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31話 がらんどうの部屋の隅でひとり

このストーリーはノンフィクションです。
「わたしの、ブキヨウ道。」というマガジンに、これまでのストーリーが入っています。

1話から30話までは、移住前の心の移り変わりや、移住前に準備したことやトラブルなどを書きました。

ということで、しれっと第一幕はおしまいです。読んでいただいた方、ありがとうございました。

第二幕として、移住後、どうなったかを書いていこうと思います。

引き続き、お楽しみください!

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2018年11月の一カ月間は、怒涛の一カ月だった。(怒涛のような、とはあえて書かないでおこう)

11月末に現在住んでいる賃貸の部屋を解約してしまったことから、もう進むしかない、という状況に追い込まれていた。

11月初め、何も決まっていないところから始まった。

移住地は決まっていたが、それ以外は本当に何も。今、考えてみてもぞっとする。
住む部屋を探し、車をどうするかディーラーをはしごし、移住先の仕事も並行して決めていくという…、頭はパンクギリギリの状態で、なんとかやってのけた。

あのパワーを今思うと、ほんとよくやったな、としか言いようがない。

そして、11月末、ようやく引越し当日までこじつけた。

引越しの日もまだ納車できておらず、レンタカーを借りて、新しい部屋まで一人車を走らせた。前借りていた部屋には母がいてくれて、引越しの作業を手伝ってくれた。
といっても、必要最小限のものだけしか残さなかったので、運ぶものはかなり少なかったと思う。

大きな家具や家電は、ベッド、洗濯機、冷蔵庫、ローデスク、本棚、シェルフ、コンポくらい。

テレビ、ブルーレイレコーダー、食器棚、ソファ、ドレッサー、椅子などは売ったり処分したりした。

引越しの業者が来る時間までに間に合うように、新しい部屋に到着!

何もないがらんどうの部屋。
エアコンをつけようとしたが、なぜだかつかない。電気はつないでもらっていたはずだったのだが??11月とはいえ、とても寒く、何もない部屋の隅でひとり、かなり心細かった。

いや、実際にはこの状態に笑えていたのかもしれない。

ここから始まるのだ。

自分で選んで、たどり着いたこの道。

道は細く険しいかもしれないけれど、自分で決めて選んでいくというのは、なんと自由で清々しいものか。

しばらくして、
「あ!車の中で待ってればいいやん!」と気づき、車内のエアコンをつけて業者が来るの待った。

引越しの作業はあっという間に済んだ。部屋いっぱいに段ボールが積まれ、家電も設置された。

ここまで読まれた方には、スムーズに進んでいるように思われるかもしれないが、そうじゃないのが「ブキヨウ道」たらしめるものなのか…。

エアコンがつかないというのも問題の一つだったが、まだある。

一つ目。
引越しの業者さんが洗濯機を設置する時に、固定する留め具がないことに気がついていただき、このままでは洗濯できないから、大家さんに連絡した方がいいということになった。

二つ目。
ガスの点検に来られた方には、洗面台を見てもらい、洗面台の棚の下から水漏れが起こっているのを発見していただいた。

ここから始まる!

と意気揚々とした気持ちはどこへやら…。

このままで大丈夫?という不安の気持ちでいっぱいになったが、大家さんに連絡し、すぐに対応していただくことになったので、まあひとまず、解決ということにしよう。

ようやく終わったのが、もう日が落ちた頃。

レンタカーを返しに地元まで一人で帰る。

こんな始まりだけど、こんな始まりでも自分が選んだ人生なのだ。

サポートとそのお気持ちは、創作や家族の居場所づくりのために還元できたらと思ってます。