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18話 クルマ社会の仲間入り

移住をするにあたって、車は必須だろう。それは、6月時点で思っていたようで、レンタカーを借りた記録をさかのぼると、初めて借りたのは2018年6月初旬。(このnoteにて、投稿していた。何がやさしさ?)

車の運転自体は好きだった。ただし、実家に住んでいた頃は、助手席に父を乗せてしか運転することがなかった。その時には、あれこれと父から細かく指示を受け、厳しく注意されることもあったため、車の運転に自信を持てなくなっていた。一人で運転するなんて、到底考えられなかった。

そんな時に思い出したのは、高校生の友達の話。
「一人でレンタカーを借りて運転の練習してうまくなったよ。道は続いているんだからなんとでもなるし、どこでも行けるようになった。」
そんな考え方もあるのねと思い立って、最初の一歩を踏み出したのだ。

一人で運転する前に、ペーパードライバー講習を一度受けたおかげでだいぶ自信もついていた。

いざ、初めての運転。
その日は、大阪から奈良方面に向かう予定だった。レンタカー屋さんに初心者丸出しに思われるのを気にして、操作の仕方もあまり確認せず、レンタカー屋さんのガソリンスタンドから出発。道路に出る際も焦る気持ちがあったのか、横から歩いてきた歩行者に気付かず、そのまま出発してしまった。本当であれば、ちゃんと確認して歩行者を優先したかったところだ。

住宅街はスムーズに運転できたが、郊外に入ると周りの車のスピードが早く感じ、恐怖を感じた。また、側道、高架道路、高速道路などが入り混じっていて、その種類を見分けることができず、どの道路で走ればいいのかわからず、一旦、路肩に止め、落ち着くことにした。

まずは、知っている道をゆっくり運転しよう。そうして、自分の家の方へと引き返し、周辺地域の運転に慣れてきた段階で、ショッピングモールに目的地を設定した。

ペーパードライバーの講習では、立体駐車場で駐車の仕方をおさらいした。その経験を思い出して、ショッピングモールでの駐車の練習を一人でしようと思った。コンビニや、スーパーなどは駐車場が少なく、開かれているので目立つ。その点、ショッピングモールの駐車場は広いし、人目の少ないところで練習ができる。そうやって少しずつ、自分の運転技術をアップさせていった。(技術がアップしたかどうかは実際よくわからないが、自信はついた)

ただ、駐車場に止めたのはいいが、どこに止めたかを忘れ、探し回るという事態になってしまったが…。

一度目の運転は、サイドブレーキをかけたまま運転してしまっていたり、チェンジレバーを「ロー」に入れたまま運転していたり、失敗だらけだった。(早めに異変に気付き、修正できたとはいえ…)

二度目に借りたときは、目的地を三つほど設定して、そこに行けるかどうか練習した。ナビの使用にまだ慣れず、「300メートル先」「まもなく」などと言われても、位置感覚をつかめず、違う場所で曲がってしまうことが何度かあった。

大阪市内の運転は高度で、イレギュラーなことが多く起こってくる。
曲がった先の道路が二手に分かれていてどこへ進むかわからなかったり、信号が思わぬところについていたり、複数の道路になると車線変更が難しかったり、その他いろいろ。事故や渋滞も多い。

五度目くらいの運転では、一泊二日で移住地を巡りながら運転した。山道の運転や、地方の運転は思ったより快適で、都会で感じるストレスはなかった。二日間の運転で、かなり自信もついた。

移住先も決まり、次は車選びが待っていた。この頃になると、高速道路も緊張するものの走れるようになっていたし、大阪のわけのわからぬ道路もなんとか進むことができていた。

事前に、中古車をサイトで検索して、4つの車を選んでいた。車を買うときのアドバイスを詳しい方から聞いていて、メーカーのディーラーで買うと安心だということ、車検付きにしておく方がいいこと、交渉での値切り方など、知らないことをたくさん教えてもらっていた。もちろん、サイトでいろいろ調べておいたが、実際に慣れた人に聞く方が細かい情報を教えてもらえる。

巡る順番も少し考えた。1軒目は、第三候補くらいの車。はじめから、第一候補にしてしまったら、不慣れなままディーラーとの交渉が始まるだろうし、いくつか見ないと後悔も残りそうだと思った。

出発時から、一悶着あった。
いつもは軽自動車をレンタカーで借りるのだが、その日は休日ということもあって、前日に予約したらどこもいっぱいで借りれなかったのだ。そのため、普通自動車で予約したのだが、レンタカー屋さんで「いざ出発!」とナビを設定しようとすると反応しない。お店の人を呼んで聞いてみると、軽自動車には常時ついているようだが、普通自動車にはオプションでつけないといけないとのこと。…見落としていた。
出発するときも、ハンドルの使い方がわからなくて戸惑ったが、なんとか出発できた。駐車も軽自動車とは勝手が違っていて、いつもの感覚で運転をしていると、駐車したい場所から半分ずれてしまう。冷静に考えると、軽自動車と普通自動車の小回りの違いがあると気付き、そのずれを修正しないといけないとわかった。

1軒目のディーラーでは、心配だった駐車が下手すぎて、恥ずかしい思いをした。一箇所しか駐車スペースがなく、駐車しやすいように車をどけてくださったのだが、どけてくださったところではなく、もともと空いていたスペースにずれて駐車しているという始末。
「オーライ、オーライ」とか言ってくださるのも、逆に焦ってしまった。

そんなことだけでも、心が折れかけていたのだが、本当の勝負(?)はこれから。そう、車選びだ。

中古車は、ディーラーに出向いて、複数の車から選ぶというのではなく、ピンポイントでサイトで調べたものを実物を見て確かめるということになる。だから、各所にあるディーラーを巡っていくことになるから、一日仕事だ。(この日は4軒巡る予定だった)

1軒目のディーラーで目星をつけていたのは、チェリーピンクのアルトラパン。
担当者の方に訊ねると、残念ながらもう売り払ってしまわれたとのこと。同程度の予算、同じ車種、カラーで取り扱っていないか、その店にない場所も調べてもらえることになった。
待っている間、ドリンクのサービスがあった。アイスココアを頼む。こんなものまであるのかと驚きを隠せない。知らない世界だ。

しばらくすると担当者さんから、予算内で今月中に入る車があるという情報をいただいた。予算も抑えられるのでよかったのだが、時間がかかるのがネックだった。引っ越し後、すぐに車が必要となる。(希望の納車日まで12日しかない状態だった)

そこでの契約はあきらめ、次のディーラーへと向かう。2軒目は、ベージュのミラココア。支払総額が書いていなかったのが気になったが、総額を聞くと思った以上に安く済みそうだった。聞いていた情報をたよりに、かなりの値引きもしていただいたし、車検もつけてもらった。あとは納車日を調整できるかどうかだった。

6月から車の運転の練習をはじめて、約半年。車を買うところまで行き着いた。6月時点では、遠い未来だと思っていたのに。震えながら運転したわたしがいるから、今がある。

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