読書と平凡な日常29 北極星
どうも、紅りんごです。そろそろ新しいバイトを探さないと、と思い立ち、今日の午後はそこに時間を費やしていました。給与から勤務時間までくまなく調べないと良いバイトは見つからないので、かなり疲れました。そういう時って思うんですよね。「短時間でめちゃくちゃ高収入のバイトないかなぁ」って。今日紹介するのはそんな高収入バイトに関する作品です。
29冊目は米澤穂信『インシテミル』。様々な思惑を持っていかにも怪しい破格の高時給アルバイトに申し込んだ12人。彼らを待っていたのは、円形の建物と各部屋に置かれた凶器。誰かを殺し、それがバレなければ報酬アップ、もしくは殺人の犯人を言い当てれば報酬アップというルール。登場人物たちが次第に疑心暗鬼になっていく様は鬼気迫るものがあります。
確かに1週間程で何百万ともらえるのなら、それに越したことはありませんが、蓋を開けてみればデスゲームでした、なんて御免です。もし巻き込まれても、腕っぷしにも自信ないですし、かといって主人公が如く明晰な頭脳で状況を切り抜けられそうもありません。まぁ、主催者に「こんな馬鹿みたいなことに付き合ってられるか!!」とかいって嚙みつかないだけの理性はあるので、初手死にはないでしょう。でも、どうせなら最後まで生き残りたい。では、どうしたらいいのか。
それは、主人公っぽい人を見つける、これに限ります。始まってからじっと参加者を観察して、誰が生き残ることができそうか見極める。そして有望そうな人と友好関係を結ぶ。かなり姑息な匂い漂う手段ではありますが、生きる死ぬ言ってるときに卑怯もモンブランもありません。絶体絶命の状況下でも決して諦めない、夜空で燦然と輝き、航海者を導く北極星のような方を見つける。本当なら、自分がそうなるのが一番ですが。
自分の人生は自分が主人公だ、なんて言葉がありますが、それを聞く度に「んなわけあるか。」と思います。フィクションの世界のデスゲームが分かりやすい例であるように、現実世界にはあらゆる理不尽が満ちていて、それに私達は打ちのめされ、自分が主人公でないことを実感させられます。確かに自分の人生は自分が主人公かもしれない。けれど、その人生は他人の人生と同じ世界に存在しています。いくら自分の人生で主役を演じようと、その周りにはもっと輝く人生が溢れかえっています。その時、いつまで自分の人生で主役を演じていられるでしょうか。いつのまにか他人の人生に浸食され、自分を見失ってしまうことだってあるかもしれません。そんな時どうするべきか。
それは、他の人間に汚されない自分だけの北極星を持つこと、だと思います。たとえ目の前が暗くても、自分がどこに立っているのかさえ分からなくても、どこを目指せばいいかさえ分かっていれば自分を見失うことはありません。その途中で迷うことはあったとしても、諦めさえしなければずっと照らしていてくれます。微かに見えている遠い希望に向かって歩み続け、それを掴む人、私はそれが主人公だと思っています。
私はまだまだモブですが、星に向かって歩みを止めぬように日々精進していくつもりです。
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