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今日会いに行きたい!気になる土偶#037是川縄文館

先日、映画「Dr.コトー診療所」を観てきました。
16年前のTVドラマのその後を描いた映画、
私はテーマソングを耳にしただけで、
懐かしさと愛しさでウルウルと涙腺が緩んできます。

映画館に足を運ぶ楽しみの一つは、その圧倒的なスケール感ですね。
この映画の舞台となっている架空の島・志木那島しきなじまのロケ地は、沖縄県の与那国島。
スクリーンいっぱいに広がる真っ青な海と空、緑の島は、まるで違う国のような光景です。つくづく日本は広いなあ~と実感しました。

東西に長い日本列島は、日本海側と太平洋側の中心にある脊梁山脈といくつもの山地、そこにある河川によって細かく分断され、小さな集落が沢山生まれました。
この日本特有の地形から、その土地ごとに文化が栄え守り伝えられてきたのです。

先頃、東京国立博物館の館長が、博物館の高騰する光熱費や十分でない文化財の修理費を〝早急に改善する必要がある〟と、雑誌に危機感をあらわにする寄稿をされました。
このような声は、全国各地からも聞かれるようです。

一度失われたら取り戻すことのできない大切な文化財、これからも変わりなく次世代へと受け継いでいきたいものです。
今、私たちにできることはいったい何でしょうか。

頬杖ほうづえ土偶」

ここに何かを考えこんでいる土偶がいます。

「屈折土偶」や「蹲踞そんきょ土偶」と呼ばれる、青森県 風張かざはり1遺跡から出土した縄文後期の土偶です。

高さ14.1㎝、幅9.7㎝、
脚を組み、右手を左頬に当てている様子から、
愛称は頬杖ほうづえ土偶

青森県是川縄文館

顔立ちはちょっと写実的…遠くを見ているような目に半開きの口は、このポーズと合わさって考えにふけっているように見えますね。

頭部には、文様が施された髪型のような突起、所々に赤い顔料が残っています。耳に開いた穴は耳飾りを表しているようです。
体全体に文様が刻まれ、当時は全身が赤く彩色されていたと考えられています。

横から見ると、胡坐をかいているような様子がよく分かりますね。

背中の上部には深く文様が刻まれ、中央には円形にやはりくっきり文様が施されています。
まるみを帯びた背中は、まるで人のようです。

実はこの土偶は、祈りの土偶と言われる 国宝「合掌土偶」と同じ遺跡から見つかりました。
丁寧な作りに赤く彩色されていたこの土偶も、やはり大切な祈りの道具であったようです。

国宝「合掌土偶」は、そのポーズから〝祈りを捧げている〟あるいは〝妊婦さんが出産する場面〟ではないかと考えられています。

では、この土偶は?
胡坐をかき、頬杖を突く…
見たとおりそのままに〝考え事をしている〟ように思えないでしょうか。

縄文時代の人々も私たちと同じように、家族や社会の一員として暮らしていたと思うと、あれこれと思い悩むこともあったのでないでしょうか。
そんな姿を土偶に映した…ということもひょっとしたらあるのでは⁉
皆さんはどう思われるでしょうか?

文化財はすぐには答えを生みませんが、日本における唯一無二の財産であり世界に誇れる日本文化です。
今は東京国立博物館の募金箱に僅かばかりの寄付しかできませんが、私にできることは何であるか?
今日も頬杖をついて考えています。

*参考資料
是川縄文館 常設展示図録

最後までお読みいただき有難うございました☆彡


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