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徒然なるビート

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自分の人生を振り返って大切なものを考えたり考えなかったりするブログです。
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2023年1月の記事一覧

思い出は血濡れたままで

[1]メガネは顔に刺さる
 大学3年生の頃、働いていた下町のお好み焼き屋のバイト終わりに、その当時店長だった水口さんという髭の生えたおじさんに飲みに誘われて、彼の行きつけのお店に行った。ちょうど今くらい寒かったのを覚えている。
 なんだか僕は、ちょっとそそっかしくて、人懐っこいのにガサツだからパートのおばちゃんに少し邪険に扱われていた水口さんという人がどうしても嫌いになれなかった。
 なんの話をし

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純粋な気持ちはどこに消えた

[1]音楽をする意味
 「楽しいから音楽をする」これはZOOZを始めた頃、明確に僕の中で揺るがない信念めいたものになっている。それは当たり前なことかもしれないけれど「音楽は楽しいもの」ということが、「大きくなりたい」とか「良い思いをしたい」とか、余計な欲望やしがらみを引っ付けてしまうことで「楽しくないもの」に変わってしまうことが往々にしてある。
 「本来楽しいはずのもの」に「現実的な欲望」をくっつ

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いつか死ぬから

[1]のんびりを許さない
 久々にこの感覚に襲われた。年始から働けど働けど忙しさは増すばかりで、いくら急いでも、優しくしても、残業しても、追い立てられるように仕事が襲って、余裕がなくなるこの感覚。危ない。
 「なんでこんな頑張っているのに」という思いは少しずつ「自分はこんなに頑張っているのに、なんで周りはこんなに適当で、自己中で、我儘で、のんびりしているんだ」という不満に変化する。
 これを更に放

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続・捨てなければ前に進めない

[1]定期券は捨てなさい
 「まだまだ捨てるものはあるよ」名古屋の地で半年分の大阪の区間で使う定期券を無くすという荒技を披露してしまった。落ち込みつつ一息落ち着いてから考えてみると、神様に「まだまだ捨てるものがあるよ」そう言われた気がした。
 去年も、こだわりであったりお金であったり、ある種の人間関係であったり、色々なものを喜んで捨てて、人の為に使い、前に進んできたつもりだったけれど、「あなたはま

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試験と図々しい幸せ

[1]センター試験
 それが人生の全てだった。それなりの進学校にいた僕は10年以上前の日、センター試験を受けていた。
 親から貰った眼鏡を高校に入学してから早々に破壊したことを黙り続けていたので、試験の日は教室に掛けられた時計が見えないハンデを抱えながら、人生を賭した試験を受けていた。
 試験中は、部屋でDOPING PANDAやゆらゆら帝国のラジオを聴きながら、時にセキセイインコと喧嘩しながら勉

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大人にならない

[1]成人式
 なにもしなかった。10年以上前の成人式の日、僕は家から出なかった。
 中学生の頃、カースト上位のやんちゃなグループが昼休みに学校から抜け出して、全員バイクを盗んで警察官に補導されて帰ってくるような治安の良くない地元だった。
 中学の卒業式は代々受け継がれた刺繍入り短ランや長ランを身に纏い、式典を壊すべく出席する人が多くいたので、僕は地元との関係を絶ちたい気持ちしかなかった。
 きっ

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新年最速のスタートダッシュ

[1]いのちをだいじに
 他人に介入して自分を救う年。今年はきっとそう。新年早々知り合いが目の前で意識朦朧となり、倒れて顔を強打して血を吐きました。
 怪我はしていましたが命は無事だったので一安心ですが、近しい人が一瞬「死ぬかもしれない」という恐怖から新年を始めた僕は、一富士二鷹三吐血とでもいうべきか、不意に「人生ってなんだろう?」と考えるスタートダッシュを華麗に決めてしまった。ともあれ、大袈裟で

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