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ロンドン、みぎ見てひだり見て。ドイツ生活のぼやき - 7

今日のお話

① ロンドンの横断歩道は、よそ者に優しい
② ロンドンと東京は、よく喋る

先日はじめて英国ロンドンを訪れました。英語圏は、大昔にアメリカの姉妹都市に派遣中学生として訪問したっきり、どこにも行ったことがありませんでした。今回の旅の目的は新婚旅行。3泊4日と短めの滞在だったので、「ぷちハネムーン」という題を冠した旅のしおりを携えて行ってまいりました(わたしたちは旅に出るとき旅のしおりを作っていくのです……)。

わたしたちが最初に降り立ったのは「ロンドンの成田空港」こと、スタンステッド空港です。そこからトッテナム・ヘイルという駅を経て、キングス・クロス駅にたどり着きました。キングス・クロスって、言葉としてはハリーポッターなんかで聞いたことがありましたが、あまり英語圏に興味のなかったわたしです。地下鉄から地上に出て、どーん!とそびえたつ歴史的建造物を目の当たりにして、ようやく言葉・知識としてのキングス・クロスと、そこにある物体としてのキングス・クロスが結びつきました。

ぱしゃぱしゃと建物の写真を撮って、せっかくだからとハリーポッターショップや、その横の壁に生えたハリーポッターのカート(撮影スポット)を見学して、それからようやくホテルへ向かい始めました。

グーグルマップを見ながら示された道順に進むと、お気に入りのユーチューバーの動画で見たことがあるアメリカのハンバーガーチェーン店「ファイブ・ガイズ」を発見しました。なるほど、アメリカの大きな企業はイギリスにも進出しているのかと少し驚きました。というのも、ドイツやイタリアではアメリカのファストフード店はマクドナルドとバーガーキング、それからサブウェイくらいしかみかけないのです。もちろんこれだけでも多いとは思いますが、そもそもこちらではアメリカの会社に対する不信感すらあるような雰囲気なので、同じ英語圏として、そして歴史的にも、イギリスではアメリカの企業が受け入れられやすいのかしらと思ったのでした。

ちなみにこのファイブ・ガイズ、ベーコン入りのミルクシェイクというのがあって、バニラの甘さとベーコンの塩気が絶妙なんだそうですよ。

こちらがお気に入りのYouTubeチャンネルです。クリスさんとギンさんの食レポも面白いし、何より美味しそうに食べているのを見るのが好きです。


① ロンドンで道を渡る

さて、ファイブ・ガイズのメニュー表から目を離し、再びグーグルマップと睨めっこしながら歩を進めると、横断歩道がありました。少し複雑な交差点にもかかわらず、信号の色などお構いなしに渡っていく人が多かったのですが、わたしたちは観光客ですから、慣れない場所ではルールに従うべし。ということで、信号があるうちは信号が青になったらせっせと渡るようにしていました。

問題はその後です。駅から少し離れると、目の先に信号のない短い横断歩道が現れたのです!それでも、そこはロンドン。交通量はそれなりにあります。

「ええと、イギリスは日本と同じ左側通行だから、みぎ見て、ひだりを見るのよね……」

そう自分に言い聞かせながら横断歩道まで近づくと、足元にこんな文字が大きく書かれていました。

→ LOOK RIGHT →


「右をみて!」と書かれたロンドンの横断歩道

あっ、はい、と思わず文字に答え、言われる(?)がまま右の方を確認し、念のため左も確認し、そして小学校で習ったようにもう一度右を見てから渡り始めました。

なんて便利なんだろう!これならびくびくする必要がない!

でも左側通行のイギリスで、左側を念入りに確認することなんてあるだろうかと思っていると、今度は「← LOOK LEFT ←」というペイントも発見しました。たしかに、交差点によっては、左を見なければならない場面があります。

地方出身者が多い東京のように、他の街からロンドンに来た英国人はもちろん、旅行客や出張者などの外国人滞在者、あるいは移住者も多い国際大都市なので、もともと事故も多かったのではないでしょうか。その問題を解決すべく、こうやってひとつひとつの横断歩道に、どういう風に気をつけたらいいか書いて知らせるというのは、「よそ者」に優しいなあと感心しました。

こういう「困っている人」や、いわゆる「弱者」を助けるシステムは、結局すべての人の生活を少し良くすることになるのだろうと思います。だって、いくらこの街に慣れても、こうやって書いてあれば渡るときに適切に安全を確認するようになると思うんですよね。でも、目の見えない方にはロンドンの生活はなかなかハードルが高いようにも感じました。それはどこの大都市も同じなのかな。

そんなことをあれこれ考えていたら、「← LOOK BOTH WAYS →」(両側確認)というパターンも発見しました。両方チェックしなきゃいけないなら書かなくたって同じでしょ?と思ったのですが、左右入念に確認しなきゃ危ないような場所は、こうやって警告してもらって気を引き締めるくらいしないと、事故が多発してしまうのかもしれませんね。

② よく喋るロンドンと東京

こうやって人々に「アナウンス」してくれるロンドンは、少し東京と似ているように感じました。横断歩道だけでなく、電車やバスの中でも、忘れ物がないようにとか、乗り降りの際には隙間にお気をつけてとか、不審物があったら警察に連絡してくださいとか、あれこれお知らせがありました。これは、東京でもありますよね。東京だとさらに、車椅子やベビーカーは線路と水平にとか、とにかく丁寧にいろいろ教えてくれます。

でも、ドイツやイタリアでは、

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