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第1回 複数店を考えるオーナー必読、立地を見極める目

自分のお店の立地についてご存じですか?

皆さんはご自分のお店の立地を良く理解して契約、営業されていますか?
開店後、想定していた売上に達しなかった時、フランチャイズ本部から受けた立地に関する説明に不信感を抱いたりした事はありませんか?しかしながらフランチャイズ本部の勧めであなたが選んだお店が想定以上に売れなかったとしても、それはフランチャイズ本部の責任には出来ません。
フランチャイズ契約書の中ではどこにも本部が売上に責任を負うとは謳っていませんし、経済産業省のガイドラインでも「フランチャイジーとなることを希望する者においては、フランチャイザーに対して、上記の情報を開示することを求めるとともに、開示された情報を鵜呑みにせず、自らその算定方法等が合理的であるかどうかにつき更なる説明を求めるなどの検証を行う必要があります」としています。
しかしフランチャイジーには、立地調査をするノウハウ等の蓄積が殆どないのが現状です。ここでは皆さんに立地についての理解を深めていただき、どんなお店が売れるのか?どんなお店に危険があるのか?のポイントについて実際に見てきた多数の事例を基に説明をしたいと思います。
ここで大事な事は、皆さん自身が立地のプロフェッショナルになる必要はないという事です。それよりも何がわからないのか?を理解し、フランチャイズ本部に対してしっかり質問をして、納得のいく回答を得て契約する事が加盟店と本部の双方にとって何よりも大切です。2店目3店目のお店が売上不振により経営の足を引っ張る事の無いよう、しっかりと立地を見極めて出店しましょう。

どんな立地なのかを理解しましょう

お店の立地を知るためには、まずお店を中心とした半径350mの円内を『商圏』として各種の統計データを調べ『立地類型』で表します。何故半径350mなのか?というと、歩いて来店される方の抵抗がない距離は徒歩5分までである、という事から人間の歩速=4km/hで徒歩5分(333m)に基づいて設定しているからです。(図表①)

(note)【図表1】なぜ半径350mの商圏で立地を判定するのか

注意していただききたいのは、ここで言う『商圏』はお店の顧客の全体像は表していない、という事です。お店が成り立つのに必要な要素である歩行客と車客の比率を見極め、どんな店作りをするべきかを判断するために使用します。この商圏内に住む『世帯数・人口(国勢調査より)』と『就業者(経済センサスより)』の2つのボリュームをマトリクスで表した時の位置により立地類型を判断します。正確な立地調査ではGIS(地理情報システム)等で算出されたボリュームにより判定しますが、お店の周りを360度見渡した時に見える風景を後述の立地に当てはめる事でも大まかに判断することが出来ます。


立地類型は大きく6つに分類されます(図表②)

【図表2】立地類型

①ロードサイド立地
商圏内に住宅も事業所も殆ど無い立地。歩行客は殆どおらず、車客がメイン。大きな駐車場が必要です。
②住宅立地
戸建住宅が中心でアパート、マンション等は少なく、事業所は殆ど無い立地。歩行客に加え、車客での補完が必須で駐車場が必要です。
③住宅密集立地
アパート、マンションが建ち並び事業所は殆ど無い立地。歩行客のみで成り立ち駐車場は不要です。
④工場立地
住宅がなく、少数の事業所がある工業団地のような立地。車客での補完が必須で大きな駐車場が必要です。
⑤オフィス・繁華街立地
オフィスビルが建ち並ぶ、又は繁華街に位置し、住宅は殆どない立地。歩行客のみで成り立つ。駐車場は不要です。
⑥複合立地
住宅、事業所共に多い立地。商圏内の密度が高い場合、歩行客のみで成り立ち駐車場は不要ですが、密度が低い場合は車客での補完が必須で駐車場が必要です。
これら6つの立地類型と商圏密度に基づき、どんな要素(住宅、就業者、歩行者、車)を取るのかを明確化し、出店すべきゾーン(大まかな場所)と具体的なポイント(候補地)を選定します。
※ひとつのゾーンに出店するお店は1店舗です。

noteアイコン(お店の商圏)

出店すべきゾーン、ポイントとは(図表3)

【図表3】ゾーンポイント

住宅や事業所等から駅等の交通拠点(駅、ショッピングモール、テーマパーク等、人が集まる場所)を結ぶ人の動きに乗った場所が大前提となります。歩行者のみ、車のみをターゲットとした場合は、交通拠点間の人や車の動きに乗った場所もありです。
例としては歩行者のみの場合、JR水道橋駅~東京ドームの間等。車のみの場合、首都高速浦安ランプ~東京ディズニーリゾートの間等が挙げられます。そして、出来るだけ多くの住宅や事業所等から交通拠点への流れが集まる場所周辺をゾーンとします。そのなかで具体的なポイントに落とし込みます。
一番多く人の流れが獲れるポイントを一番立地とし、二番目に多くの人の流れが獲れるポイントを二番立地とします。候補地の基本的な考え方は、どれだけ多くのボリュームをしっかりと取り込めるかです。
必然的に交差点角地の優位性が高く、背後商圏からの出入りのない中地のポイントは避けた方が良いと言えます。代表的な例を挙げましたが、これに限らず顧客となるターゲットが明確な仮説に基づいたゾーン、ポイント設定であるか、これらを加盟店と本部とが共有できているかがとても重要です。

永続的な繁盛が見込めるポイントか確認しよう

コンビニエンスストア出店の成功は開店日、開店月、開店初年度の高日販ではありません。契約期間満了まで売れ続ける事が大前提です。しかし必ずしも一番立地に出店出来るとは限りません。むしろ一番立地への出店は困難な事が殆どです。その場合は二番立地に出店する事となります。その際に非常に大切な点は『一番立地に他の競合が出店不可能である事』です。
これをあらゆる角度から確認します。
一番立地で出店できない理由が簡単に覆されない事(公共施設、寺社、その他出店の難航条件等)がわかれば、ゾーン内の二番立地が事実上の一番立地に繰り上がり、永続的な繁栄を見込む事が出来ます。この見極めをしっかりとしておけば、他の競合店が二番立地以下の場所に出店してきても大きなダメージを受けずに済みますが、一番立地への出店を、単に少し時間が掛かりそうだからといった理由で諦めてしまうと、営業も軌道に乗り出した2~3年後に他の競合に出店されてしまい、あっという間に売上が急降下してしまう事も考えられます。このような理由で立地の見極めはコンビニエンスストア出店のリスク管理に最も重要なのです。
別の言い方をすると、他の競合が多数出店しているゾーンでも、一番立地に出店可能な場合は恐れずに出店すべきです。その場合、開店当初は低日販からのスタートかもしれません。しかし周りの競合との彼我の関係で必ず打ち勝つ事が出来る為、着実に顧客を取り込む事が可能です。そして競合店が市場から退場する毎に大きく日販を上昇させ、どの競合にも負けない店となるポテンシャルがあります。

仮説のない(ゾーン・ポイント設定しない)出店政策の落とし穴

事前に出店戦略としてゾーン設定、ポイント設定された場所以外(主に不動産仲介業者から紹介される空きテナント等の流通物件)がポイントとして選ばれた場合、その出店のコンセプトは後付けになります。
顧客ターゲットが明確になっていないポイントでの出店の打診があった場合、その説明は過去の出店基準(数値)に合致しているから、という事になります。
当然の事ながら歩行者数、車の通行量はあった方が良いですし、商圏の世帯数、人口、就業者数は多いほど良いです。しかし歩行者数が多ければ売れるのか?と聞かれたら、答えはノーです。
実は歩行者数と売上との間に明確な相関は見られません。他のボリュームについても同様です。なぜならば、前述の出店戦略に基づいて出店済みの競合が一番立地にあった場合、それに打ち勝つ事が出来ないからです。
また歩行者数、世帯数といった数でなく、ターゲットとして見込む客層の『質』が重要です。例えばロードサイド立地の場合、国道4号線や17号線といったいわゆる『一桁、二桁国道』や一般国道と県道や市道の車の通行量では、同じ台数がお店の前を通行していたとしても入店率は(特に新店舗の場合)全く異なります。それは1台1台の移動距離に大きな違いがあるからです。国道のように長距離を走る車は、走行中に何店ものコンビニエンスストアの前を通過します。その中の1店舗でしか無い場合と、毎日の通勤の往復や日常の買い物で比較的短い距離で使われる道ではお店の認知度が違います。
また付近の就業者をターゲットにしたいのに、歩行者が学生ばかりであれば当然売上は見込めません。一方、家賃と歩行者数の間には明確な相関があります。(出典:国土交通省まちの活性化を測る歩行者量調査のガイドラインの策定について)故に高い家賃に惑わされてもいけません。
では安い賃料の場所へ出店すべきなのでしょうか?コンビニエンスストア以外の一般的なレストランやショップ等は、立地の悪条件を乗り越える確かな味、個性的なキャラクター作りが成功すれば多少不便な場所でも来店する『目的来店性向』のウエイトが極めて高いため成功する事が可能です。しかし近くて便利な事が最も重要なコンビニエンスストアでは、目的来店性向のウエイトが低く一番立地に出店した競合店を接客や品揃え等のオペレーションレベルで乗り越えるのは至難の業なのです。結局のところ、仮説を持った出店戦略無くしてお店の成功はあり得ないという事がわかります。

noteアイコン(お店の商圏)

立地に合った店作りが出来ているか注意しよう

ここまでの説明で一番立地への出店の重要性をご理解頂けたかと思いますが、これだけではまだ不十分です。お店が繁盛するために必要な条件として『立地に合った店づくり』が出来て初めて売れる店となります。
例えば、ロードサイド立地の一番立地で契約する事が出来たとします。極端な例として、もし駐車場が無かったらどうでしょうか?当然売れません。仮に駐車場には十分な面積が取れたとしても、駐車場の間口が狭い、通行量や平均車速に対し進入口の幅が狭い、十分に手前からお店やサインポールが見えない等、様々な立地に合った店作りの条件が整わないと一番立地の持つポテンシャルを引き出せず、その結果売上不振となります。
またオフィス・繁華街立地等、朝や昼等の特定の短い時間帯に強い来店ピークをもつ場所への出店の場合、売場面積が狭い店、特にレジ台数やレジへの導線がきちんと設定できないお店も注意が必要です。一定数の人が並んでしまうと店がお客様で溢れてしまい、それを外から見たお客様が入店せずに他の店へ流れてしまう機会損失を発生させてしまうからです。
この他にも様々な要素が『本来売れるはずなのに売れない』要素(不振店要素)として存在しますが、それはまた別の機会にご説明したいと思います。
加えて顧客を明確にした出店コンセプトも大事です。立地に合った店作りをするが故に大型貨物比率が高い前面道を持つ店で大駐車場を確保したとします。大型トレーラー等のドライバーにとっては非常に便利な店となりますが、その使われ方は休憩ポイントとして長時間駐車区画を占有されるにも関わらず来店は1回のみで客単価は数百円。その駐車区画が24時間でたったの数回転しかしない例があります。大面積、且つ大型車対応の舗装工事等、高額投資に見合うのか?を考えた時、誰をターゲットにしたいのか?主軸となる出店コンセプトを明確にしましょう。

出店後の仮説検証 

当然の事ながら、皆さんも開店後の仮説検証はされていると思います。その際に売上を日々の『客数』×『客単価』で見てはいませんか?実は単なる来店客数で考えていると判断を見誤る事があります。
本当の売上は『顧客数』×『来店頻度』×『客単価』で成り立っています。売上に最も影響力が大きいのは実はこの顧客数です。店内から見ただけの分析による営業政策では、どんなに頑張っても既存の来店顧客数に対する来店頻度と客単価の向上しか見込めせん。
予算と売上の仮説とのズレが埋まらない場合、未だ来店していない潜在顧客がお店の外にどの位いるのか?どのようにして取り込んでいくかの戦略をハード、ソフトの両面からしっかり立てて実行してゆく事で大きく売上を伸ばしてゆきましょう。

おわりに

仮説を持った出店戦略に基づくゾーン設定、ポイント設定と一番立地への出店がなによりも大切である事。どんな立地かを理解し、立地に合った店作りをする事。来店して欲しい顧客を明確にする事。客数ではなく、顧客数を増やす事。これらについて加盟店と本部が共通認識を持つ事で共存共栄を図る事。以上についてご理解いただけたでしょうか。
弊社の『いい店作ろうドットコム』サイトでは新店舗の契約を前に、加盟店オーナー様に立地の特徴や注意すべき点をセカンドオピニオンとして提供する立地診断も行っていますのでご利用下さい。

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