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同人誌「朝 45号」

 村上玄一氏が発行人を務める同人誌です。巻末には、ゲスト含めて19名の氏名があり、11の作品と連句が掲載されています。

 「自慢風まかせ」として、村上氏が自身の生い立ちを書かれている連載の8回目が掲載されています。大学卒業後、読売新聞、学研、角川書店、KSS出版などの編集者として活躍され、今回は、52歳のとき、編集者を辞め、母校の文芸学科研究所教授に就任された年の前後の様子でした。その年は、野坂昭如氏との共著を含めて5冊の本をだされて、大車輪でした。

 「オールド・イングランド」は村上氏の奥様、万波鮎さんの小説で、面白く読みました。「オールド・イングランド」とい名前のお酒を知らなかったのですが、古き良き時代というか、昔を回顧するには、ぴったりのネーミングだなあと。主人公の敏子さんが、作者と少し重なって、ほど良い年齢のとり方を感じました。

 巻頭の中村桂子氏の「風の気配」は、大腸癌で余命少ない同級生と主人公平川葵の物語ですが、伏線回収がうまく、ラストの陣屋の閉店は、いやがおうにも命の慈しみを感じてしまいました。この主人公平川葵さんもお酒好きでした。

 万波鮎氏は、真鍋呉夫氏に師事され、俳句、連句を学んだそうで、真鍋氏死後、真鍋氏の俳句を発句として、連句句会をされており、その様子も掲載されています。日大芸術学部文芸学科の方々が主として参加され、真鍋氏の俳句からはじめる連句の巻は、少し短めですが、お酒の飲みながらだそうで、開放感あふれて、季節感や時事問題もあり多彩でした。

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#連句 #ほろ酔い文学
 
 

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