552○ おしずかに
「おしずかに」
起きてからすぐに窓を開けると
夏の気配を含んだ生温い雨が降っている
空も大分と熱を帯び
熱冷ましのシャワーにも思えるし
暑さに耐えきれなかった涙にも感じる
私たちは回避の方法を練って
影に隠れたり冷やした箱に逃げ込んだりと
凌げてしまえるのだが
世界中の熱を受け止めている空は
満を持しての曇と雨なのである
ひとときの流れ
さんさんと続く美しさ
もっと大胆に私たちを咎めるように
降ることも致し方ない覚悟であるのに
どうして静かに
眠るように降るのだろう
だから今は静かに
空の涙と
寝息に耳を澄まそう
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NAKAJI
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