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映画、俳句の玉手箱

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映画に関すること、俳句に関することを書いています。
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#阪本順治

せかいのおきく~懸命に生きる人々~

せかいのおきく~懸命に生きる人々~

 慎ましやかで、懸命に生きる人を応援したくなるような作品でした。
江戸時代末期、人民の糞便を買い取り、肥料として使う農家に売る仕事があったそうで、そんな仕事に就く若者たちと、元武家の娘の交流を描きます。  理不尽な世の中で、淡い恋愛と青春が陽気に描かれた作品で、観終わったあと希望を感じ、「そこ笑うとこでしょ」という矢亮(池松壮亮)の台詞が劇場をでたあとも元気に後押ししてくれました。

☆せかいのお

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「冬薔薇」を観て~素人の願い~

「冬薔薇」を観て~素人の願い~

 俳人が好んで使う冬の季語に、「冬薔薇」があります。冬に咲く薔薇のことで、可憐に愛でる俳句が多いです。この映画の題名は、冬に咲く薔薇というより、日陰に咲く花としての冬薔薇でした。母親のセリフに「冬に咲く薔薇のこと、冬薔薇っていうんだって」がありましたが、厳しい環境のなか、咲かせようともがく意味合いが強い物語でした。

 阪本順治監督が伊藤健太郎氏の復帰作として、脚本をあて書きしたそうで、舞台挨拶の

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