夏目漱右

大学病院で働く理学療法士。脳神経内科、脳神経外科、血液内科に入院されている方々のリハを…

夏目漱右

大学病院で働く理学療法士。脳神経内科、脳神経外科、血液内科に入院されている方々のリハを担当しています。また、最近は、AIと色んなコトするかーって活動ちうです。 著作権・免責事項https://note.com/19770104/n/n1e6ec769e8e8

マガジン

  • 組織学総論

    組織学の基礎的な概念を解説し、組織における人間の行動と管理に関する主要な理論モデル、実践的な手法、そして現代における組織マネジメントにおける重要な課題を論じる。特に、医療現場における組織行動論の応用、チームビルディング、ナレッジマネジメント、組織レジリエンスの強化について深く考察する。

  • シン・ラヂオ体操

    • 13本
  • 姿勢って自分でよくできるってよ

    • 14本

    “姿勢を改善し、正しく保つ” ことの重要性、必要な知識、チェック・改善方法、そして習慣化するまでの情報がギュッと詰まっています。

  • 認知症

最近の記事

アクアフォトミクス: 水のスペクトルで生命の複雑さを解き明かす

はじめに アクアフォトミクス (Aqua Photomics) は、水という生命にとって不可欠な物質に着目し、そのスペクトル (光の吸収と放出のパターン) を解析することで、生物学的システムや水系システムの構造と機能を解き明かそうとする、革新的な研究分野です。従来の分析手法では捉えきれなかった、水分子間の複雑な相互作用や構造変化を、近赤外分光法と多変量解析を組み合わせることで可視化し、生命現象の理解を深めることを目指しています。 アクアフォトミクスの基本原理: 水のスペクト

    • 姿勢と運動パターン:解剖学的・運動学的視点からの再考と怪我予防の最新知見

      はじめに 姿勢は単なる身体の配置ではなく、重力に対する身体の整列であり、複雑な神経筋系のコントロールによって維持される動的なプロセスです[1][2][3]。近年、姿勢研究は静的な視点から動的な視点へと移行しており、神経科学やバイオメカニクスなど多様な分野からの知見が統合されています。さらに、姿勢は運動パフォーマンス、怪我のリスク、身体機能、メンタルヘルスにも深く関与しています[4][5][6][7]。 1. 姿勢の解剖学的基盤 姿勢を支える解剖学的基盤は、以下の要素で構成さ

      • 肩関節脱臼の解剖学的理解と臨床対応:最新の診断・治療・リハビリテーションの動向

        はじめに 肩関節脱臼は、上腕骨頭が肩甲骨の関節窩から外れる外傷です。転倒、スポーツ活動中の衝撃、直接的な外力などによって発生しやすく、特に若い男性に多く見られます。本レビューでは、肩関節脱臼の発生頻度、機序、リスク因子、診断、治療、リハビリテーションに関する最新のエビデンスをまとめ、肩関節脱臼の包括的な理解を深め、今後の研究や臨床における指針となることを目指します。 1. 肩関節の解剖学と機能 肩関節は、ヒトの体の中で最も可動域が広い関節であり、腕の様々な動作を可能にする複

        • 腰痛に対する包括的なアプローチ: 筋膜性腰痛を中心とした科学的根拠に基づく解説腰痛: 現代社会における蔓延する問題と多様な病態

          腰痛は、世界保健機関(WHO)が定める主要な健康問題の一つであり、世界人口の60~80%が生涯に一度は経験するとされています。[1] 近年、社会の高齢化、デスクワークの増加、運動不足、肥満などの現代社会における課題と密接に関連し、その罹患率は増加傾向にあります。[2] 腰痛は、日常生活における活動制限、QOLの低下、労働生産性の低下をもたらし、個人の健康だけでなく、社会全体に大きな経済的負担を強いる深刻な問題として認識されています。 腰痛の原因は多岐にわたり、その病態は複雑

        アクアフォトミクス: 水のスペクトルで生命の複雑さを解き明かす

        • 姿勢と運動パターン:解剖学的・運動学的視点からの再考と怪我予防の最新知見

        • 肩関節脱臼の解剖学的理解と臨床対応:最新の診断・治療・リハビリテーションの動向

        • 腰痛に対する包括的なアプローチ: 筋膜性腰痛を中心とした科学的根拠に基づく解説腰痛: 現代社会における蔓延する問題と多様な病態

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        • 組織学総論
          11本
        • シン・ラヂオ体操
          13本
        • 姿勢って自分でよくできるってよ
          14本
        • 認知症
          11本

        記事

          パーキンソン病における固縮:メカニズム、評価、治療戦略、およびストレッチ介入の役割

          パーキンソン病(PD)は、脳内のドパミン産生神経細胞が変性・減少することで引き起こされる神経変性疾患であり、固縮、振戦、無動症、姿勢不安定症などの特徴的な運動症状を呈します。固縮とは、筋肉の緊張が亢進し、関節の動きに抵抗が生じる状態を指し、PDの主要な運動症状の1つです。固縮は、歩行、手足の動き、顔面表情、姿勢保持など、様々な運動機能に影響を及ぼし、日常生活動作を困難にし、転倒リスクを高めるなど、患者の生活の質に大きな影響を与えます。 1. パーキンソン病における固縮のメカ

          パーキンソン病における固縮:メカニズム、評価、治療戦略、およびストレッチ介入の役割

          現代アート:自由な表現が織りなす、新たな世界の扉

          現代アートは、単なる絵画や彫刻を超え、私たちの想像力を掻き立てる、20世紀後半から続く革新的な芸術運動です。伝統的な美しさや技巧にとらわれず、自由な表現方法と多様な概念を探求することで、現代社会の複雑な側面や人間の深い内面を映し出す鏡のような役割を果たしています。 現代アート:なぜ魅力的か?現代アートは、私たちに次のような新しい視点や体験を提供してくれます。 従来の枠組みからの解放: 絵画や彫刻といった伝統的な表現方法にとらわれず、パフォーマンス、映像、デジタル技術、イン

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          脳梗塞後の下肢足関節内反尖足痙性麻痺に対する可動域拡大:ストレッチと装具療法の有効性に関するまとめ

          はじめに 脳梗塞は、脳血管の閉塞により脳組織への血流が遮断され、神経細胞の損傷を引き起こす疾患である。脳梗塞の後遺症として、痙性麻痺が生じることがあり、下肢の足関節内反尖足は、その代表的な症状の一つである。 痙性麻痺のメカニズム 痙性麻痺は、脳梗塞などの原因によって上位運動ニューロンが損傷することで発生する。上位運動ニューロンは、脳から脊髄へと信号を伝達し、筋肉の活動を制御する役割を担っている。上位運動ニューロンの損傷により、筋肉の緊張を抑制する信号が減少し、脊髄レベルでの

          脳梗塞後の下肢足関節内反尖足痙性麻痺に対する可動域拡大:ストレッチと装具療法の有効性に関するまとめ

          ストレッチのリハビリテーションにおける分子生物学的効果 最新知見

          はじめにストレッチは、古くから健康増進やパフォーマンス向上に効果的な方法として実践されてきました。近年、分子生物学の進歩により、ストレッチが筋肉、神経、そして全身の健康に与える影響とそのメカニズムが明らかになりつつあります。本稿では、PubMedなどのデータベースから得られた最新の研究をレビューし、ストレッチのリハビリテーションにおける分子生物学的効果、特に筋肉の伸長、遺伝子発現への影響、ストレッチ時間との関連性、そしてさらなる研究の方向性について考察します。 方法PubM

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          HCAHPS日本語版を用いた患者経験評価:体系的なレビューと実践的活用ガイド

          1. はじめに 本稿では、米国で開発され、世界で広く使用されている患者経験価値調査尺度であるHCAHPS (Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems) の日本語版について、体系的なレビューを実施し、その結果に基づいた実践的な活用ガイドを提案する。本稿では、HCAHPS日本語版の開発背景、調査項目、分析方法、活用事例、さらに近年注目されている患者中心の医療提供における重要性を深掘りし、医療

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          第10章:組織レジリエンスの強化 - 変化と困難を乗り越え、持続的な成長を遂げるための戦略

          10.1 組織レジリエンス:変化への適応力と持続的な成長を促進する力組織レジリエンスとは、組織が外部環境の変化や予期せぬ困難、危機などに柔軟に対応し、素早く回復して成長していく能力のことです。単にピンチを乗り越えるだけでなく、そこから学び成長し、さらなる発展を遂げるための力と言えるでしょう。 現代社会は、経済のグローバル化、テクノロジーの進化、気候変動、人口減少、社会構造の変化など、様々な要因が複雑に絡み合い、予測不能な状況が生まれています。組織は、これらの変化の波に乗りこ

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          第9章外伝:リハビリテーション部門における組織文化と心理的安全性 - 患者中心のケアとチームワークを進化させる

          リハビリテーション部門は、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカーなど、様々な専門職が連携して患者をケアする複雑な組織です。患者一人ひとりの身体的、精神的、社会的なニーズを包括的に理解し、それぞれの目標に合わせた適切なリハビリテーションを提供するためには、多職種間の連携が不可欠です。しかし、多くのリハビリテーション部門では、患者対応に追われ、スタッフ同士がじっくり話し合う時間が限られているのが現状です。 本章では、リハビリテーション部門において、

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          第9章:組織文化と心理的安全性 - 従業員のエンゲージメントとイノベーションを促進する基盤

          組織文化は、組織の成功を左右する重要な要素であり、心理的安全性を育む土壌となります。本章では、組織文化と心理的安全性の深い関係性について、具体的な事例や対策方法を交えながら解説していきます。 9.1 組織文化:組織のアイデンティティと行動規範を形作る組織文化とは、組織のメンバーが共有する価値観、信念、行動規範、そして慣習の集まりです。それは、組織のアイデンティティを形成し、従業員の行動や意思決定、そして組織全体の雰囲気に大きな影響を与えます。組織文化は、組織の目標達成、従業

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          第8章:チェスター・バーナードの組織論 - 組織を人間の協働システムとして捉える

          チェスター・バーナードは、20世紀前半に活躍したアメリカの経営学者であり、組織論の先駆者として知られています。彼の組織論は、従来の組織論が重視してきた機械論的な視点とは異なり、組織を「意識的に調整された人間の活動や諸力の体系」と捉え、人々の相互作用やコミュニケーションの重要性を強調しました。バーナードは、組織を単なる構造や規則で成り立っているのではなく、人々が共通の目標に向かって協力し、連携することで機能すると考えました。彼の理論は、組織を動かす原動力となる「人間関係」と「組

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          メンター行動指針:リハビリテーション部門 - 若手セラピストの成長を導くためのステップバイステップ

          はじめにあなたは、若手セラピストの成長を導く、頼りになる存在です。この指針は、あなたがメンターとして、若手セラピストの臨床スキル向上、研究能力育成、キャリアプラン支援、ライフプラン支援を成功させるための具体的なステップをまとめたものです。 メンターの役割: 信頼できる相談相手: メンティーが安心して相談できる関係を築き、共に成長を促進する存在。 経験と知識の共有: 自身の経験や専門知識を惜しみなく伝え、メンティーのスキルアップを支援する。 道しるべとなる存在: メンテ

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          CAR-T療法:がん治療の新たな地平を切り開く、その可能性と課題、副作用への対応、成功率と予後、適応症、そして患者中心の包括的なケア

          CAR-T療法は、患者の免疫システムを利用して癌を攻撃する、画期的な細胞療法として、がん治療の分野に革命を起こしつつあります。この療法は、従来の治療法では効果が得られなかった難治性の血液がんに対して、高い奏効率を示すことが実証されており、がん治療の新たな地平を切り開くものとして期待されています。しかし、CAR-T療法は、高額な治療費、製造時間の長期化、適応疾患の限定、そして深刻な副作用のリスクなどの課題も抱えています。本稿では、CAR-T療法の仕組み、効果、副作用への対応、課

          CAR-T療法:がん治療の新たな地平を切り開く、その可能性と課題、副作用への対応、成功率と予後、適応症、そして患者中心の包括的なケア

          第7章:ダニエル・キムの組織成功循環モデル - 持続的な成長を育むための4つの質と組織文化

          組織学総論は、10章までの予定です!7.1 組織成功循環モデル:持続的な成功のためのフレームワーク ダニエル・キムの組織成功循環モデルは、組織の持続的な成功を達成するための包括的なフレームワークです。このモデルは、組織の成功を4つの要素、すなわち「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」の相互作用によって説明します。これらの4つの要素は、互いに影響し合い、良い循環を生み出すことで組織の持続的な成長を促進する一方、悪い循環に陥ると組織のパフォーマンスを低下させます。

          第7章:ダニエル・キムの組織成功循環モデル - 持続的な成長を育むための4つの質と組織文化