ピンク、ピンク、黄色、そして土色
わぁ~、ピンク!
なだらかな丘の斜面が、まるでピンク色の絨毯を敷き詰めたようです。
桜の淡いピンク色と違って、いわゆるピンク色をイメージする濃いピンク色。
近くに来ると、それが濃いものや薄いもの、さらに白であったり、それらが混じりあって奥行きのある色合いを作りあげています。
ピンク色が好きな人もそうでない人も、ピンク色に包まれて、ほんわか幸せ気分になってしまいます。
この一面のピンクは桃の花。
「桃源郷」とも呼ばれている山梨県笛吹市のお馴染みの春の光景です。
笛吹市は桃の生産量日本一を誇り、その桃の花がこの時期に一斉に開花して、扇状地一帯をピンク色に染めます。
このピンク色を愛でるために県内外から多く人が集まります。
そしてここは、旧石器時代から平安時代までの住居、墓、土器、土偶などが数多く発見された釈迦堂遺跡なのです。
特に縄文時代の遺物が多かったことから、縄文時代の土器や土偶、土鈴などの遺物だけを所蔵、展示している縄文時代専門の釈迦堂遺跡博物館があります。
この釈迦堂遺跡博物館は、高速道路のPAから歩いて行ける博物館としても有名です。
中央自動車道の釈迦堂下りPAから専用階段にて徒歩約2分、上りPAから徒歩約10分。
南アルプスを望みながら、桃の花を愛でながら博物館まで行くことができます。
桃の花見をしながら博物館周辺を散策していると、こんな光景に出会います。
足元の黄色の菜の花の間から見え隠れするのは土偶です。
あちらこちらで土色の頭が見えています。
こちらは民家の隣で水仙に囲まれて、私たちをお出迎えしてくれています。
ここが釈迦堂遺跡博物館、土偶の聖地とも言われています。
土偶がなんと1,116点も所蔵されています。
土偶に加え、水煙文土器をはじめとする土器類を含めると、重要文化財は5,599点にも及びます。
土偶の国へようこそ!と、今は〝顔〟だけになってしまった土偶たちも笑顔で迎えてくれます。
さすが!水煙文土器は迫力の存在感です。
まるで生きているかのように、躍動感あふれる大型の土器です。
どこかでお会いしたような…
あんな顔、こんな顔……一つ一つが唯一無二の顔です。みんな違って、みんなそれぞれ個性があって、素敵、素敵。
現在は企画展「Dogu360° 狭東の土偶」が開催されています。普段の展示ではなかなか見ることのできない〝裏の顔〟や〝頭の上〟まで見ることができます。
これだけ多くの土偶、立派な土器が出土したことは、この八ヶ岳山麓の峡北地域に、縄文時代から多くの人が定住していたことを示しています。
出土した土偶たちの多くが縄文時代の中期の約5,000年前位のもので、この時代にこの地域が日本で最も栄えていたと思われています。
ところで、縄文人たちもこのピンク色を愛でたのでしょうか?
そのヒントは釈迦堂遺跡から西へ30㌔ほど離れた山梨県韮崎市にありました。
市内の宿尻第二遺跡から大量の桃の種が見つかったのです。
縄文時代には既にこの地域に桃が存在していたのです。
私たちと同じように桃の花を見て暖かい季節の到来を感じ、汗ばむ季節にはみずみずしい甘い果実を食したと思うと、縄文に生きた人々とこの土地がぐっと身近に感じられます。
ピンクに染まる丘は本当に素敵です。
来年もまたその次も、何度でも訪れたい場所の一つになりました。
ドライブがてらはもちろん、高速バスでふらっと訪れることも可能です。
今度は夕暮れに染まるピンク色を見に行きたいです。
最後まで読んでいただき有難うございました☆彡
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