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オタクってディレッタントってことだから

 夜更けにCDの片づけをしていた。部屋のタワーレコード(CDが積み上がってる状態)を四本、まあ二百枚くらいか、これをラックのひとつに入れたんですね。ただもともとそのラックにはロックやポップスやサントラやらが入ってたんで、それにご退場願って紙袋に入れ、タワレコ状態のクラシックCDを詰め込んでいったという次第。大変な作業でした。腰が痛い。

 クラシックに入れ込んで毎日なんか聴いてる。いまはアルカンのボックスを何度目かのリピート中。明日はレツボールのディスクが何枚か届く。クラシックCDは安く手に入るのでコレクションを作るのが簡単である。あまり売れないから安いのかもしれない。ものが売れない場合、単価を高くするか低くするかの二択がある。本なんかだと読者が少ないから高い、といったものがある。その読者は高くても買うのだろう。一方クラシックCDの場合は量の勝負として安くしないといけなかったんではないか。ポイントもバシバシつけてやっとさばいているような感じでしょう。HMVもタワレコもそうね。セールやキャンペーンもやっててね。

 さて千枚越えはたぶんいっててCD道でいえば初段のあたくし、この道というのも詳しい人には勝てない悲しさがあるんですが、だって楽譜を見ながら聴いてますからね彼ら、そこまではやれねえよっていう半端なクラシックオタクとして耳を鍛えていっているところ。まあ楽しけりゃいいんじゃないのとは思う。この楽しみは日常に必要である。綺麗な音を聴かないとこの世の雑音にやられる。そして美しい音楽はやる気にさせてくれるね。生きるための気力になるのだった。

 オタクという言葉をさっき書いたが、これはネガティブなイメージがついて回る。といって最近ではどうなのかわからんが、昔はオタクへの差別は酷かったですね。主に漫画・アニメ・ゲームなどを嗜む人々に対し、オタクを蔑称として使ってた節がある。あたくしなどは「女神転生をやってる」といっただけでキモオタ扱いされて女にフラれたことがありましたなあ。十五年以上前の話なんだけど、ギャルゲーと間違われたんだろう。クソほど硬派なRPGなんだけどね、メガテンは。

 で、オタクが即キモオタっていう定義があった時代を越え、ようよう市民権を得てきたのはいつ頃からだったろうか、白い目があまり感じられないようにはなってきたと思う。昔よりはよい。そういうのはまあ何オタクかにもよるんだろうが、古美術商の人は芸術品オタクなわけだし、日本刀の目利きなら刀剣オタクだし、むしろかっこいい。専門として詳しい=その道のオタク、くらいの意味合いでオタクって言っちゃってますけど。

 あるいは単にディレッタント、好事家っていったほうがオタクの概念に近いのか。趣味でやってる活動が本集めだったりフィギュア集めだったりグッズ集めだったりCD集めだったりするんだったら、それは数寄ってことで立派な趣味、凝ってますなあ旦那、いやあお目が高い、という世界になる。数寄の世界、ディレッタントの世界において同好の士たちといろいろ話せるみたいなこととして。

 自分と同好でなくてもオタク、ディレッタントとの会話はおもしろいですよ。へえー、ほうほう、と頷いてたらいろいろ聞ける。けっこう孤独なんですよ彼ら。自分がハマってるもののことを話したいという気持ちはバリバリ伝わるね。非常によくわかる。こちらは頷きすぎて首が痛くなるんだけど。

 さてそんなこんなですが。今日都議会選なので徹夜したまま投票してきます。民主制への疑問はあるんだけど、別にそこそこでいいですよ政治なんか。はなから期待してねーよ。


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