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三頭山 △登山の魅力△ (0004)

江戸時代から保護されてきたブナの森が美しい。奥多摩三山の一座です。
(本記事/ 文字数:約4300字 読了:約9分)


<概要>

山岳名: 三頭山 (みとうさん)
所在地: 東京都西多摩郡奥多摩町・檜原村、山梨県上野原市・北都留郡小菅村
江戸時代、ご禁制の山であったため、ブナの自然林が多く残っている。春から夏は新緑と万緑、秋は黄葉が見事。
名前の由来は3つのピークをもつことから。標高は約1531m(中央峰)。
日本三百名山。花の百名山(ハシリドコロ)。奥多摩三山の一座。「森林セラピー」の森としても登録。

<三頭山の魅力>

(1)美しいブナの森
三頭山といえばブナの森というくらい素晴らしい森の景色があります。江戸時代から伐採などが禁止されており、いまは東京都の水源の森として保護されているため、古くからの自然が残されています。森の緑は濃く、秋ともなれば黄色く染まります。
(2)整備された歩きやすい登山道
山頂域が“檜原都民の森”として公園整備されているため道標はもちろん登山道も歩きやすく管理されています。とくに公園内の施設・森林館から三頭大滝まで続くウッドチップの道は足の感触や踏み応えが面白いルートです。


<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
“都民の森”から鞘口峠を経由して山頂に至り、沢沿いのブナの路を通ってまた“都民の森”に戻ってくる周遊ルート。
登山口(「都民の森」バス停)→ 森林館(10分)→ 鞘口峠(20分)→中央峰・展望台(60分)→ ムシカリ峠(20分)→ ブナの路→ 三頭大滝(50分)→ 「都民の森」バス停(40分)
コースタイム/  約3時間 
標高差/ 約500m 

[登山道の特徴]

都民の森のなかは道標が整備されており迷うことはあまりないと思われます。
都民の森入口の駐車場から森林館まで上がりその奥から鞘口峠までの登山道が始まります。
鞘口峠から登山道は西へ折れて見晴小屋を経由して三頭山の3つのピークに向かいます。見晴小屋のあたりからブナがよく目立つようになります。
3つのピークのうち東峰に展望台があります。西峰に「三頭山」の大きな標柱が立っています。西峰からは富士山の眺望があります。
西峰から南へ登山道は折れてムシカリ峠まで下ります。
三頭大滝へはムシカリ峠から東への下り坂に入りますが、峠をそのまま南へすこし進むと避難小屋とトイレがあります。
ムシカリ峠から東へ進むとやがて沢沿いの道となり三頭大滝に辿り着きます。
三頭大滝は滝見橋の途中からですとその全景がよく見えます。
三頭大滝から森林館までの間の道にはウッドチップが敷き詰められており、とても歩きやすく快適な道です。この“大滝の道”が森林セラピーロードとして認定されています。
公園内には複数のトレッキングコースが設定されており、いくつかの小さな分岐がありますので道標をよく見て確認してください。
●水場やトイレなど
登山道上に水場はありません。
都民の森入口の駐車場に隣接して売店と自動販売機があります。
トイレは、駐車場、森林館、避難小屋、三頭大滝にあります。

[難易度・危険箇所など]

とくに大きな危険箇所はほとんどありません。

[アクセス]

●往路・帰路
JR五日市線「武蔵五日市」駅と“檜原都民の森”の「都民の森」バス停の間を路線バス(西東京バス)が運行。乗車時間は約1時間41分(直通の急行バスの場合は1時間8分程度)
※直通の急行バス以外の普通便の場合、「数馬」バス停でいったん別のバスに乗換えます。
●補足
2023年のJRのダイヤ改正により、ホリデー快速おくたま号で新宿駅から奥多摩駅に向かう場合、青梅駅でいったん乗換えることになります(直通運転は廃止になりました)。
同改正により、新宿駅と武蔵五日市駅を結ぶホリデー快速あきかわ号は廃止になりました。なお、武蔵五日市駅から新宿方面に向かう場合、武蔵五日市駅から普通各駅停車便で拝島駅に行き、ホリデー快速おくたま号に乗換えることができます。
※留意
武蔵五日市駅~都民の森の間の路線バスは冬季運休です。

[国土地理院地図]

三頭山(奥多摩) 

[コースマップ]

檜原村観光協会のWebサイトにおいて三頭山のハイキングガイドマップが提供されています。
リンク先: パンフレット (檜原村観光協会)
檜原都民の森のWebサイトにおいて三頭山のハイキングコースマップが提供されています。
リンク先: コース紹介 (檜原都民の森)

<こんな方にオススメ>

(1)ブナ林などの美しい森が好き
(2)森林セラピーに興味がある
(3)豊かな自然の中であっても整備された登山道を歩きたい


<補足情報>

[売店等]

武蔵五日市駅の駅舎と駅前にコンビニエンスストアがあります。
檜原都民の森入口の駐車場に隣接して売店があります。

[日帰り温泉など]

数馬の湯 (数馬バス停) ※公式サイト
瀬音の湯 (十里木バス停) ※公式サイト

[お食事処]

“檜原都民の森”には公園施設の森林館内に食堂があります。
前記の日帰り温泉施設内には食堂があります。
「寿庵忠左衛門」 日本蕎麦 (武蔵五日市駅) ※公式サイト
「黒茶屋」 懐石料理 (武蔵五日市駅近く) ※公式サイト

[名産品]

じゃがいも
こんにゃく
のらぼう菜

[山小屋等の宿泊施設]

数馬の集落周辺には複数の旅館があります。

[付近の山]

浅間嶺・浅間尾根
笹尾根
御前山

[お天気情報]

三頭山/山の天気 (tenki.jp)

[そのほかの補足]

●檜原都民の森
三頭山山頂域の山岳公園。公園内の森林館には休憩室や食堂などあり。各種イベントを催行。
●五日市観光案内所
武蔵五日市駅そば。


<私的な雑感>

三頭山の印象はとにかくブナの森が美しい、そのひと言に尽きるように思えます。
春の新緑や夏の万緑はもちろん、秋の黄葉も見事なものです。ブナの葉は他の樹木よりも大きめであるためでしょうか、緑や黄葉が空間を占める割合や広さが大きいように思えます。そのせいもあり彩りがいっそう鮮やかに感じられる気がします。

しいて難点を挙げるとすると、アクセスがすこし不便なところでしょうか。武蔵五日市駅からのバスの乗車時間は1時間を超えますし、直通の急行バス以外ですと乗換が必要になります。また本数も限定されます。そのため帰りに途中下車して日帰り温泉に入って帰ろうとすると帰路のバスの時刻をちょっと心配しなければなりません。

三頭山の個人的にお気に入りのところは、もちろんブナの森はいうまでもありませんが、ウッドチップの森林セラピーロードの愉快さでしょうか。ふかふかとしたクッション性のある柔らかな踏み応えが面白くてつい顔が綻びます。どこまでもずっと歩いて行けそうな感覚が楽しいです。ほかの山や森林公園ではなかなか体験することができない道ではないかと思われます。

三頭山は都民の森から登って下りていくのであれば、それほど難度は高くなく登山初心者でも十分歩けるレベルだと思います。標高差が500m程度なので高尾山登山からちょっとステップアップしたようなレベル感でしょうか(比較的短いコースのため急登の部分もある)。そういわけで登山初心者や家族連れでも楽しめて、なおかつ東京屈指の美しい森歩きを堪能できる登山コースであると思います。


<備考>

森林セラピー (NPO法人・森林セラピーソサエティ)
ハシリドコロ (Wikipedia)※毒草のため要注意。
のらぼう菜 (Wikipedia)
三頭大滝 (檜原村観光協会)

<参考リンク>

檜原村観光協会 ※公式サイト
檜原都民の森 ※公式サイト
西東京バス ※公式サイト
奥多摩ビジターセンター ※公式サイト
山と高原地図「24.奥多摩 御岳山・大岳山」 (昭文社)
五日市警察署 ※公式サイト


<関連記事>


<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「登山の魅力」にまとめております。

[奥多摩]
0004/三頭山  0009/御前山  0010/雲取山  0020/浅間嶺と浅間尾根
0028/御岳山
[丹沢・箱根]
0005/大山  0030/塔ノ岳
[秩父・奥武蔵]
0023/金峰山  0026/棒ノ折山  0032大菩薩嶺
[八ヶ岳]
0001/編笠山  0007/飯盛山  0014/天狗岳  0017/北八ヶ岳周遊(冬)
[北アルプス]
0012/燕岳~常念岳  0024/涸沢カール  0033/立山
[南アルプス]
0011/北岳
[関東そのほか]
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[東海]
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[山梨県そのほか]
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[長野県そのほか]
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[その他の地域]
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(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2020/11/07 上町嵩広  改訂:2023/10/25)



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