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UPDRS Part Ⅰ

【UPDRSって知ってます?】では、UPDRSにはどのような項目があるかと、パーキンソン病診療ガイドライン2018との関係について書きました。【参考】日本神経学会https://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson_2018.html

UPDRSの各パートと理学療法・リハビリテーションの関係について考えようと思います。

UPDRS PartⅠとは

パーキンソン病での非運動症状をみます。非運動症状でみるものは、つまり、精神機能と行動と気分です。


UPDRS PartⅠの内容と評価基準

【引用開始】
概観:パート I ではパーキンソン病患者の日常生活における非運動症状を評価します。全部で 13 項目の質問があります。パート 1A は、評価者が行います(6 つの質問)。患者の複雑な行動に注目します。パート 1B は患者による自己評価形式の質問票の一部で、日常生活における非運動症状について、7つの質問に答えていただきます。
【引用終了】
【出典元】Official MDS Translation Copyright | Last Updated January 29, 2019© 2014 - 2019 International Parkinson and Movement Disorder Society

パートⅠでは、評価者が診て、パーキンソン病の患者さんがどのような行動をしているかを確認して採点をするところ(パートⅠA)と、パーキンソン病患者さんに質問をして、それに答えることで評価をします。

【引用開始】
パート 1A:評価者は、パート 1A を評価するときに以下の項目に注意して下さい。
1.患者から聞き取りをしたのか、介護者から聞き取りをしたのか、あるいは両者から聞き取りをしたのか、評価シートの最初にチェックして下さい。
2.質問に対する回答は、評価日を含む最近1週間を反映したものにしてください。
3.すべての回答は整数で記載して下さい(0.5 点と記載せず、空欄も無いようにして下さい)。評価できなかったり、回答できない場合(足を切断しているため歩けないなど)、その項目は UR (Unable to Rate;評価不能)と記載してください。
4.回答は、患者の普段の機能レベルを反映させたものにして下さい。「いつも」、「一般的に」、「ほとんどの時間」といった言葉を患者との会話に使って下さい。
5.それぞれの質問には、評価者が読むべき指示(患者/介護者に対する説明)が書いてあります。その指示に従って評価者は「評価者への指示」で概説されている対象症状に関わる詳しい説明や調査を行ってください。決して選択肢を患者や介護者に対して読んで聞かせないでください。というのは、
これら選択肢は医学用語で書かれているからです。詳細な問診から、評価者自身の医学的な判断を基に、最も適切と思われる選択肢を選んでください。
6.患者によっては、合併症があったり、他の医学的状態によって機能が損なわれている可能性があります。評価者も患者もその問題に関しては、ありのまま評価してください。パーキンソン病と他の病気による障害とを区別しようとしないでください。
【引用終了】
【出典元】Official MDS Translation Copyright | Last Updated January 29, 2019© 2014 - 2019 International Parkinson and Movement Disorder Society

パート1Aでは、先ず、パーキンソン病患者さん自身に聞いたことか、介護者に聞いたことか、それとも同じくらいの比率で聞いたのかを、まずチェックすることが必要になります。

臨床上、理学療法をおこなっているとき、患者さんの言うことと介護者のいうことにずれが生じることはあります。なので、この説明はとっても、臨床にそっていて大切だなぁと思います。介護者が、一緒に過ごす時間がすくないときに、差異はうまれるなぁと思うことがあるので、なるべくキーパーソンだったり、実際に介護している人に聞かないと、せっかくの評価がもったいないなっと。

そして、患者さん自身と介護者にたいする説明がそれぞれあります。そのまま、読むようにすることが大切と思います。ここまで、考えられている評価方法はとてもすばらしいなぁと思います。


UPDRS PartⅠAの実際

それでは、UPDRS PartⅠAをみていきます。

【引用開始】
パート1A:複雑な行動 【評価者が記入】
第一情報源:
▢患者 ▢介護者 ▢患者と介護者それぞれ同じくらいの比率で
患者に読み聞かせて下さい:私がこれからあなたに行動について 6つの質問をします。その質問は、あなたが体験したことがあるものも、ないものもあると思います。ごくありふれた問題についての質問もあれば、まれな問題についての質問もあります。質問の項目の中に、あなたがかかえている問題がありましたら、あなたの最近1週間を通して感じている内容をもっとも適切にあらわしている選択肢を選んで下さい。問題がない場合は、単純に「いいえ」と答えてください。詳しく質問をしますので、私はあなたに全く無関係な問題についても質問するかもしれません。
【引用終了】
【出典元】Official MDS Translation Copyright | Last Updated January 29, 2019© 2014 - 2019 International Parkinson and Movement Disorder Society

体験したものや体験したことがないことも聞きますというところや、まったく無関係な問題についても質問するとしています。臨床上、この部分はとても大切に思います。

症状として、これから出てくるものだと思い込むことがあったりすると、評価結果にも、症状にも影響するとおもいます。

さらに、うつ病などの精神疾患が併存することもあるため注意が必要なので、長い文章ではありますが、しっかりと伝えることは大事だなっと。こういうところを、疎かにすると折角の評価結果が、信ぴょう性のないものになってしまうことは避けたいです。可能性があります。評価を受けている患者さんだけでなく、まぁそんなことをしていては、患者さんのためにならないことは、誰でもわかります。

1.1 認知障害

【引用開始】
評価者への指示: すべてのタイプの認知機能のレベルの変化を判断してください。すなわち認知機能の緩徐化、判断過程の障害、記憶力の低下、注意力の欠如、見当識の障害などです。患者、もしくは介護者が感じている日常生活への障害の程度を評価してください。

患者[および介護者]への指示: この1週間を通して、あなたは物事を記憶したり、会話を滞りなく続けたり、注意をはらったり、考えをまとめたりするのを難しく感じたり、家の周りや町中で道に迷ったことはありませんか?[もしそうなら、評価者は、患者か介護者に詳しく述べるように頼み、情報を精査します。]

0:正常: 認知障害なし。
1:ごく軽度: 患者、あるいは介護者が認識している認知障害で、ほとんど患者の日常の活動や社会とのかかわりを妨げない。
2:軽度: 臨床的にあきらかな認知障害がみられるが、ごく軽度患者自身の日常の活動や社会とのかかわりを妨げるのみ。
3:中等度: 認知障害がみられ、患者の日常の活動や社会とのかかわりを妨げるが、できないわけではない。
4:重度: 認知障害のため、患者の日常の活動や社会とのかかわりが
できない。
【引用終了】
【出典元】Official MDS Translation Copyright | Last Updated January 29, 2019© 2014 - 2019 International Parkinson and Movement Disorder Society

先ず、認知障害について確認をします。パーキンソン病では認知障害が、併存することがあります。日常の活動や社会との関わりを妨げるか、妨げないかの差が難しいと日々感じています。

日常の活動というのは、起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容を表しています。つまり、身の回りのことが自分一人で行えるか。介護者が声掛けなどを行わずに行えるかということになります。実際に、その行動をおこなうのに時間がかかるもののできる場合は、できていると判断しています。厳密には、時間がかかれば修正自立という範疇です。この考え方はFIMで用いられるものですね。ちなみに、当院では日常生活活動能力を評価する場合はBarthel Indexを用いています。

社会との関わりについては、一人で外出しできる認知機能があるということです。つまり、電車やバスなどの交通機関を利用して出かけることができるくらいか、隣近所へくらいは出かけられるということで。他者とのかかわりがあるということです。出かけるには時間や曜日についても把握できていないと、他者とのかかわりは難しくなると思います。

また、話のつじつまが合っていなかったりしたときや、声掛けの介助でなんとか行えるような場合には軽度に判定して良いと思います。中等度は、声掛けの介助では、なかなか用事がすますことができず、時間がかかるなどです。重度は、声掛けだけでは、行動を行うことができず、行く方向などへ引っ張ったりすることもしなくてはならない状況です。


という感じで、UPDRS Part 1-1までですが。

では、また。

次は、UPDRS Part Ⅰ 1-2〜1-6です。



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