コワレタスズヲ鳴ラシツヅケル

未来結社誌(十二月号)に掲載

 コワレタスズヲ鳴ラシツヅケル  
背鰭のあたりから逃すしくみ 三角に圧縮された気概をときどき放っては街角が暮れてゆく 遠くで点呼の声がするけれど 確かめることもなく生き長らえる 別珍のこすれあう息づかいシンクから海まで途切れることなく 調律された鍵盤なのだから 或いは馬の背中越し取り壊し寸前のビルディング その外延 にこそまどう

肌の うさぎを放つ夏へと小径であったころのくるぶしまでを とおくの(とおのく)
ヤカレテワタ詩 空(カラ)ダッタ/偽 物の花火の擬態 ごく薄(アンフラマンス)
眠ったまま彫られつづける輪郭の 美し鬱屈し(うつくしうくつし)日付を書込み
、、、が手のさきに ナイフなのだから(記号)ハ(歯)/、、、やさしさ然はあれど/、、、にて
 春風のかすみ吹きとくたえまよりみだれてなびく青柳のいと 藤原雅經(新古今和歌集巻第一 春歌上七三)
花火とまぐわうあぶくの風のいきかたシリゾキカタたえまになびき

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