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松下幸之助と『経営の技法』#313

12/24 自然の理にかなうこと

~自然の理に反することは不可能である。自然の理にかなっていれば必ず事は成る。~

 確かに人間には不可能なことがいろいりあります。不可能とはどういうことかというと、いわゆる自然の理に反することが不可能だということです。例えば、人間は必ず年をとっていく、それは自然の理です。ですから、その理に反して年を取りたくないと願ったところで、それは絶対に不可能です。
 けれどもこれは、逆にいえば、自然の理にかなったことであれば、すべて可能であるということでしょう。つまり、お互いの体のことにしても、人間関係や商売など何ごとにおいても、自然の理にかなっていれば必ず事は成るということだと思います。
(出展:『運命を生かす』~[改訂新版]松下幸之助 成功の金言365~/松下幸之助[著]/PHP研究所[編刊]/2018年9月)

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 まず、社長が率いる会社の内部の問題から考えましょう。
 理に適っている、よし、頑張ろう。
 上司に言われると、随分とやる気が出そうな心強い言葉です。頑張れる環境、すなわち会社の方針変更や予算削減、主力メンバーの異動、などのような外的な要因で諦めてしまうことの無いようにサポートするのが上司の役割りです。
 さらに、ただ漫然と同じミスをくり返しても、成功する確率は上がりませんから、ミスを分析し、改善を繰り返すことが、成功するための重要な要素です。上司は、このような指導教育や経験の伝授などをすることも必要です。
 つまり、組織として「事は成る」を実現するために、リーダーが成功を信じるだけでなく、裏方となってチームのメンバーを盛り立て、サポートし、自分の知見を伝えます。
 ここでの言葉の裏側には、会社組織として見た場合、かような動きが伴っているのです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 次に、ガバナンス上の問題を検討しましょう。
 投資家である株主と経営者の関係で見た場合、経営者は株主の投資対象です。しっかり儲けてくれる人を選ぶべきであり、そのためのツールである会社組織を上手に使いこなす能力も必要です。上記のように、組織を動かし、会社組織をリードする能力です。
 けれども、最も大事なのは、その方向性を見極め、決断する能力です。単に成功するかどうかの見通しだけでなく、それが儲かるものであって、会社にも社会にも役に立つものであることが重要です。そこが、単なる専門バカとは違うところで、専門分野に関し興味のあることだけに取り組んでいれば良いのではなく、それが皆の将来の食い扶持になるかどうかを、冷静に見極めないといけません。

3.おわりに
 やれば必ずできる、という言葉を、松下幸之助氏は時々使います。もちろん、神ではないので不可能もありますから、額面どおりに全て可能、というわけではありません。他の個所でも触れたように、簡単に諦めずに努力を継続する意識や状態を作り出すことが、本当の意味と考えられるでしょう。
 どう思いますか?

※ 『経営の技法』の観点から、一日一言、日めくりカレンダーのように松下幸之助氏の言葉を読み解きながら、『法と経営学』を学びます。
 冒頭の松下幸之助氏の言葉の引用は、①『運命を生かす』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に了解いただきました。


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