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運動会のような試合!?

現役時代を振り返って自分で面白かったと言えるレースについて
前回のnoteの最後に少しふれたことを詳しく書いてみようと思う。

2009年、世界選手権で10000mと5000mに出場した時のことだ。海外のレースは、この時が初めてではなく、世界ハーフマラソンや、世界クロスカントリー、2008年北京オリンピック(マラソン競技)と出場した経験があった。
(出場した主なレースはこちらのHPより)

選手の時、自分が出場する側でなく、観客側の時に(世界レベルの試合の経験が少ない時)、なぜ舞台が世界レベルへと大きくなればなるほどアスリートは自分の持つ力を発揮するのが難しくなるのかと思ったことがある。想像するに、いつも通りの気持ちでいられない、特別感を感じたり、大きな舞台だからこそ頑張りたいという気持ちが体の力みになるのかな?と思った。
では逆に、いつもの国内レースのように緊張しすぎず、適度な緊張感の中で、普段と同じ気持ち・精神状態なら自分の力が発揮できるのかもしれないと思ったことがあった。

北京オリンピック

実際、自分がオリンピックに出た時に、よく分かった。頭では、いつも通りの気持ちで走ればいいと思っていたのに、終わってみたらいつも通りの気持ちで無かったなと反省することがたくさん浮かんできた。想像するのと、実際やることは全然違うし、難しさを強く感じた。

オリンピックの翌年、世界陸上にトラックで出場するチャンスをいただき、すごく嬉しかった。そして、今度こそ昨年の反省を活かしたいと思ったし、今度こそいつも通りの気持ちで走って、世界レベルで戦えた!という走りがしたいと思った。
世界陸上を目指すきっかけは、前年の五輪が悔しい結果だったからという事と、世界陸上というものがどんなものか、ベルリンに行ってみたい気持ち、本当に走れたらどんな気持ちなのか?というワクワク、期待感があった。
今思うと、それは好奇心だったのかなと思う。未知の世界への好奇心と世界で自分がどこまで戦えるか?という好奇心がモチベーションになっていた気がする。

世界陸上出場までの流れの細かくは、世界陸上の予選(日本選手権)に触れている過去のnoteを参考にしていただければと思う。

世界陸上までは、今思うと意識的にトラック競技だから気楽に走れる!と考えていた気がする。"プレッシャー" は、プレッシャーに思えば思うほど重くなってきてしまうので、マラソンほどトラック競技は注目されないとあえて思うことと、世界陸上は五輪ほど注目されてないと意識的に思うことにしていたんだと振り返る。そう思う方が、変な気負いなく、集中して自分が世界でどのくらい戦えるのか?だけを考えられる気がした。
そういう意味で言うと、対象的に五輪は周囲のことが気になっていたり、本番で結果を出さないといけないと言う気持ちで、どのくらい戦えるのか?という楽しみな気持ちになれていなかったと思う。

ベルリン世界陸上

実際、ベルリンに入ってから、大きな驚き発見があった。選手村になってるホテルで、海外の選手はゲームしたり、ワイワイしている雰囲気で、勝ってやるぞ!って言うピリピリしたムードではなかった。
試合に向けての準備も順調で、精神的にも身体的にもいい状態だった。あとは、うまくレースを走れるかな?という感じだった。その自分の感じと、海外の選手の温度差に驚いた。しかし、その雰囲気を見て楽しんだら良いんだと思ったし、気が楽になった。

今の解釈としては、競技場では緊張感を持ってみんな調整練習などを行うけど、ホテルではリラックスしてると言う事だったんだろうと思う。私はそのオリンピックとは違う雰囲気に衝撃を受けて、海外の選手は世界陸上を小学校の運動会くらいの楽しもう!という感じで居るのかもしれない、それなら同じ気持ちでいなければ、その時点で負けるとその時思った。
その瞬間から、頭のどっかにこの試合は楽しい運動会だ、日本選手権のように何か(世界陸上)がかかってる予選会でもない。ここは最終目的地で、楽しんで走る場所だと思った。こんな気持ちで、試合を走ったことは初めてだった。

今振り返ると、時々私が走れなくて暗い顔をしていると、監督・コーチからもっと楽しまないと、とか、試合で走れなかった時に、遊び心を持って走ってみるといいよ、とアドバイスをもらった事がある。当時は、理解し切れて無くて、分かってるけどよく分からない感じだったと思う。遊び心を持つって、今考えてもなかなかハイレベルな事だなと思う。

世界陸上は、いい準備ができ、精神的にも良い状態、現地入りしてさらに楽しみになり、その結果、積極的なレースでベストタイムを更新して自分の中で、パーフェクトだった。

目指してきた試合に対して、運動会みたいで楽しそう〜と思ったのは、初めてだった。こういう感じを遊び心というのかなと今は思う。
その気持ちになれたことは、10000m入賞出来たことに大きくつながったと思う。

好奇心

このレース以降は、こんな感覚や気持ちで走れたことはなく、逆にどうしたらまた、この様な気持ちで走れるのか?と思い、悩む時期に突入した。
先日伺った、トップレベルの選手は、その競技を面白がり続けているという話を聞いて、悩んでた時期に足りなかったことを改めて感じた。好奇心・ワクワクする気持ちを持ち続けて競技する事は難しいが、それがとても大切なんだろうと思う。

好奇心、わくわくすることを大切に生きていきたいなと思う!

#わくわく #現役時代 #好奇心 #楽しかったこと #陸上競技 #マラソン #長距離



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。共感していただいだり、楽しんでいただけましたら、とても嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m