盛ったりして自分の中で可愛がる……という流れをよく辿ります。

TRPGはそもそも自分だけのプレイヤーキャラクターを操作するのが前提。それを組み上げることもTRPGという作品の一機能(※原作付きのTRPGだと、データを用意された原作キャラを選び操作する形式の作品もありますが)。
その世界だからこそ成り立つ、その世界でこそ活きる個性。
世界の理を読み解き、そこに自分のロマンや嗜好、願望、紡ぎたい物語――人生の形を注ぎ溶け込ませることで結晶化する一個人。

でも……色々な住人、生き様の在り方、世界の見え方の角度を包括できる魅力的な世界観は、TRPGルールブックの中にしかありませんか?
他にもいーーっぱいありますよね?
コンピューターゲーム、漫画、アニメ、小説、映画、ドラマなんかの中に。

だから……原作をルールブックとして、キャラメイクしちゃえばいいよね?
原作から読み取れる世界の法則、歴史、文化、土地、作品独自の能力や職業・組織などを自分の中にダウンロード・咀嚼し、その世界があってこそ成立するオリジナルキャラクターを創る。

そういうノリで私は二次創作内オリキャラという概念を求めているのです。

ちなみに、(私がルールブックを読んだことがある)原作付き公式TRPGだと。
『ニンジャスレイヤーTRPG』が“原作世界に生きるオリキャラを作りたい欲”と“原作キャラと程良く関わりたい(関われる余地を確保できるようにしたい)欲”を同時に満たせて良さげだなぁと思います。
プレイしたことはありませんが!

具体的な二次創作スタイルを一つ例示します。

ポケットモンスター』、縮めてポケモン。特に興味がない方であっても、現代日本の俗世にて生活している方なら作品名くらいはご存じではないのでしょうか。
ポケモンの原作ゲームにおいて、主人公は特定の(最低限の)背景設定を持ち、特定の道筋――ストーリーを辿ります。
しかしポケモン世界は、主人公と、主人公の辿る物語に関与する人だけで構成されている訳ではありませんね?
道路やダンジョンで勝負を仕掛けてくる一般ポケモントレーナー。話し掛けると応えるだけの街のモブ住人。

様々な職業、年齢、立場を持つ、物語の外側の、でも世界には存在する住人たち。
ゲームとして、作品として成立させるための合理的なフィルターにより濾し取られた、ポケモン世界において存在し得る様々な生き方。

それを浮き上がらせる二次創作スタイルとして『オリジナルトレーナー(オリトレ)』があります。

例えば、ポケモンリーグを目指して旅をするけど、伝説を紡ぐような物語には関わらない一般トレーナーとか。
あるいは、ポケモンバトルの研鑽はしないけど、ポケモンと一緒に堅実に生きている社会人とか。
過去の時代、もっと未来の世界におけるポケモンがいる一場面だとか。
いっそ『原作世界(スタンダードなポケモン世界)』から外れた、独自性の高い『ポケモンがいる世界』を想像したっていい。

このような自由度の高いフィールドに惹かれ、色々なオリトレ系ポケモン二次創作を漁ったものです。

ポケモンに限らず、こういった『オリ〇〇』と名付けられる二次創作ジャンルはあるところには色々とあり、渡り歩くととっても満たされます。

ところで、原作のストーリーライン、あるいは原作のファインダーが映すフィールドから大きく離れた二次創作を実行するにあたり想定されるツッコミに『オリジナルでやれ』があると思います。
いや、私が直に言われた訳ではなく、半ば仮想敵(敵、と表現すると強すぎますね。not for youな方)ではあるのですが。
ダメです。オリジナルと二次創作では摂取できる栄養素が異なりますし、そもそも一次創作は二次創作の代替品ではありません

自分が惚れ込んだ世界に、自分の解釈や考察を噛み合わせて自分の中で世界を拡張し、居るかもしれない住人を形作る。
なんかそれっぽいテイストの別物、では意味がないのです。

何故自分は二次創作内オリキャラに惹かれるのか?
創る行為に惹かれるのは上記の『オリキャラ製造派遣業者』としての業によるものですが、観る側としても惹かれる理由。
それは『二次創作者のオリジナリティが強く出る分野だから』、だと思っています。
以前noteに投稿した『クロスオーバー二次創作』についての記事における結論と重複しますね。

原作をどう読み解くかという読解センス。その余白にどんなキャラクターが居ると想定するかという閃きと着目点、居てほしいと願うかという嗜癖と祈り。
そういった、個人の性質と好みが大きく発露する二次創作にこそ歓びを感じる。
それが私の“癖”の根幹かなぁと思います。

好まない方には押し付けないように、でも自分と同志の中では思いっきり『解釈』や『欲求』を解放して。楽しく二次創作!!

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