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これは小説です。

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勢いで初めてみました。 短編小説を投稿していく予定です。マガジン名悩み中。
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2021年7月の記事一覧

破滅的な初恋

破滅的な初恋

 小学校四年生の時に好きになった吉田君が、今現在三十五歳になった私の中で一番未だに好きであった。身体が恋で沸き上がるような感覚、感じたことのない身体の火照りがそこにあった。

 歳を追うごとに私は彼のことが忘れられず、彼の姿を追いかけている。

 小学校四年生の時に吉田君は「好きなら付き合おうよ」そう言ってきた。私は「付き合う」ということをよくわかっていなかったが、両想いということだけは分かって喜

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石崎さん

 ある日私の子どもが公園で遊んでいる途中に突然言った。
「石崎さん」
 名前に「さん」をつけるのが子どもらしくなくて私は違和感を覚えた。そうして子どもの関わりの中から「石崎さん」という人もいなかった。
「石崎さん?誰だそれ。」
「石崎さんだよ。石崎さん。」
 子どもは繰り返してそう言った。
「新しくできた友達か?」
「違うよ。石崎さんだよ。」
 子どもはそうして首を振る。
「どこにいる人なんだそれ

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遠くへ行くアルバイトです2

遠くへ行くアルバイトです2

ただそれはいつも見ているコンビニエンスストアと限りなく近いものであったが、なにかおかしな違和感がそこにあった。

看板の文字が若干歪んでいたり、ゴミ箱がやたらに白かったりとなにか微妙に不快感を覚えるものがそこにあった。しかし吉田は恐れることはなかった。

元々金額からして怪しいバイトと思っていたのでこういうタイプの怪しいバイトなのかと妙に納得して店内に入った。

ピロピロとした店内音とともに吉田は

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