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2021年を振り返って

日本はまだまだ変革が進まない

2021年は、2020年に引き続き、働き方改革やデジタルトランスフォーメーション、SDGsの講演を多く行わせて頂きました。件数は約160件で前年とほぼ変わりませんでした。講演スタイルの変革という意味合いでは、リアル講演がほぼ100%だった2019年に比べ、オンラインへのシフトが、毎年進んでいる様に思え今年は70%がオンラインやオンデマンドとなりました。その中には、企業だけでなく自治体や行政などのオンライン依頼も非常に増えてきました。
コロナ禍が進めた1つの取り組みがこのオンライン化になると思います。

実は、講演させて頂いているテーマには、1つの共通点があります。
その共有点とは「トランスフォーメーション」すなわち変革です。
今までの常識の延長線上ではなく、新しい進め方を考えて取り組む、行動を変えていく、自分が本当にやりたいことに集中する。ということが本質になりますが、この変革がまだまだ進まないな。とも感じた一年にでした。

いや、先ほど「オンラインシフトが進んだ」と書いていたじゃないか?変革しているのでは?というふうに思われる方々も多いかと思いますが、この感覚が実は変革を阻害する要因ではないかと思います。

リアル、つまり対面で講演を聞く。からオンライン、つまり遠隔で講演を聞くという形にスタイルが変化しました。人によっては移動時間が無くなった。今まで参加できなかった講演に行ける様になった。という話をされることもあります。確かにオンライン化によって、届かなかった人へ情報をお届けできることができる様になりましたし、時間を有効化することができるようになりました。

「変化」と「変革」の違い

ただ、このオンラインシフトは「変化」であり「変革」ではないと考えています。

「地方でも参加できるようになった。」「移動時間が必要無くなった。」

このような変化に恩恵を受けている人がたくさんおられると思います。
今まで以上に情報を入手するタイミングが増えたと思いますし、良いことも多いです。それで良いんじゃない?という感覚の方も多いかと思います。

ただ、参加をしやすくなった方々は「参加する意思のあった方々」がほとんどだと思います。機会があれば参加する方々であり、実は環境に変化はありますが、各個人の方々が変革しているわけではないのです。

「変革」ということを考えると「今まで関心を示して無かった方々が参加するようになった」「今までと全く違うことが体感できるようになった」という状況までの違いが出てきて初めて「変革」と言えるようになるのではないかと考えています。

日本においては、この「変革」に至ることが少なく思っています。

今年お話させていただいていた講演内容についても変革が進む海外の事例やその考え方や違い、進め方が中心ですが、「日本では難しい」「日本では今を変えることが出来ない」「法制度や国が進めてくれれば」というお話をされる方々が多くおられます。

今を変えなくても困らない。
今しっかりとしたインフラがある。
今さら変えられない。

色々な背景があるかと思います。
ただ、本当に「今」が良いのかを考える時期に来ているのではないかと思っています。

「今」は本当に「良い」のか

日本の「今」は、もうすでに「昔」になっていることが多いのではないかと感じています。各地講演の際に時間がある場合は、地域を歩いて、まちや裏路地、生活環境をみるようにしています。感じるのは、「いまだに昭和の風景がそこには変わらずある」という現実です。
30年前から変わらない街やインフラがそこにはあります。
「いや、光回線が来て衛星アンテナがついて、地デジ放送も見れるようになった」などと言われる方々もおられますがこれも「変化」だと思います。
やっていることや生活はここ数十年大きく変わっていないと考えます。
それで何か問題でも?と考える方々も多くおられると思います。
日本の中だけで見ると皆がほぼ同じ状態ですので、問題があると感じる人は少ないと思います。
ただ、これが世界レベルで見てみると
「大きく取り残される日本」
というものを感じることが多いです。

世界は今若いエネルギーで進んでいる

日本の平均年齢は48歳です。もうすぐすると平均年齢が50歳に到達することになるでしょう。高齢化社会と言われる世界がますます進むことになっています。
一方世界目線で見ていきましょう。
例えば、今成長が続くアフリカは平均年齢21歳です。日本の半分以下ですね。人口が中国に追いつく勢いのインドは平均年齢が28歳、今やアメリカから発展途上国ではないと言われたベトナムは31歳です。世界の平均年齢は31歳、つまり今どんどん発展している世界は日本より20歳近く若い人です。この人たちはデジタルネイティブと言われる方々がほとんどで今、そのデジタルを使って「自分達が便利な世界」を実現するため、会社を作って行っています。アメリカやドイツなどでも月に数万件の新規企業が立ち上がっています。

今や世界的にはスタートアップ起業がは当たり前になりつつあるわけです。

スタートアップは「人に新しい価値を提供するために起業する」ことがほとんどです。なぜなら、既存とは違う業種でなければ既存ある産業には勝てない。同じことを行ってもお客様が乗り換えてもらうことが難しいためです。

この「人に新しい価値を提供する」ということが「変革」につながると思っています。
過去の常識にとらわれずに新しい価値を提供する。サービスを受ける人たちからするとより便利になる世界。これらによって、世界が今急速に進化をしています。

これからは、Z世代に教えてもらう時代

「メタバース」「フリマアプリ」「動画SNS」「QRコード決済」・・・

さまざまなサービスを使いこなしながら、コロナ禍においてもオンライン上でさまざまな活動を続けるZ世代。いや、オンラインは難しいし、怖い。若い世代は何かスマホで遊んでいるだけ・・・そんなお話を聞くことも多いですが、世界目線でみると、スマホを使って「生活」をしている人が実は多数派になっています。今やアフリカの先住民族ですらスマホを使ってさまざまな活動、例えばキャッシュレス利用やSNSをする時代になっています。

スマートフォンが登場してからすでに15年、パソコン(Windows95)登場からは25年、1995年生まれのZ世代からすると生まれた時には、パソコンが存在し、物心ついたときにはスマホが世の中にありました。携帯電話が当たり前、地デジで綺麗な放送を見る、が普通の世代です。
日本の平均年齢の方からみると、日本の高度経済成長期の恩恵を受けて、色々なものが整備された世代になると思います。
私もその1人ですが、その人間からすると便利な生活があたり前の世代で不便。ということを感じたことがない人が多いのではないかと思います。

一方で、Z世代からするとデジタルで便利な世界がある中、少し前のインフラについては、不便に感じる事も多いのだと思います。

なんでも紙で。対面で。封書で。手書きで。

オンラインでちゃっちゃとやってしまえば早いのに。オンラインもなぜ紙で行う時と同じやり方やフォームを使うのか。そもそもメールって不便じゃない?

昔のやり方をオンライン化しても、手段が「変化」されただけで「変革」されておらず、結果的には「面倒になっている」ことが多いのだと思います。

ならどうすれば良いのか?ということをZ世代の若者は普段使っているので知っています。彼らに便利な世界を教えて貰う時代が来ていると思います。

単なる手段の「変化」ではない「変革」が今こそ必要に

長々書きましたが、手段の変化では、不便さが増したり変わらないために結果的には「デジタルは難しい」「紙のほうがラク」「リアルの方が便利」ということになっているのだと思います。

過去のインフラにこだわりを持ち、そのままデジタル化させると手段を変化させただけになってしまい、結果的には不便になり、結果的には使われないものになってしまいます。
デジタルトランスフォーメーションや働き方改革、SDGsの本質は「変革」です。
どうなれば本来の良い世界を実現できるのか?を中心に考えていく。利用者が豊かになる世界を実現するための取り組みです。

そのためには「今どき」を理解している「世代」が、「便利」に使っているものを「日本の社会システム」に適応することが必要不可欠だと感じています。

2021年は、各大学の授業やゼミ、学生エバンジェリストアワードなどの活動を通じ、若い世代のお話や声を聞くことができました。また、我が家にもZ世代未満が2人いますし、メタバースや動画SNS、QRコード決済など新しいことは全てやってみよう。という感覚であらゆるものにチャレンジしています。

この感覚を全ての方が持つことは難しいかもしれませんが、でも、Z世代に活躍してもらう、彼らを支えることは可能かと思います。

2022年は変革の時

2022年は新型コロナのパンデミックも終息に向かうことが予想される中、新しい時代を作り出し、社会課題を解決する手段としてZ世代が便利に感じていることを日本の社会システムに実装し、次世代の便利で環境にやさしい、仕事しやすい世界を実現出来ればと考えています。

私も引き続き、講演活動の中で、皆様にデジタルトランスフォーメーションや働き方改革、SDGsを進めて頂くための講演をさせて頂きます。また、若い世代の支援も引き続きやっていく事で、日本をもっと便利な社会に変えていく。単なる「変化」ではない本当の「変革」を進めていけれればと、今年の振り返りをしつつ考える年末となりました。

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