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大菩薩嶺 △登山の魅力△(0032)

お手軽2000m峰。関東近郊のアクセス便利で登りやすく眺めも良い、三拍子そろった山稜です。
(本記事/ 文字数:約4200字、読了:約8分)

《引用》 大菩薩峠を望む
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Daibosatsu_touge.jpg
Attribution: Uraomote yamaneko, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

<大菩薩嶺の魅力>

(1)関東近郊でもっとも登りやすい2000m峰
駅からのアクセスも良く、難所もほとんどなく、体力面でもあまり心配せず登ることができる2000m峰としては一番かもしれません(ちなみに谷川岳の標高は約1977m)。上日川峠から登る場合、標高差としては500m程度になります(高尾山は高尾山口駅から山頂の標高差が約410m)。
(2)富士山や南アルプスの眺望
大菩薩嶺の山頂は林の中にあるので眺望はほぼありません。山頂から一段下りた“雷岩”やさらに下った大菩薩峠では南西方向に富士山と南アルプスの山脈(甲斐駒ヶ岳など)がよく見えます。笹原や草地が広がっているので、パノラマのように広く見渡すことができます。


<概要>

大菩薩嶺 (だいぼさつれい)
所在地: 山梨県甲州市・北都留郡丹波山村
奥秩父山塊の一角。最近は大菩薩嶺から南へ続く稜線は“甲州アルプス”とも称されている(正確な範囲や定義は不明)。
標高は約2057m。大菩薩峠は約1897m。
日本百名山、花の百名山(ギンバイソウ)、新・花の百名山(スズラン)


<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
上日川峠から登り、塩山駅寄りの“大菩薩の湯”に立ち寄る周遊ルート。
上日川峠(ロッヂ長兵衛)→ 福ちゃん荘(30分)→ 唐松尾根→ 雷岩(60分)→ 大菩薩嶺・山頂(10分)→ 雷岩(10分)→ 賽の河原(30分)→ 大菩薩峠/介山荘(10分)→ 福ちゃん荘(40分)→ 上日川峠(20分)→ 千石茶屋(70分)→ ”大菩薩峠登山口”バス停(30分)→ 大菩薩の湯(10分)
コースタイム/ 5時間程度
標高差/ 約1200m (上日川峠:1840m、大菩薩嶺:2056m、大菩薩峠:1900m、大菩薩峠登山口バス停:890m、大菩薩の湯:820m)

[登山道の特徴]

“福ちゃん荘”までは簡易舗装の車道もあります。
“福ちゃん荘”から先の唐松尾根のルートからが本格的な山道になります。
ザレた石やガレた岩が出てくるともうすぐ雷岩です。
雷岩は見晴らしがよく休憩適地です。
大菩薩嶺の山頂は樹林の中でほとんど眺望はありません。
雷岩から”賽の河原”までの間は岩や大きな石の多いガレ場の道が比較的続きます。
雷岩から先へ大菩薩峠や甲州アルプスの稜線がずっと先まで見通すことができます。
”賽の河原”にある避難小屋のあたりが旧・大菩薩峠になります。
旧峠から10分ほど下った地点に現在の大菩薩峠と介山荘があります。
大菩薩峠から“福ちゃん荘”までの道は笹原と林の中の整備された歩きやすい道です。
上日川峠から千石茶屋までは静かな広葉樹中心の森のなかを下っていきます。紅葉の時期も美しいです。
千石茶屋から30分ほどで”大菩薩峠登山口”バス停になりますが、この間はほぼ車道歩きです。
●水場やトイレなど
水場は登山道にはありません。
トイレは上日川峠、福ちゃん荘そば、大菩薩峠、”大菩薩峠登山口”バス停にあります。

[難易度・危険個所など]

とくに大きな難所や危険個所はほとんどありません。
●エスケープルート
今回のルートの場合、いったん上日川峠に戻りますのでそこでふたたたびバスに乗り「甲斐大和」駅に戻ることができます。バスの運行本数は少ないですのでご留意ください。
●山梨県 山のグレーディング
体力度/2 (1→10 低→高)
難易度/A (A→E 低→高)
※上日川峠の周回コース

[アクセス]

●往路
JR中央本線「甲斐大和」駅から路線バス(栄和交通)で「上日川峠」バス停まで約45分。
●帰路
「大菩薩の湯」バス停から路線バス(甲州市民バス)で「塩山」駅まで約30分。
※どちらも季節運行による運休があるので事前確認要。

[国土地理院地図]

大菩薩嶺

[コースマップ]

山梨県よりコースマップが提供されています。
リンク先: 山梨百名山ピッチマップ (山梨県)

<こんな方にオススメ>

(1)比較的手軽に2000m峰を登りたい
(2)富士山の眺望がよい山に登りたい
(3)都心から近場の日本百名山に登りたい


<関連情報>

[売店等]

ロッヂ長兵衛
福ちゃん荘
介山荘
千石茶屋

[日帰り温泉など]

大菩薩の湯 (ぐるり甲州市/甲州市観光協会)
やまと天目温泉 (ぐるり甲州市/甲州市観光協会)
塩山温泉 宏池荘 ※公式サイト  塩山駅

[お食事処]

甲州ほうとう完熟屋/ 塩山駅 ※公式サイト
奥藤 第十分店/ 塩山駅 (食べログ)
“大菩薩の湯”“やまと天目温泉”内には食堂があります。

[山小屋などの宿泊施設]

ロッヂ長兵衛 ※公式サイト
福ちゃん荘 ※公式サイト
介山荘 ※公式サイト

[付近の山]

乾徳山
滝子山
岩殿山
笠取山
竜門峡
甲州アルプス

[名産品]

もも
ぶどう

[お天気情報]

大菩薩岳(大菩薩嶺) (山の天気/tenki.jp)


<私なりの楽しみ方>

大菩薩嶺は、繰り返しになりますが、ひと言でいうと“お手軽2000m峰”。
関東近郊の人間とっては2000m級の山に登ってみたいと思ったら一番手っ取り早く登れる山だと思います。逆に拍子抜けするくらいかもしれません。

ところで西日本の最高峰は四国の石鎚山ですが標高は2000m(約1982m)ありません。関西圏の方は2000m峰を目指す場合ちょっとアクセス的に不便かもしれません。そんな中、電車とバスの乗り継ぎで少々時間は要すものの高尾山登山から1ランク上くらいのレベル感で気軽に登ることができて、しかも日帰りOKなので至便この上ないといえるのではないでしょうか。

また眺望に優れているところも素晴らしいと感じます。富士山の雄大な姿や南アルプスの横たわる山脈の眺めも楽しめます。とくに甲斐駒ヶ岳の山容がよく分かります。展望のある雷岩や大菩薩峠までは登山口(上日川峠)からいずれも90分かからない程度で絶好の景色を拝めます。

初夏や秋のハイシーズンには駅から人が溢れかえるほどのこともあります。
以前、秋の紅葉シーズンに行った時にはバス待ちで90分ということもありました。その結果、帰りのバスに乗るために駆け足で下山する羽目になりました…。ハイシーズンに登山を予定している場合は、人数がそろうならタクシーを事前に予約手配することも一案かもしれません。

そんなわけで、大菩薩嶺は登山入門や初心者の方も数多く訪れる大人気の山です。


<備考>

大菩薩峠 (Wikipedia)
ギンバイソウ (Wikipedia)
スズラン (みんなの趣味の園芸/NHK)
山梨の登山・山岳情報ポータル (山梨県)
山岳情報 (山梨県警察)
山梨県 山のグレーディング (山梨県)
日下部警察署 (山梨県警察)

<参考リンク>

ぐるり甲州市 (甲州市観光協会)
秩父多摩甲斐国立公園 (環境省)
栄和交通 ※公式サイト
甲州市民バス (甲州市)
山と高原地図/25.大菩薩嶺 (昭文社)


<関連記事>

大菩薩嶺周辺に関する上町嵩広の関連記事です。一部、外部サイト掲載記事もあります。


<バックナンバー>
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(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2023/04/30 上町嵩広  改訂:2024/07/13)