新年最速のスタートダッシュ

[1]いのちをだいじに
 他人に介入して自分を救う年。今年はきっとそう。新年早々知り合いが目の前で意識朦朧となり、倒れて顔を強打して血を吐きました。
 怪我はしていましたが命は無事だったので一安心ですが、近しい人が一瞬「死ぬかもしれない」という恐怖から新年を始めた僕は、一富士二鷹三吐血とでもいうべきか、不意に「人生ってなんだろう?」と考えるスタートダッシュを華麗に決めてしまった。ともあれ、大袈裟であれなんであれ、死ななくてよかった。
 捨てなければ前に進めなかった昨年は、自分のためにこだわりからお金から喜んで捨てて進んできましたが、今年はそこから得た知見や心を持って、魅力ある他人の人生に深く飛び込んだり、巻き込まれたりして、結果的に自分を救う年になるのかも。
 そんなことを思いながら、顔を強打して切り傷を負った知り合いの顔に塗る薬を薬局で選びながら、「人生ってなんの意味もないのに、命は大事なんだから」という相反する気持ちがないまぜになっていた。


[2]ソナチネ
 二年前の元旦、僕は一人で映画ソナチネを鑑賞していた。なんて暗い年明けだったのだろう。
 ヤクザの抗争に巻き込まれてあっさり人が亡くなる。「人はあっさり死んでしまう」場面があらゆる箇所に散りばめられていて、元旦から早速、「死」から照射した「人生ってなんだろう?」という問いを考えていた。
 二年後、つまり今年の三ヶ日は顔を強打した知り合いに「死なないで」と震えているものだから、皮肉なものである。今年は「生」から照射した人生の意味を、あるのかないのか考える年になりそうだった。
 二年前も今も変わりなく「人生ってなんだろう?」と飽きもせずに考え続けている。幾分今年は少し前向きに人生の意味を考えることができそうだったが、考えても考えても分からないことには変わりはなさそうな予感がしている。
 干支が一周しても同じことを考えてるんだろうなと思いながら、二年前から変わらぬ考えばかり巡らせ続けていた。人生ってなんだろう?それが分かることなんて、一生ないのにね。

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