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世界のプロダクトリーダーから学ぶプロダクトマネジメント #ProductCon 2021

こんにちは、外資系IT企業でプロダクトマネージャーをしていますハヤカワ @kzkHykw1991 です。

普段からプロダクトマネジメントに関わることをいろいろ学びながら、発信しているのですが、今月行われた Product Schoolの #ProductCon2021 がとても面白かったので、ウェビナーの動画レビューをしたいと思います!

Product Schoolとは?

世界最大のプロダクトマネジメントに関するコミュニティ。SlackコミュニティやYouTubeチャンネルにて、世界中の有名企業のPMのウェビナーを聞けたり、AMA(Ask Me Anything)で何でも聞けたり、相談したり、プロダクトマネジメントについてめちゃくちゃ学ぶことができる大変素晴らしいコミュニティです

Product Conとは?

Product Schoolが年に4回開催している、世界最大のプロダクトマネジメントに関するオンラインイベントです。100万人以上のコミュニティメンバーと、6万人にも登るオンライン参加者が参加する規模で、過去にはGoogle, Facebook, Amazon, Airbnb, Uber, Netflix, Slackなど名だたる企業のPMやCPO、VP of Productなどのプロダクトリーダーたちが登壇しています

今月行われたProduct Con2021でも、このような豪華な参加者が登壇しました。

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有名企業やめちゃくちゃ伸びてるスタートアップばかりですね!さらにさらに、一部のセッションはYouTubeチャンネルにて無料で公開されているんです!(すごい)

そこで今回は、YouTubeで無料で聞ける ProductCon 2021 Septemberのセッション内容を簡単に紹介したいと思います!

①Typeform, Customer Centricity in Increasingly Remote World

Typeformといえば、People-friendlyな次世代のアンケートツールを提供している会社です。従来のアンケートサービスと異なり、会話をするように、自然な形で回答を引き出すためのデザイン、UX、質問形式を組み入れたアンケートを作ることができます。

顧客の声を聞くためのツールを作っている会社による「Customer Centricity - 顧客中心主義」というタイトル、説得力がすごい。

彼女が紹介してくれたのが、「Follow-Me-Home's」というユーザー観察手法です。

Follow-Me-Home's
顧客の環境に入って、顧客が何をしているのか?どうやってキーのジョブを達成しているのか?を観察して、学ぶユーザー観察手法

顧客の職場や利用する場所、環境に入ってユーザーをじっくり観察します。決して問い詰めたり、無理やりインタビューしたりすることなく、あくまでも観察者として彼らがやろうとしているジョブを観察します。何をしているのか?何を言っているのか?何を感じているのか?なにを達成しようとしているのかを観察を通して調査します。

そして、決して口に出されることのないペインポイントやジョブを達成するためのワークアラウンド、感情の起伏を見つけ出し、それらを解決するインサイトやオポチュニティを見つけ出します。

これこそが究極の顧客中心主義に基づいたプロダクトの作り方とのことでした。

そして、これをデジタルの世界で、そしてパンデミックの中で行うにはどのように効率的に行うべきか?という方法についても話してくれています。

重要なのは、たとえデジタル世界、リモートファーストだとしても、プロダクトを作る上で、顧客を会話の中に入れることを忘れてはいけない、というメッセージでした。

とても納得しますし、改めて自分を問いただして、顧客中心主義を忘れていないか考えるきっかけになりました。

②Heap, Why is Product-Led Growth So Hard

非常にホットなトピック「Product-Led Growth」についてです。特に、営業を中心としてSales-ledでプロダクトを売ってきたB2B企業のPM、さらにB2Cであっても、対面中心からデジタルに移り変わる企業にとって参考になる内容でした。

Product-led Growthとは

①プロダクトが自ら、その中で顧客とインタラクションして、売りに行くモデル
②ユーザー自身がバイヤーである。決裁者やエグゼグティブとは限らない
③めちゃくちゃスケーラビリティがある。人や仕組みに依存しないので、顧客獲得の制限がない

B2B企業、そしてPMとしてどうやってこのProduct-led Growth(PLG)にチャレンジすべきか?というのが本セッションのメインテーマでした。ここには3つのキーワードがあります。

①組織と文化
②プロセス
③テクノロジー

まずは、プロダクトチームについて考えてみると、すべてのチームがプロダクトの成長を意識、PLGを意識しなければいけないということでした。トライアルへのコンバージョンなどの数字そのものを全てのチームが追う必要はないが、プロダクト自体に根本的な変化を加える必要がある、その意識が全てのPMに必要です。

例えば、今まではグロースを意識しなくても良かった新機能を作るPMだとしても、セルフサービスでの販売やアダプション、CSMが担っていた新機能のプロモーションや定着化支援をどのようにプロダクトに組み込むのかPM自身が考えなければいけません。

また、時間の使い方としても、差別化のための新機能 vs. Optimization(最適化のための機能改善)とで、その時間配分を考えなければいけません。新機能を作るチームだとしても、最低でも20%はアダプションや最適化、改善の反復作業のために時間を使うべきという考えでした。

他にも、組織や文化の変え方、営業へのインセンティブの考え方、Growth Metrics(成長指標)、Self-service paymentのためのデモやトライアル、テクノロジースタックの変更、などなどがPLGのためにPMやプロダクトリーダーが考えなければいけないことということでした。

③Uber, Leading in Unprecedented Times

配車サービスやフードデリバリーサービスを提供しているUberがこの、パンデミックに直面して、どのように対応、適応していったのかを語ってくれています。たしかに、人々が外に出ることが少なくなって配車の需要が減り、一方でフードデリバリーの需要が爆上がりしたUberは、プラスでもマイナスでも大きな影響を受けた企業の一つなのではないでしょうか。

特におもしろかったのは、Uberが掲げている Safety の考え方や定義を迅速に変更したという点でした。今までは、安全に、正確な時間で、移動/配達ができれば良かったものの、パンデミックに直面してからは、マスクの着用義務や接触を避けた感染対策をしたデリバリーなどを考慮しなければいけなくなりました。

そういった中で、彼らは①変化を認識し、②新たなOpportunityを見つけ、③製品をそれに適応させて、④コミュニケーションして変化やその価値を伝えながら成長する、というモデルをうまく取りました。

このプロセスにより、マスク着用の管理や、店舗での受け取りや置き配のようなオプションの追加など、Safetyの考え方を一新して、それらを迅速にプロダクトに反映させました。そしてそういった新しい機能や価値をコミュニティなどを通してユーザーにしっかりと伝えることも大切と言っていました。

また、社内の人、チームとの繋がりを強化し、共感を生むための仕組みや文化を作ることもこのパンデミックの下では必要とのことでした。

多くの企業がこのパンデミックに、そしてこれから来る新しい世界に対して、どのようにプロダクトを適応させていくのか考えなければいけない中で、世界をリードするUberが行ったチャレンジはとても参考になる内容でした。

④tumblr, Your First 90 Days: Listen, Learn & Act

新しい会社や組織、ロールや立場になったときあなたはどう行動しますか?

新しい製品や機能をローンチする時、プロダクトマネジメントとしてはどう行動するでしょうか?

自分が新たな組織やチームに入ったときの最初の90日間の過ごし方について、tumblrのCPOが彼自身の経験を踏まえて語ってくれています。

彼はパンデミックの中でtumblrのCPOに急遽着くことになり、着任から90日の中で以下の3つのプロセスを回すフレームワークを実施してきました。

1. Listen → 2. Learn → 3. Act

このフレームワークをプロダクトロードマップを作るように、30日、60日、90日のタイムフレームで考えます。

1. Listen
新しい組織やチームに入ったら、まずはスポンジのようになんでも吸収するListenの期間です。組織やプロセス、そこで働く人々や役割、あらゆることを知ることに徹します。

2. Learn
次に、吸収したことに基づいて日々の働き方の習慣やプロセスを作るために学びんでいきます。学んだことを体系化し、マッピングし、整理して、学びのプロセスを作るような動き方をします。

3. Act
そして最後に、Actフェーズです。ここまで学び、整理して体系化してきたことを用いて、次になにをするのか?誰と協力すればいいのか?を考え、実際の日々の行動につなげるフェーズです。ここではPeople-Product-Processというフレームワークに基づいて一貫性を持って考えて行動することや、セルフアウェアネスを高めるためになにをしたのか?なにを考えているのかを他の誰かに共有することも大事とのことでした。

正直言葉で書くととてもシンプルに見えますが、実際に彼が行った行動は想像を超えるものでした。CPOという立場もありますが、90日間でやったことがあまりにも体系化されていて、データ的で、プロダクト的なアプローチだったので動画を見てその全貌を見ることをお勧めします!

⑤PELOTON, Applying PM Skills to Leadership

PELOTONのVP of ProductのBetinaもプロダクトマネジメントの考え方や方法論をリーダーシップとしてチームビルディングやコーチングに使うという話をしてくれました。

リーダーシップに使えるPMのスキル

1. コンテキストを大事に
2. 期待値コントロール
3. インタビューを通して理解する
4. 問題に対して好奇心をもつ
5. リレーションシップを築く
6. どんなゲームで、どうやって勝つかを考える
7. フィードバックを与え、受け取る

自分がマネージャーやチームリーダーになったときに、PMとして大切なこのようなことをどうやってピープルマネジメントに使うのかという話は面白かったです。

逆にいうと、普通のプロダクトマネジメントとして考えた時に、このような行動ができているかな?と考えるのもプラクティスになりました。

⑥Disney, Creating an Inspiring Team Culture

最後はチームカルチャーを作る方法をDisneyのVP of ProductのKimberlyが話してくれます。

Disneyのプロダクトチームの話を聞くこともなかなかなく、プロダクトチームとゲームやDisney+などを担当している2つのチームがあることも知りませんでした。

このような二つのプロダクト組織がある中で、ウォルトディズニーのビジョンやディズニーが作るユニークなカルチャーの中でプロダクトリーダーである彼女がどのようにチームミーティングを行ったり、チーム内での結果の共有や発表、カルチャー作りのためのチームイベント、コミュニケーション、Celebrationを行っているのか勉強になりました。

さいごに

毎年4回行われるProduct Conにくわえ、ProductSchoolでは毎週のように世界の名だたる企業のプロダクトパーソンが様々なことを発表してくれます。発表されるトピックも本当に様々で、キャリアや働き方、学びのためのチップスやチームビルディング、プロダクト作りのコツやストーリーテリング、具体的な開発手法やマネジメント手法、など本当にさまざまなことを、超有名企業のプロダクトの人たちが喋ってくれるんです!しかも無料で!

私は全くProduct Schoolの回し者ではないですが、非常に学びの多い場所なので、ぜひYouTubeをご覧になってみてください!

英語が少し苦手、という人も、字幕をつけて、再生速度を遅めにしてゆっくり時間をかけながら聴くのもありだと思います。毎週1本じっくりみてみても、学びがあると思うので、ぜひ見てみるきっかけになれば(仲間が増えると)嬉しいです!

私のTwitterでは、Product Schoolに限らずプロダクトマネジメントに関する様々なことを発信しているので、もし全て追い切れないなという方は私のTwitterを見ていただけたら、面白かった動画の内容など呟いたりもするので、ぜひフォローしてみてください!



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