うどんちゃん

1976年産まれ、横浜出身、本と音楽とラジオが好き。本職は歯科技工士。 2007年から…

うどんちゃん

1976年産まれ、横浜出身、本と音楽とラジオが好き。本職は歯科技工士。 2007年から会社を立ち上げて、一人でなんとかやっています。 言葉は好きな表現だけれど、書いた傍から嘘になりそうで怖いと思う。言葉を超えた言葉を描けたら本望。死ぬまでそんなの書けないと思うけれど。

最近の記事

書道について

 小学校1年生から4年生まで、近所の書道教室に通っていた。親が通わせたのがきっかけだが、兄も近所の子供も通っていた。 教室の場所は、天満宮という神社の横にあった。神社は小さい山の上にあって、100段近くある石段を登ると両側に狛犬がいて、振り返ると町の南側が一望できた。冬の晴れた日には富士山も良く見えて、子供ながらに好きな場所。  教室は神社の東側にあって名前は白梅書道教室と言った。70代のおじいちゃんが先生で、白髪に眼鏡の静かなたたずまいの先生。 正座をしてお手本を臨書して、

    • 2023年10月の日記

       ようやく秋らしくなってきた10月の中旬、昨晩は将棋の王座戦で藤井聡太さんが、永瀬さんを下してタイトル8冠達成を成し遂げた。永瀬王座の終盤での苦悩が伝わってきて、見ていて居たたまれない気持ちになった。  今朝は、快晴の雲一つない秋空で、遠くに白い霞が陽に照らされて露わになって光っている。少し風があるが心地よい程度。 今朝は時間があったので娘の幼稚園へ二人で行くことになった。 一緒にゴミ出しをして僕が缶を捨てようとすると 「わたしがやるから、パパは手を出さないで」 とやる気モ

      • 風車の下で(後編)

        代わる代わる別の看護師さんが病室へ来てくれた。 「ああ、葉子ちゃんおかあさんに会えたのね、よかったねー、 お母さんより先にだっこしちゃいましたけど、ほんとかわいい子ですね」 口々にそのような言葉をかけてくれる。  胎児の摘出時に遺体損壊してしまったり、ショックのあまり会いたくないというお母さんもいたりするのだろう、妊娠を隠して産み落とされた胎児を遺棄する事件もあるぐらいだ、そんな子供達にも平等に祝福をという事なのだろう。 それが病院としての通常対応だとしても、僕は医療者のや

        • 風車の下で (前編)

          多々良 樹  僕とキヨミの初めての子供が葉子。30歳の時に妊娠が分かって、二人とも大いに喜んだ。妊娠検査薬の線を確認しては喜び、エコー写真を見て小さくてかわいいねと喜び、少しづつおなかが大きくなってきては喜び、蹴ったとか、回ったとか確認しては喜び、浮かれて周りの人たちにも周知しまくっていた。名前を付けたのはキヨミで葉っぱのように大きくのびやかに育ってほしいという願いを込めた。 キヨミは葉子が生まれるのが1月中旬だと分か

        書道について

          芸術家

          久しぶりにフェイスブックを開いた。イタリアに住んでいる妻のピアノの先生の様子を伺おうと、アイコンをタッチする。先生お元気かな、と気軽に見たのだけれど昨年8月末に亡くなられていた。  先生の演奏(伴奏?)を初めて聴いたのは、2001年に行われた妻の歌の師匠の門下の発表会。下は高校生から上は60代のマダムまで、総勢50人くらいの生徒の伴奏を聴いた時。場所は目黒公会堂(今はありません)僕も妻も22歳位だったか。 発表会の伴奏者は二人いて、一人は男のM先生で、もう一人が女性のS先生

          幼い頃1

           自分の記憶を辿ってみる。 僕が生まれたのは、目黒の大脇病院という所。 父はアメリカに留学中で(会社の留学制度に合格して3年学んだ、この頃に兄が生まれている、だから兄はグリーンカードを取得できる)母は兄を連れて日本に帰ってきていた。 目黒にある母の実家が乳児期の記憶ということになる。 叔母にあたる母の姉もその頃妊娠をしており、6月に僕が生まれ12月に従兄弟のTが生まれることになる。 実家とはいえ、母の母、つまり僕のおばあちゃんは母が20の頃に亡くなっていたので、妊娠中の叔母を

          吉祥寺

           吉祥寺ブックマンションの一つの棚主に、ひょんな事からなった。棚の名前は遠雷BOOKS。月々賃料を払って、小さな棚に好きな本を置いて売って良いというシステムのお店。  僕は元々、歯科技工士という自営業を16年間やっている。こちらは生活のために続けているわけだが、ブックマンションでは好きな本を並べて遊んでいるという事になる。 新しい職種を間借りとはいえ始めると、いろいろな発見が自分のなかで起きる。  まず街の中の本屋さん。古本屋に限らず様々な本屋さんの見方が変わった。商売で

          ある鍵盤弾きの話

           今年の正月に兄の家族が、家に来てくれた。みんなでお茶を飲みながら他愛もない話をしていると、英理ちゃんが妻に切り出した。 「今年は、日本歌曲演ろうと思っててな、トコちゃん、この曲知ってるぅー?」 初恋、九十九里浜、荒城の月、Parlez-moi d'amour。フランス語の歌曲以外は妻も知っていて、なにやら二人で盛り上がっている。妻はソプラノをやっているので、白羽の矢が立ったのだろう。 妻 「最近、全く練習してないからなー、できるかなー、でもいい曲ばっかり!」 英理 「せや

          ある鍵盤弾きの話

          今日は将棋教室の日

           今日は息子の将棋教室の日だ。仕事を早めに切り上げて、息子と二人で自転車に乗って吉祥寺へ向かう。  3月16日の日差しは、春の気配に満ちていて、なんだか心が浮き立つ感じがする。こうして四季が巡ってきて日本人の心の形成がなされてゆくんだよな。寒い冬を超えて春が来る。当たり前の事だけれど随分この季節の移り変わりに助けられることはある。 何かが始まる季節。学校や会社もこの時期に始まる、社会人になってからもそのサイクルを思い出し、少し新鮮な気持ちになる。いい季節だなあと思う。虫の卵

          今日は将棋教室の日