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校務分掌のデジタル化・ICT化する手順は?(学校全体編)


校務分掌のICT化の手順(学校全体)

1. 現状の分析

  • 現在の業務フローの把握: 手作業で行っている業務や、既存のシステムを使用している業務を一覧化する。

  • 問題点の洗い出し: 現状の業務で非効率的な部分や課題を明確にする。

デジタル化・ICT化を進める前に、まずは現状を正確に理解することが重要です。学校の校務分掌は広範で複雑な業務を含むため、その全体像を把握することから始めましょう。
一日の中でどの業務にどれだけの時間を割いているか、各業務の重要度はどの程度か、これらを一覧化します。手書きの書類作成、電話や対面での会議、教育資材の準備といった業務から、プリントの配布、保護者への連絡、校内のイベントの準備など、学校が円滑に運営されるための様々な業務を洗い出すことが求められます。
また、問題点の洗い出しも行います。業務の遂行に時間がかかっているもの、人的なミスが生じやすいもの、重複作業が存在するものなど、現在の業務遂行における非効率性や課題を明確にします。このステップが適切に行われることで、校務分掌のデジタル化・ICT化が効率的に進行し、具体的な改善点に結びつくのです。

2. 目標の設定

  • 効率化したい業務の選定: 具体的にどの業務をデジタル化・ICT化するかを選定。

  • 成果の定義: デジタル化・ICT化を実施した後、どのような成果を期待するかを定義する。

ここでは、具体的な達成期限と目標を設けることが重要です。
例えば、「3か月後には全教職員がデジタル出席管理システムを使用し、出席確認時間を現状の半分に短縮する」、「6か月後までに議事録作成時間を半分に短縮する新しいツールを導入し、全教職員がそれを利用できるようにする」、「1年後までには、授業準備の時間を20%削減する新たなICTツールを全教職員が活用できる状態にする」など、明確な期間と達成目標を設定します。
これらの目標は、全教職員が一丸となって取り組むべき共通のゴールであり、具体的な数字と期限があることで、ICT化の進行具合を見える化することができます。また、設定した目標が達成されたときには、その成果を全教職員で共有し、デジタル化・ICT化への意識向上やモチベーションの向上にもつながります。
目標設定は、全体としてのデジタル化・ICT化の方向性を示すだけでなく、達成の喜びを共有するための重要なステップとなります。

3. 必要なツールやソフトウェアの選定

  • 市場調査: 利用可能なツールやソフトウェアの情報を収集する。

  • 導入コストの計算: 予算を考慮しながら最も適したツールを選定。

デジタル化・ICT化を実現するためのツールやソフトウェアの選定は非常に重要なステップとなります。現在の市場では多様な製品が提供されており、それぞれの機能や価格、サポート体制が異なります。具体的には、クラウド型の校務支援システムがあれば、全教職員が同じ情報にアクセスでき、情報共有やコミュニケーションがスムーズになります。また、学習管理システムを導入すれば、児童一人ひとりの学習進度や理解度を詳細に把握し、指導内容を最適化することが可能になります。

ここでのポイントは、自校のニーズに合ったものを選ぶことです。それぞれのツールがどのような問題を解決するかを理解し、それが自校の課題とマッチしているかを確認します。その上で、予算や導入後の運用コストを考慮して選定します。導入コストだけでなく、継続的に利用するためのコストも忘れずに確認しましょう。全体的なコストパフォーマンスを評価することが重要です。
公立の学校の場合、多くは市町村の教育委員会がツールやソフトウェアの選定を行っているため、学校の裁量が限定的な場合も少なくありません。

4. デジタル化・ICT化の具体的な導入

  • システムの導入: 選定したツールやソフトウェアの導入を行う。

  • データ移行: 既存のデータを新システムに移行する。

このステージでは、前のステージで選定したツールやソフトウェアの導入を行います。具体的なステップについてはツールやソフトウェアの提供者が提供するガイドを参照するとよいでしょう。

システム導入の一例として、学校の書類管理をデジタル化する場合を考えてみましょう。まず、提供者のウェブサイトから導入したいソフトウェアをダウンロードし、学校のコンピューターシステムにインストールします。次に、導入したソフトウェアにログインし、システムを初期設定します。これには、教職員のアカウント作成、権限の設定、システムのセキュリティ設定などが含まれます。

次に、既存の書類をデジタル化します。これには、紙の書類をスキャナでスキャンし、電子データとして保存したり、手入力でデータを入力する作業が含まれます。データが大量にある場合は、専門のデータ移行サービスを利用すると効率的です。

こうした一連の作業を通じて、実際に新システムが運用開始され、校務がデジタル化・ICT化されていきます。この過程では、提供者のサポートを活用しながら、問題が発生した場合は速やかに対応することが重要です。

5. 教育・研修

  • システム操作とICT基礎研修: 導入するシステムの操作方法やICTの基礎知識を教える研修を行い、教職員全員が新しいシステムを理解し適切に利用できるようにする。

  • サポートと定期的なフォローアップ: 導入後も定期的な研修を行い、教職員が最新のICT知識を持ち続けられるよう、疑問や問題が生じた際の対応体制も整え、ICTリーダーを通じて情報共有の場を設ける。

デジタル化・ICT化を円滑に進めるためには、教職員一人ひとりのICTリテラシー向上が欠かせません。そのため、導入するシステムの操作方法だけでなく、基礎的なICTスキルや知識の習得を目指す教育・研修の実施が必要です。

まず、具体的な操作方法を理解するための研修を開催します。この段階では、新システムの基本的な使い方や、それが日々の校務にどのように役立つのかを学びます。具体的な事例を交えた実践的な指導が効果的です。

また、ICTの基本的な知識やスキルを身につけるための研修も必要です。情報セキュリティやデータ管理、ICTを用いた効率的な業務の進め方など、校務分掌に関わる多様な項目について学びます。

さらに、新たなテクノロジーが進化するにつれて必要な知識やスキルも変わることから、定期的なフォローアップの研修を実施します。これにより、教職員が常に最新のICT知識を持ち続けられるようサポートします。

最後に、全ての教職員がICTを使いこなすためには、質問や困った時に対応する体制も重要です。各校でICTリーダーを配置し、個別のサポートを行うとともに、定期的な情報共有の場を設けることで、教職員同士の連携も深めます。

このように、システムの導入だけでなく、ICTスキルや知識の習得、定期的な研修、サポート体制の整備など、多角的な視点からの教育・研修が、デジタル化・ICT化を成功させるためには必要不可欠です。

6. 評価とフィードバック

  • システム利用の定点観測: 定期的にシステムの利用状況を確認し、問題点や改善点を洗い出す。

  • フィードバックの収集: 教職員からのフィードバックを収集し、改善のためのアイディアを取り入れる。

新システムが導入されたら、一息つくのではなく、その効果を評価し、フィードバックを活用するフェーズが始まります。これはデジタル化・ICT化が成功するための重要なステップです。

システムの利用状況を定点観測することで、利用者の行動パターンを理解し、システムの機能やユーザビリティの問題点を洗い出すことができます。たとえば、どの機能が頻繁に使われているのか、どの画面で操作に迷っているのかなどを確認することが可能です。

また、フィードバックの収集も大切です。教職員からの直接的な声を集めることで、実際の業務で遭遇する問題や、必要な改善点を把握することができます。フィードバックを収集するためには、アンケートを行う、定期的にミーティングを開催するなど、積極的に意見を聞く場を設けることが重要です。

このフェーズで得られた知見を元に、次の改善アクションを計画します。システムの導入は一過性の事象ではなく、継続的な改善と更新が必要なプロセスであることを忘れないようにしましょう。

7. 継続的な改善

  • システムのアップデート: 新機能の追加やセキュリティ対策など、システムの継続的なアップデートを行う。

  • 再評価: 一定期間後、再度現状の分析と目標の見直しを行い、継続的にデジタル化・ICT化を進める。

デジタル化・ICT化は一時的なプロジェクトではなく、継続的な改善のプロセスととらえるべきです。新しいツールやソフトウェアを導入しただけで終わりではありません。技術は日々進化し、それに伴い教育の現場でも新しいニーズや課題が生まれる可能性があります。したがって、その都度適応していくことが必要です。

具体的には、定期的にシステムの使用状況を評価し、問題点や改善点を洗い出します。例えば、教職員から「この機能が使いにくい」「こんな機能があればもっと効率的に作業ができる」などのフィードバックが寄せられたら、それを改善のための参考にします。また、新たに市場に登場したツールやサービスが自校の課題解決に役立つ可能性があれば、試してみるのも一つです。

また、セキュリティ対策は特に重要です。不正アクセスや情報漏洩などのリスクを避けるためにも、システムのセキュリティを定期的に確認し、必要に応じてアップデートを行うことが大切です。

一定期間(例えば1年など)ごとに全体を振り返り、必要に応じて再度目標を設定し、改善を図っていきます。このようにして、小学校の校務分掌のデジタル化・ICT化は、絶えず進化し、よりよい方向に進んでいきます。


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