つきみ草
名前がいくら変わっても心はちっとも大人になれない。名前をころころ変えるような、まるで浮気性の癖にあの夏にだけ縋り付いている。もう何年も。只々、それが惨めで、酷く寂しく思えて、只々の後に続くのは碌でもない言葉だらけなのだ。手前の手で殺されるこころであったなら、それは、それが、唯一の報いなのかもしれない。己でこれ程まで殺せないのならば、真更にもできない弱さなら手前で殺してくれたらどんなにいいだろう。もう血も出ません。どうにもなるものか。そうやって幾年、只々、人任せに希っているのだ。
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