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短歌

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つまり、底なしのことば

収縮しては、爪をたてられた。きみを要約するもりが等しい

テクストをさ迷い、いつも森のなかにとり残される。余白へ、短い演出に、過ぎゆくまでのぼくは耐えられなかった。境界線を理解できなかったのだ。あるいは、境界線のない国を行ったり来たりしたのかもしれない。遡るように、緩やかな丘を選んでは、乳房へ落ちてゆく。わずかな拒絶があった、森がことばを跳ね返すように、鏡が裏箔を剥がすように、その夜、ぼくはわずか

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第四の表面において

きみを落とそう。第四の表面において、、、
かおを崩し、楽しみ、たくらみが流れる。それは葉を与えられた肉であって、
と書けば、楽しみは薄らぐ。(肉の反対側に、それを破壊する。
雨、が大地を逃げてゆく。鏡の裏箔へ、手の下へ、詩(死)がおかれる
字句へ、きみの裸体へ、滑りこみもする。テクストを遡りながら
もりはし、を反射的に送り返す。きみを落とそうと、いつもそうだ。
横滑りしながら、もり。きみが語ろうと

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采の一振り

✅鏡のある都市、「テクストへあつめられる(わたし)は演出されるのだが、

外へ。自己への現前を求めようと内面への回帰は仮象のうちで演じられる。テクストは最後まで「ドラマ」のように演出されており、匣を復元しながら決着の際の稜ー現在形で表現される「わたし」ーは、統御の錯覚をもつ法でしか許されないだろう。

✅ふられた賽(采)、のへやへもどるしか並べられた人をつらぬく糸、へ
夜。迷路のような都会へ繰り

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う、み、

はは、は、ゆばりの、のちにいる、(のです。エピローグはすでにうみ、を失い。

はは、は「のち」にいるのです。
遠州灘へ、すなわち、ははの「ゆばり」が、はは、に先立ち「のち」の「うみ」、を希釈する。
はは、のエピローグを開始するため、その背後に展開する胡乱な出来事が錯綜する。「うみ」、へ回帰するために、細く曲がる槙の木の道、のさきへ、防潮堤に遮られ、「うみ」、を失いました。「はは」のうみ、は生き残る

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は、は、の、う、み「が、

はは、は、ゆばりの、のちにいる、(のです。エピローグはすでにうみ、を失い。

はは、は「のち」にいるのです。
遠州灘へ、すなわち、ははの「ゆばり」が、はは、に先立ち「のち」の「うみ」、を希釈する。
はは、のエピローグを開始するため、その背後に展開する胡乱な出来事が錯綜する。「うみ」、へ回帰するために、細く曲がる槙の木の道、のさきへ、防潮堤に遮られ、「うみ」、を失いました。「はは」のうみ、は生き残る

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〜<非=いま>の侵入(未来結社誌2023.12月号)

プラスチック片ほろほろと猪鼻おき、の生きてるうちに記号を変え
る可わる/とれたてのてにわたる風わかれくぐりぬけて、「けて」
の風、なりきってない/発情期のネコが鳴いていていい草原だから
おしひら可ないよう/指でかくはんする牛乳へと眠たさをおくりこ
んでは 染めむらが目立つ/後方から頭髪を おし黙るしかない
みずのかえしがおそくなる つなぎとめる唇 より細く削るまでも
なく 吃音は<原=エクリチュー

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ロゴスのそと

<されるうみ><するうみ>ふたつを皿にのせロゴスのそとへ(ははは還るも)

ソシュールによれば、記号の差異は容器(コーラ)の中の無数の風船としてイメージされます。記号の価値は風船の大きさと形、そして隣接する風船の圧力によって決定されます。しかし風船には実体がありません。そしてひとつの風船を外すとその存在はなくなってしまう。風船(=記号)とは一定の場所(コーラ)に与えられる名前なのです。人のいのちも

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はじまらなかった終わりに(未来結社誌2023.11月号)

濡れたふうけいがいろを増すようもりの石をしずめては クロウリ
 道のない水息に馬を追う「つる巻き」という論文のはじめに
を四等分八等分と切り分ける 方法の笑み くちびるが音読をする
 情念につかえる手段、として回転する記号の図式(シェマ)をえがく
三日月は狭められた窓から わずかな直線の正しさよりもおわりに
 眠りにつくもりを犯しながら穴をうめる馬 の、デッサンの続きに
あらぬ方へと曲がりたがる 

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須臾 (未来結社誌2023.10月号)

ハルジオンから下顎淋巴踊り子みずまくらへとくちびるの解纜 ほ
つけっ放しのデンキュウを消しては須臾 日曜の午後の湿地帯から
めまい みずのふざいに数珠はきれた。た。た。た。た。はいけい
を いまう えらん(飛躍)
ためらうことなく停車ボタンは フランス 海棠に約束した分葱が
雨う みがかれ(身が枯れ)すべりはじめるいし はいつも過ぎる 在りかけの
   姉                     

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芽から切り離す、接ぎ木の例 (未来結社誌2023.9月号)

      あさ カンナの行列におくれそうなひとが輪のなかに
書き込まれる 敷衍と                  ゆめ
   前屈みになって通過する 結石と診断されたひとの未明には
     地図がなくはだえをよこぎってゆく
       かぜに加勢するしかない 
         タブローに
     手を留守にしてちからなく仕方なく止水栓へと 
       前未来 手を咲かせては
しま(

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コワレタスズヲ鳴ラシツヅケル

未来結社誌(十二月号)に掲載

 コワレタスズヲ鳴ラシツヅケル  
背鰭のあたりから逃すしくみ 三角に圧縮された気概をときどき放っては街角が暮れてゆく 遠くで点呼の声がするけれど 確かめることもなく生き長らえる 別珍のこすれあう息づかいシンクから海まで途切れることなく 調律された鍵盤なのだから 或いは馬の背中越し取り壊し寸前のビルディング その外延 にこそまどう

肌の うさぎを放つ夏へと小径であ

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声ル

声ル
視線を固定すれば純粋音質(紙、詩、死、のオト)は聴き分けられる タレニ(茂 モ)シラレ図/わたし(渡=詩)のなかのバタイユが(我)ロートレアモンが(我)月の匂いを孕みながら/敵(適)地へ赴こうとするアイヨクの連鎖に言葉は制御不能だ/差別するみずが(みずから)差別される閾(息)へと滲み出て(生)きタガルのだ/侵犯という裏切りを唆(そそのか)され鳥になり樹になり読ミ知ガ得ル/笑みを並べながらも分

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ながのには

長野には 感情的な空を隠蔽しようとしてしきれない雲が

シナノスイートの陰影は魚のよう、ひとりひとりの換喩は波立ち

開示だと諭しては浮かぼうとするレジ袋にかお、ひとりの姉が

かたちのない姉へ峡(はざま)の放心と部屋の木軸は映画館になる

明るかったり陰ったりしながら山むこう息を繋いだだれかは姉で
#短歌

ナニワウラウチルヤマノツキチル

海を浮上させて船を沈下させて、絵心がなくふたつのままです(絵具を溶きながら二本の筆で)
うみが出ていくところのそらの隔膜を貫通するのが 内臓を食べる
二本の管が貫通して僕らはきっと生きながらえる川です
すずしからあつしへつたわりますようにしびれ野とよみよわいに浸かる
こども空びとやがてあかつきなる網目越しのは手などと奥をみす会(え)
下車をさそう急いてはLINEの駅近くナニワウラウチルヤマノツキチ

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