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プラットフォームの経済学 機械は人と企業の未来をどう変える?

プラットフォームの経済学 機会は人と企業の未来をどう変える?
著者 Andrew McAfee / Erik Brynjolfsson (MIT) 

発展するテクノロジーがどのように私たちの未来を変えていくのか?という疑問について、テクノロジーが私たちの生活を変えた実例をたくさん紹介しながら、今後どのように活用していったらよいか教えてくれます。

例えば音楽CDの売り上げは、2000年から2015年までの15年間でほぼ半減しました。タワーレコードは2006年、HMVは2013年に倒産しました。こうなった理由はもちろん、NapsterやiTunesといったプラットフォームの出現です。ただ、人々が音楽を聴かなくなった訳ではなく、むしろ身近になりました。なぜかというと、「アルバム全体を味わってもらいたいアーティスト(収入を増やしたいレコード会社)」vs「.お気に入りの1~2曲だけを聴きたい消費者」というミスマッチが、消費者にとってうれしいほうに解消されたからです。

テクノロジーの発展によって出来上がったプラットフォームには、"無料"、"完全"、"瞬時"という優位性があるそうです。いったんデジタル化されたものは"無料"で複製でき、その複製は原本と"完全"に同じで、ネットワークを使って"瞬時"に送り届けられます。さらに、モノやサービスの利用者が増えれば増えるほどその価値が高まる"ネットワーク効果"もあるそうです。SNSやUber、Airbnbなどがその例ですね。

そして、ネットワークからクラウドが出現します。人類の歴史で出版された本は1億3000万冊ですが、ウェブで検索/閲覧可能なページの数は450億ページ。クラウドにおけるコンテンツの質は保証されない無秩序なものですが、コンテンツ同士のつながり(リンクの多さ)で序列をつけるアルゴリズムを作ったGoogle検索が図書館に取って代わりました。クラウドシステムは、図書館や政府といった特定の人が作るコアシステムと違い、参加する人たち全員の共同作業で作られます。変化のペースが速く多様な現代社会おいて、クラウドシステムのほうがイノベーションを起こし易いのはその無秩序さのおかげかもしれません。さらにブロックチェーン技術によって、これまで大企業や政府が担ってきた価値の創出や富の再配分を、自分で出来る様になるかもしれません。

ただし、物事はそう簡単にいかない様です。現に自律分散型組織やビットコインといった試みは普及しませんでした。なぜなら、不測の事態に陥った時の信頼がないからです。私たちは、不完全な将来に備えようとすると、テクノロジーよりも旧来型の大企業や政府を選ぶようです。

アメリカで1980-2012年の間に最も増えた仕事は、意外にもソーシャルスキルに関わるものだそうです。テクノロジーがいかに発展しても、それはまだ私たち人間の道具であって、その道具を使うには人間の動機がきっかけとして必要なはずです。

まずは、自分たちが何をしたいか?を見極めること。そして、テクノロジーの進化を常に理解し、賢く使うことが重要だと知りました。

最後に印象的な引用の引用。
「応用科学を理解しただけでは 、研究業績は賞賛されない 。人類の運命こそが 、あらゆる科学研究の最大関心事であるべきだ 。われわれの頭脳が生み出すものが祝福され 、人類から呪われないためには 、労働のあり方や財の分配といった未解決の重大な問題に対する関心をつねに持っていなければならない 。図表や方程式に没頭しているときでも 、このことを忘れてはならない 。──アルバ ート ・アインシュタイン 、一九三一年」





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