詩「祭りの夜」 2018 6 11
祭りの夜ってさ
健康にみんな不健康で
はぐれて辺りを見渡したとき
君は他の男とキスしていて
見たくないものを闇に紛れさせようとして
僕も闇に紛れて怖くなって
山車が通ったあとのすすけた提灯の下をたどって
何回も嫌になっちゃうんだよ
燃ゆる夜だから
なおさら嫌になっちゃうんだよ
酒を飲む担ぎ手
手を叩く壮年
観光客
笛
掛け声
法被
足袋
Tシャツの僕
浴衣の君
祭りの夜ってさ
開放的にみんな閉鎖的で
水ヨーヨーなんかに気を取られていると
君はなんだか物欲しげな顔で男をみつめていて
見たくないものを闇に紛れさせようとして
君の中の女が夏の蒸した佇まいに充満して
別な男に向けられた君の生身には触れたくなくて
何回も嫌になっちゃうんだよ
燃ゆる夜だから
なおさら嫌になっちゃうんだよ
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