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【アウトドア】登山での心臓突然死を防ぐために

はじめに

近年、日帰り登山の上りでの心臓突然死が問題となっているが、その主要因として体力不相当の速いペースで歩いてしまっていることが指摘されている。

長野県山岳総合センター.同山岳遭難防止対策協会:登山関係事業者・登山関係団体のための高年登山者の傾向と対策,長野県山岳総合センターホームページ(トピックス),2015.

運動の強度と心疾患の関係について言及した先行研究をみると、6メッツま
での運動ならば安全性は高いとされる。

松原建史ほか:自転車エルゴメーター運動時の収縮期血圧応答から検討した安全な運動強度.
九州体育・スポーツ学研究 28:1-9,2013.

7メッツ(ジョギング相当)以上の運動を普段から励行していない人や、心臓に問題を抱えている人が行った場合には、心臓突然死の発生率が著しく高まるとされる。

Haskell,WL et al.:Physical activity and public health;Updated recommendation for adults from the American College of Sports Medicine and the American Heart Association.
Med Sci Sports Exerc 39:1423-1434,2007.
Siscovick,DC et al.:The incidence of primary cardiac arrest during vigorous exercise.
New Engl J Med 311:874-877,1984


推奨される歩行速度


基本的には、垂直方向への移動速度にほぼ比例して、運動強度が増大すると報告されている。

萩原正大.山本正嘉:歩行路の傾斜,歩行速度,および担荷重量との関連からみた登山時の生理的
負担度の体系的な評価.体力科学 60:327-341,2011.


軽装備での日帰り登山(登高速度)
「6メッツ 300-350m/h」

7メッツ 400m/h
8メッツ 500m/h


おわりに


心臓突然死を防ぐため、普段から運動を行っていない人、心臓に不安や問題を抱えている人は、6メッツ相当(300-350m/h)での登高を意識する。


参考文献


山本正嘉 他:登山のガイドブックに記載されているコースタイムの特性ー運動生理学の視点からの検討ー.登山医学 Japanese Journal of Mountain Medicine  40:146-153,2020.


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