10年前のキミへ #3 入社式③

10年前のキミへ

席に戻り読みかけの日経新聞を開くが、

ケータイをいじる気もしないので、仕方なく窓の外を眺める。

久しぶりに会う同期の顔を思い浮かべる。

これからの研修で何が起こるのだろうか。

周りの席には、スーツを着た人が大勢いる。

数多の会社員の一人で終わるか、何かを成し遂げるかは自分次第だ。

自分はこれから、自らが選んだ会社で、自分の存在を証明するのだ。

そんなことを考えていると、あっという間に京都を過ぎた。大阪まではもうすぐだ。

新大阪駅に到着した。ここからホテルまでは大体30分だ。

大阪駅で乗り換えて、USJの方に行けばいいらしい。

改札をくぐって、在来線のホームに向かう。 思いの外、人がたくさんいる。

乗り換えはスムーズに行き、すぐに大阪駅に着く。

USJ行きの電車のホームを探すが、中々見つからない。

そしてホームがとても多い、新宿並みだ。

初めて来たので、乗り換えの階段がどこかも分からない。

地下鉄や私鉄と思われる乗り換え案内もあり、情報の多さに惑わされる。

なんとか案内を見つけてその通りに進むが、本当につけるか不安だったので、ホームで関西弁で喋っていた女性二人組に聞いてみる。

人に道を聞くなんて、記憶の限りほとんどない。

その二人は、このままいけば大丈夫ですよ、と親切に教えてくれた。

ようやく、さっきまでの不安がなくなった。

別のJRに乗り換える。環状線というらしい。東京だと山手線にあまるのだろうか。

ホームの到着や発車のメロディが大きいなと感じる。

車内に乗り込み、目を上にやると広告の量が少ないことに気がつく。

いちいち東京と比べてる自分に気がつく。今日から3週間は大阪にいるのだ。