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木曾駒ヶ岳 △登山の魅力△(0042)

千畳敷カールが眼前に180度広がる雄大さは圧巻! アクセス抜群で観光客も楽しめる中央アルプス3000m峰。 
(本記事/ 文字数:約4500字、読了:約9分)

《引用》 宝剣岳と千畳敷カール(7月)急峻なカール壁、平坦なカール底が形成するU字型の地形が確認できる。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Senjo-jiki2.JPG
Attribution: Ans, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

<千畳敷カールの魅力>

(1)千畳敷カールの雄大さ
左右に大きく開放された千畳敷カールの景観はスケールが大きく見事です。まるで「さあ、登りに来てごらん」と両腕を開かれて招かれているかのようにも思えます。
(2)抜群の山頂眺望
ロケーション的に木曽駒ヶ岳を中心に各方角にほかの中央アルプス、北アルプスそして南アルプスの山々があります。山頂は森林限界を超えているうえ、近場に高い山などもないために視界がよく開け、東西南北どこを向いても日本を代表する素晴らしい山の姿を拝むことができます。


<概要>

木曾駒ヶ岳 (きそこまがたけ)
所在地:長野県木曽郡上松町・木曽町、上伊那郡宮田村
中央アルプスの最高峰。標高は約2956m。
木曾駒ヶ岳を西駒ヶ岳、甲斐駒ヶ岳を東駒ヶ岳ともいう。
日本百名山、花の百名山(ヒメウスユキソウ。いわゆるエーデルワイスの仲間)


<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩除く)
駒ヶ岳ロープウェイで中腹の「千畳敷」駅まで上がり、千畳敷カール内を一気に稜線まで登り木曽駒ヶ岳の山頂まで往復するピストンコースです。
駒ヶ岳ロープウェイ「千畳敷」駅→ 千畳敷カール→ 乗越浄土(60分)→ 中岳(30分)→ 木曾駒ヶ岳(30分)→ 中岳(30分)→ 乗越浄土(20分)→ 「千畳敷」駅(50分)
コースタイム/ 3時間30分程度
標高差/ 300m程度(千畳敷駅:2612m、木曾駒ヶ岳:2956m)

[登山道の特徴]

「千畳敷」駅周辺は遊歩道となっており本格的登山装備でなくてもハイキングを楽しむことができますが歩きやすい服装と靴が必要です。
カール内は高山植物が豊富です。とくにシナノキンバイ、ウスユキソウやチングルマなどが有名です。
カール内は登山道以外は立入禁止です。
カール内(千畳敷駅~浄土乗越)に休憩適地はあまりありません。
千畳敷駅から上の登山道は森林限界より上なので樹木などは低木のハイマツ等を除いてほとんどありません。
駒ヶ岳山頂からは360度の展望が開けており御嶽山、乗鞍岳、北アルプスや南アルプスなどがよく見えます。
●水場やトイレなど
水場は登山道上にはありません。
トイレはロープウェイの駅と山小屋にあります。

[難易度・危険個所など]

カール内とくに上部の道は狭く追い越しや登降の交錯が難しいところもあります。
カール内は落石に注意してください。また自ら落石を起こさないように注意が必要です。
中岳ピークを経由しない巻き道は「難所」とされており、岩稜登山経験者向けであり、とくに積雪期・残雪期は通行禁止とされています。
乗越浄土から木曽駒ヶ岳とは反対方向にある宝剣岳は本格的な岩稜登山であり、長野県の条例でヘルメット着用奨励ルートとなっています。
●信州 山のグレーディング
体力度/ 2(1→10)
難易度/ B(A→E)

[アクセス]

●往路 ※帰路は逆
駒ヶ岳ロープウェイ「千畳敷」駅から徒歩。
《補足》
JR飯田線「駒ヶ根」駅から路線バス(伊那バス)を乗り継ぎ「しらびそ平」駅まで移動。自家用車で来た場合でもマイカー規制があるため途中の「菅の台バスセンター」で路線バスに乗り換えが必要。
駒ヶ岳ロープウェイはハイシーズンにはたいへん込み合い、2時間待ちなどの場合もあります。
ロープウェイと路線バスのチケットが2023年末からオンラインで購入できるようになりました。詳細は駒ヶ岳ロープウェイの公式サイトをご確認ください。※本記事末尾の参考リンク欄を参照。
《参考》
新宿(東京)から駒ヶ根バスターミナル間を高速バスが運行しています。駒ヶ根バスターミナルから駒ヶ根駅までは徒歩圏内です。なお、バスターミナルに最も近いバス停(しらび平行き)は「すずらん通り」バス停になります。

[国土地理院地図]

駒ヶ岳

<こんな方にオススメ>

(1)千畳敷カール内の遊歩道をハイキングして高山の自然の雰囲気を満喫したい
(2)比較的難易度が低いがそれなりに登り応えのある3000m峰に挑戦したい
(3)雄大な千畳敷カールの景観を楽しみたい


<関連情報>

[売店等]

ロープウェイ「千畳敷」駅に売店があります。
途中の山小屋で飲料やスナック類を購入できます。

[日帰り温泉など]

こまくさの湯 ※公式サイト
こまゆき荘 ※公式サイト
露天こぶしの湯 ※公式サイト

[お食事処]

ロープウェイ「千畳敷」駅内にはカフェがあり軽食などが提供されています。
明治亭 ※公式サイト  ソースカツ丼/こまくさの湯そば
駒草屋 (長野伊那谷観光局)  蕎麦/こまくさの湯そば
萬里 (食べログ)  ローメン/駒ヶ根駅
”こまくさの湯”内には食堂があります。

[山小屋などの宿泊施設]

ホテル千畳敷 ※公式サイト
宝剣山荘・天狗荘・駒ヶ岳頂上山荘 ※公式サイト
頂上木曽小屋 (PEAKS)
玉乃窪山荘 ※公式サイト

[付近の山]

宝剣岳
空木岳
越百山
恵那山
御嶽山(木曽御嶽山)

[そのほか]

ソースカツ丼は木曾駒ヶ岳の麓の駒ヶ根の名物です。
ローメンは伊那のご当地B級グルメです。分かりやすく言うとスープ入り焼きそばというイメージです。
ホテル千畳敷は通年営業です。駒ヶ岳ロープウェイも通年運行しており、「千畳敷」駅周辺であれば雪景色を楽しみちょっとした雪遊びもできます。
●駒ヶ根ファームス
「菅の台」バス停そばにある特産品販売所です。ソフトクリームなどのスイーツや軽食等を提供する飲食施設もあります。観光案内所も併設。


<私なりの楽しみ方>

木曽駒ヶ岳は登山初級者からでも楽しめる本格的登山の3000m峰というイメージです。

千畳敷カールを初めて見たときの眼前に高くそびえる威圧感と左右に大きく開けたパノラマ風景には目を見張り声を挙げました。”日本三大カール”に入れられていないのはちょっと頷けない…そんな風に感嘆しました。

苦労したのは「とにかく渋滞する」ということでしょうか。登山道というよりも、夏や紅葉のハイシーズンにおける駒ヶ岳ロープウェイの激込み必至です。個人的経験ですが、現地に行ってみたら2時間半待ちといわれたことがありました…。麓の駅前には待ち疲れてその場に寝転ぶ人も出る状況。

難点としては、登山としてはちょっと物足りないかもしれません。千畳敷駅から標準的タイムで山頂まで2時間程度です。実際の標高差も千畳敷カールの見た目ほどではないです。登山中級者以上にはやはり歩き足りないように思えます。逆にいえば朝早い段階で登り始めれば日帰りも可能な希少な3000m峰といえます。

山頂からの眺望はひときわ群を抜いているといえるのではないでしょうか。中央アルプスというロケーション上、北アルプスや南アルプスも360度全景にわたり日本を代表する名だたる高山の数々を見渡せます。この好展望こそ最大の特徴といえるかもしれません。

そんなわけで、木曾駒ヶ岳は「アクセスよし」「高山植物鑑賞よし」「展望よし」と三拍子そろっており、登山初級者が初めて登る3000m峰には絶好の山だといえるかと思います。


<備考>

ウスユキソウ (白馬五竜高山植物園)
カール(圏谷) (Wikipedia)
木曽駒ヶ岳 (Wikipedia)
千畳敷カール (Wikipedia)
駒ヶ根ファームス (信州駒ヶ根ガイド)
長野県警察山岳情報 (長野県警察)
信州 山のグレーディング (長野県)
木曽警察署 ※公式サイト
駒ヶ根警察署 ※公式サイト

<参考リンク>

信州駒ヶ根ガイド (駒ヶ根観光協会)
信州みやだ観光ガイド (宮田村観光協会)
長野伊那谷観光局 (一般社団法人長野伊那谷観光局)
中央アルプス国定公園 (上伊那地域振興局)
中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ ※公式サイト
伊那バス ※公式サイト
山と高原地図「43.木曽駒・空木岳」 (昭文社)


<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「登山の魅力」にまとめております。

[奥多摩]
0004/三頭山  0009/御前山  0010/雲取山  0020/浅間嶺と浅間尾根
0028/御岳山
[丹沢・箱根]
0005/大山  0030/塔ノ岳  0035/金時山
[秩父・奥武蔵]
0023/金峰山  0026/棒ノ折山  0032/大菩薩嶺  0040/乾徳山
[八ヶ岳]
0001/編笠山  0007/飯盛山  0014/天狗岳  0017/北八ヶ岳周遊(冬)  0041/霧ヶ峰
[北アルプス]
0012/燕岳~常念岳  0024/涸沢カール  0033/立山
[南アルプス]
0011/北岳
[関東そのほか]
0006/赤城山  0008/大楠山  0018/一ノ倉沢(冬)  0021/男体山(日光)  0025/那須岳  0031/鳴虫山  0034/戦場ヶ原  0036/奥高尾縦走路
[東海]
0016/城ヶ崎海岸  0019/幕山  0027/沼津アルプス
[山梨県そのほか]
0022/三つ峠
[長野県そのほか]
0029/黒斑山
[その他の地域]
0002/雨飾山  0003/宮之浦岳  0012/大杉谷~大台ヶ原  0015/苗場山  0037/筑波山


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(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2024/07/03 上町嵩広)

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