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第8回・心地の良い夢を見つづけるために

左側が心地良いで思い出したが、私は寝る時も左向きで寝ることが多い気がする。

本来人間は内臓の構造上、左右どちらかに向くのであれば、右側を下にして寝る方が、身体の負担が少ないと聞いた覚えがある。
まず一般的に、心臓は左側にあるため、左を下にすると、その心臓に負荷がかかりやすいためだ。
また胃は、飲食したものが、食道を通り胃の左から入った後、小腸へ続く右側の出口へと抜けていく。これがもし、左側を下にして寝ていると、スムーズに胃の内容物が流れていかないため、逆流性食道炎になりやすいらしい。

だが私は医者でもないので、実際のところは分からない。

はっきりとは明言出来ないし正確な情報とも言えないが、これは奥歯に詰まった何かしらの食べカスのように、頭の隅の方にずっと居座ってる数少ないながらも知っている雑学のひとつだ。

私は基本右利きだが、部分的に左利きの動きをしているらしい。
おそらく母親が左利きだったため、それを真似て動作を覚えたということも影響しているのかもしれない。

例えば、固い蓋は自然と左手で回すし、食品用ラップは本体を右手で持ち、左手でラップの端を持つ。
私自身は何も気にしていなかったが、細かい部分で周りから「何かおかしくない?」と指摘を受けることがある。

正直、どうでもいいお知らせだ。

自分にとっての『おかしい』が、相手へのナイスな情報だと思っている方が、『おかしいのでは?』と私は感じるが、この感情も奥歯の隙間に挟んでおこう。

今さら本来の右仕様の動きに矯正する気もないし、今のままが心地良いので、これからも無意識に今までの『心地良い』を選んでいくつもりだ。

利き手や利き足のように、何にでもしっくりとくる『心地良い』はある。

それは人によって様々だ。
私の心地良いも、他者にとっては気持ち悪いにもなるだろうし、無感想、無感情、無関心の場合もあるだろう。

それでいい。
それがいい。

ホームで電車を待つ場所、バスで座る位置、気分の上がる音楽のピンポイントの瞬間、誰かを意識し愛おしく感じ始める場面、謝るタイミング許すタイミング、会話のリズム、喫茶店でのほど良いくらいの周りの雑音、メッセージを返す時間、さよならを言えるようになるまでの気持ちの整理。

人生はこんな感じの『心地良い』の連続で、『生きている』を感じているのだと思う。

何にでも『利き◯◯』を探し続けているのだ。
それは恋愛や結婚、仕事や生き方。そして誰もが必ず迎える人生の最期にも、自分にとって心地良い『利き死に際』があるはずだ。

あとどれくらい生きれるのかは、私は気にしていないが、今までもこれからも自分にとっての『心地良い』を探すだろう。

布団の中で寝心地の良い体勢を探すように。


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