PMは"ミニCEO"なのか? PMの4つのスペシャリティについて
先日のツイート
https://www.reforge.com/blog/product-specializations
元記事はこちらで、とても良い記事なのでいろいろなところで引用、解説されていますが、私も色々思うところがあるので、まとめてみました!
というのも、日本ではあまりまだ語られないけど、グローバルだと"何でもできるPM”、つまりジェネラリストってあまりいないんですよね。
私自身もSalesforceの米国本社で Product Growth & Adoption というチーム配下でPMをしていますが、まさに上の図の2番目 "Growth PM "に位置します。逆に言うとそれ以外の領域は仕事の中では関わることが少なく、自分自身としても弱いと思っています。
なので、個人的に、Innovatino PMの要素を補うために、ジョブ理論についてまとめてみたり、日本のスタートアップを副業という形で支援させていただいています (副業支援はTwitterのDMで受け付けています!)
ということで、今回はこちらの記事を参考に、PMのスペシャリティについて色々考えてみました
PMは"ミニCEO"?
PMを定義するときによく言われるのが、"ミニCEO"という表現です。これは比較的小規模な会社で言われると思います。PMはプロダクト、戦略、ビジョンを担うので、プロダクトベースの会社の場合は実質CEOと同等の動き方をするという考え方を含んだ表現かと思います。
この表現が全て間違っているとは思いませんが、この表現によって「すべてのPMは幅広い領域をこなすスーパーマンである」という間違った認識が広まっているのも事実です。
ただ実際はそんなことなくて、0→1なのか?成長フェーズなのか?技術的なのか?など、プロダクトのステージや仕事内容によって様々です。
冒頭に示した記事でも
Product Management has not yet defined specialities.
と書かれているように、PMのジェネラリストの側面ばかり語られていて、スペシャリティについてはあまり定義されていません。もちろん、仕事を定義することは難しいのですが、PMのスペシャリティについて考えてみようじゃないかという話になります。
「PMはみんな一緒!」が引き起こす問題
このような「PMはみんな一緒!」「ミニCEO」「スーパーマン」「なんでも屋「チーム横断で活躍する人」という解釈はさまざまな問題が引き起こすします。
1. どんな状況下でも同じことをしてしまう。
あらゆることを常に満遍なくやってしまうので、本当に解決すべき組織やプロダクトの課題を解決できない。
2. やるべきことのなぜ?や本当の課題を考えられない
過去にやってきたジェネラルなことしかできないので、今までと同じことをしてしまう。別の問題にぶつかったときに、適応できず、成長スピードが鈍化し、スケールすることができない。
3. 何にフォーカスすればいい分からない
本来周りが求めているやるべき事とのギャップが生まれる。幅広い視点で見てしまっているので、注力するポイントが見えずに、経営層やエンジニアサイド、顧客が求めるところと違うことをしてしまう。
4.個人のスキルと採用とのギャップが生まれる。
採用企業側もなんとなくで「何でもできるPM」を募集してしまう。そうすると、実際は異なるスペシャリティを持つPMがきても、見極めることができず両者にとって良くない結果になってしまう
5. 組織内で役割が被ってしまう。
PMが幅広い職種だと思っていると、すでにその組織で誰かが上手くやっている部分と同じようなことをしてしまう。たとえば、エンジニアリングリードが上手く進めている中で、PMが似たような動きをしてしまったり、事業企画が上手くイノベーションをしているのに、似たようなことをしてしまうなど
PMに共通したスキルもある
もちろん、PMにも共通したスキルがあります。
①技術的な理解とデータドリブンの意思決定
エンジニアリングチームとの会話や、最新のテクノロジーや市場トレンドを理解して、かつただの「アイデア屋さん」ではなくしっかりしたデータに基づいた意思決定ができること
②複数チームをまたがった対話&コラボ能力
幅広いことをするだけではない、と言っても多くのチームとコラボレーションすることは変わりません。経営層、エンジニアリングチーム、デザイン、リサーチ、CS, マーケティング, 営業, パートナー, 顧客など会社のあらゆるチームと、状況に応じて対話する必要があります。
③製品や顧客ニーズの解釈、検証と反復による解決策を見つける課題解決力
0→1でも、1→100でも、製品や顧客ニーズの解釈は絶対に必要です。さらに、1ショットでの調査ではなく、調査、仮説、検証/テスト, 分析, 改善を早いスピードで反復しながら、課題解決を行うソリューションを考える必要があります
④ユーザー理解と共感、傾聴を通した課題解決,発見能力
上記③の課題解決において、コンサルティングのような論理的思考力や、デザイン思考のようなアイデア、ブレスト能力が必要なわけではありません。実際のユーザーと対話し、理解し、共感し、そしてデータに基づいて、課題解決の方法を探し続けて行く必要があります。
⑤組織などに対する長期的なビジョンや戦略的思考
PMは研究者ではないので、新奇性と最先端の技術を持ったプロダクトを作るわけではありません。あくまでもビジネスなので、会社を成長させるために、長期的なビジョン、戦略的な考えを持って、①から④を行う必要があります。
PMのスペシャリティは理解されていない
ここまで書いてきた、PMのジェネラルな要素はおそらく多くの方が理解していると思います。しかし、実際のPMの仕事はこのような広い範囲の業務をスーパーマンのように何でもこなしたり、チームを大きくマネジメントすることではありません。
ここでは、大きく4つのPMの種類が述べられています。
①プロダクトの中心を固める Core PM
顧客の課題を解決し、ニーズを満たすためのプロダクトの中心となる機能そのものを作り、プロダクトを通じて価値を提供し、市場を獲得していくことに責任を持つPM
②成長を促す Growth PM
既存の製品や機能に対して、ユーザーとつながり、声を集め、より使ってもらい、製品も改善し、既存製品の価値を高めるPM。
私はここに位置します。既存のAI製品を担当しており、特にAPAC、日本のお客様を対象としています。日本のお客様に製品を使ってもらう様子を一緒のミーティングでみたり、その中ででた製品のフィードバックや改善要望を拾い上げます。それらを、どのくらい重要か?本当に必要か?を考えて、①のCore PMにつないで、製品の改善を行っていきます。新製品のテストや検証もお客さんと一緒にやっていきながら、製品の価値を高めて、製品全体のAdoptionや契約数、利用率を上げて、つまりビジネスへ貢献していきます。
③スケールさせる Platform PM
新機能や拡張性に必要な基盤、特に開発基盤を広げるPM。参考記事の方では、社内向けの開発基盤の整備に焦点を当てています。そのため、より技術的な知見や経験が求められます。また、拡大解釈として、製品やサービスによっても外向けにも製品を拡張させる役目を持つこともあると思います。いずれにせよ技術スタックの理解やエンジニアリングチームとの会話が一番求められるのではないでしょうか。
他にも、似たようなPMとして、データベースPMやネットワークPM, セキュリティPMなど個別の技術スタックに特化したPMもたくさんいます。
逆に言うと、①Core PM、②Growth PM、そしてこれから話す④Innovation PMはエンジニアリング出身ではない人も多いですし、コーディングができない人もほとんどです。日本ではエンジニア出身のPMが多い印象もあり、技術的な知見が求められるという意識が強いようですが、必ずしもそうではないと思います。
④新たな領域を探す Innovation PM
よくイメージされるのがこのイノベーションPMではないでしょうか?特にスタートアップでは、PMFを探し、目指していく、0→1を達成するようなPMが多く求められている感覚があります。新たな市場を探し、仮説検証を繰り返し、新製品を当てに行く、そんなイメージでしょうか。一方で、PMという広義の中ではイノベーションPMはその一つの役割にすぎません。むしろ他にもやるべきことがあり、多くの場合はそういう企業や製品フェーズに位置することがほとんどです。それなのに、Innovation PMを求めていたら、実際の企業の成長やプロダクトの成長には貢献しません。
さいごに
PMの皆さんは自分がどれに当てはまると思いますか?
将来PMになりたい方は、どれが向いていると思いますか?
PMの採用を考えている企業はどれが組織に必要ですか?
今後PMのキャリアを描くためにもこれらの役割の違いを理解することは良いと思います。また、現在すべてをやらざるを得ない環境にいる場合は今一度やるべきことを見つめ直すチャンスだと思います。
PMを採用したい!将来PMになりたい!という場合にも、どのPMを求めているのか?どのPMが自分に合っているのかをしっかりと見つめ直すことが大切です。
上記の定義はあくまでも、参考記事をもとにしたものです。定義することは目的はないので、一個人として今自分がどこにいるのか?企業として組織に何が足りないのか?を考えるきっかけになればと思います。
この記事が少しでも参考になった方は、noteのスキ, Twitterのフォローをお願いします!
※本noteは下記の「The Growing Specialization of Product Management」の内容をもとに、独自の解釈を加えた内容です。参考記事では、より詳細な説明と具体的なユースケースも解説しているので、ぜひ見てみてください。英語の文章ですが、ブラウザの翻訳機能だけでも十分理解いただけると思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?