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一級建築士製図試験_2《私がやった合格答案の検証 ユーザープランニング活用法》

前回記事でもご紹介したウラ指導さんの運営しているユーザープランニングの活用法について実際の経験をもとに記事にしてみます。
各課題の解答例として学科合格後の学習で見ていたのは①学校の解答例②同じクラスのランクⅠ図面のみでした。試験元が合格と見なした大量の図面を手に入れることが出来るこのサービスはとても画期的だと思いました。このシステムを有効に使って学習できるかどうかは2回目の製図試験受験を前に非常に大きな違いとなると感じました。受験生の方には、ぜひ参加をして、有効に活用した検証を行っていただきたいと思っています。

私が実際に行ったことを記します。

①分析項目の確立

図面を検証するのですが、最初に自分で検証するための項目リストを作成することが非常に大切です。

項目には2種類あります。①有無で判断できるもの②成立しているかを確認しなければいけないもの

以下の33項目が私が検証を進める中で少しずつ改良しながら作成したリストになります。

【配置計画について】
1.アプローチ位置(どこにあるか)①
2.利用者と管理者のアプローチ交差 ②
3.移動等円滑化経路の確保 (歩車道の分離)②
4.円滑化経路の幅員 ①
5.敷地の無駄なスペースの有無 ①
6.オープンスペースの位置※(どこにあるか)①
7.屋外カフェテラスの位置 (どこにあるか) ①

【ゾーニング計画】
8.多目的ホールの位置 ①
9.アトリエ、準備室の位置 ①

【動線計画】
10.荷解き室から展示室への動線配慮 ②
11.サービス駐車場からカフェへの動線計画 ②
12.ゾーニング計画(フロアゾーニングとなっているか)②
13.広すぎる廊下の有無 ①
14.エントランスホールの計画(広さ、受付カウンターとの関係性)②
15.風除室から利用者用コアへの動線 ②

【立体構成】
16.吹抜けの計画 ②

【断面図】
17.断面図の記載内容 ①
18.道路斜線 ②
19.寸法線の表記 ①

【面積表】
20.建築面積 ②
21.床面積 ②

【構造計画】
22.丘立ち柱の有無 ①
23.片持ちスラブの寸法 ②

【設備計画】
24.PSの計画 ①
25.EPSの計画 ①
26.DSの計画 ②

【その他】
27.要求室の欠落 ①
28.要求室の面積違反 ①
29.室内のレイアウト ①
30.屋上庭園の位置 ①
31.延焼ライン ①
32.防火区画 ②
33.敷地内通路 ①

正解がない試験で、図面の検証を始めると終わりが見え無くなってしまうため、チェック項目を大方決めて、全体の割合の中で項目の重要度の重みづけをしていく事をお勧めします。限られた時間の中で効率よくチェックを進めることもできると思います。

②ランクⅠ図面の分析

ランクⅠ図面の分析を優先的に行いました。試験元や資格学校から出される標準解答例は試験時間内で解かれた解答例では無いのでクオリティが高くて当然です。受験者が同じ試験時間内で解いた解答こそ模範とすべき解答例だと思います。私は学校の課題でもクラスの中で1番簡単に解けている解答を写真に撮らせてもらい、逆エスキスを行なう学習をしていました。
「学校や試験元の標準解答例」→課題条件への解答の仕方を見る
「受講生が解いた1番簡単な解答例」→目標とすべき解答例
以上の学習方法に切り替えることが出来たのはエスキスを進める上で非常に大きな気付きでした。

前述の33項目を1つ1つ全てのランクⅠ図面に対してチェックするのですが、項目ごとに全ての図面をチェックするのをお勧めします。(延焼ラインなら延焼ラインだけを全図面チェックする)。もちろん様々なパターンがあるのですが、絶対に守られている項目と意外とミスが多い項目がわかると思います。私はiPadで全ての図面に書込みをしつつ、エクセルで表にして管理をすることで、項目の重要度の重みづけを行っていました。

210124_ランク1図面

iPadのGoodNotesを使って分析、図面の管理を行っていました。iPhoneにもアプリをインストールすることでデータを同期してみることが出来るので、通勤時間にも分析をすることが出来、非常に便利です。

③ランクⅣ図面の分析

次にランクⅣ図面の分析を行いました。これは本試験での一発失格条件の確認自己チェックで見つけるトレーニングをするためでもあります。ランクⅣ図面についても同じく33項目を分析していきました。あくまでも復元図であり、有る無しで多少の疑問はありましたが、あまり気にせず、全体の割合で捉えることを大切にしました。

up689(原点項目)-2-2

私のランクⅣ図面。ランクⅠ図面の検証の後に自分の図面を検証することで、一発アウト項目だけでなく他でも知識不足な点に多く気付くことが出来た。

④インプット学習への切り替え

ランクⅡ、Ⅲの図面の検証は行いませんでした。一番大切にしていたことが①検証リストの作成②図面チェック力の向上の2点だったので、ランクⅠ、Ⅳの図面を全てチェックするだけで十分でした。検証リストで項目の重み付けをして、試験で重要な項目を体感として感じ、図面のチェック力をつけられたのは勉強を始めるにあたり、大きな武器になりました。また、図面チェックをする中で自分が理解しきれていない部分も見出すことが出来たので、学校のテキストを使って知識不足の項目を1つ1つ学習していく事に切り替えることもできました。合格するためにはランクⅠの人の大半の人が持っている知識は出来て当たり前。自分が不合格だったことを納得できたのが非常に大きな検証の意味でした。

製図試験不合格後にやったことはこちらへ

まとめ

ユーザープランニングで手に入る多くのデータは使い方次第で有効性が大きく変わります。私は試験での採点項目の重要度図面チェック力の向上を目標に検証を行うことで、短時間で大きな効果を得ることが出来たと感じています。何から検証したらいいかわからないという方が多くいるかと思いますが、検証の結果、自分が何を手に入れたいのかを明確にして、そのために必要なことだけをすることをお勧めします。設備計画が苦手な人は設備計画だけ、ランクⅠ図面で徹底的にみると良いと思います。検証を始めると深みにはまって、製図試験がより分からなくなってしまうこともあるかと思いますが、所詮は復元図と思うことも大切だと思います。

参考になりましたでしょうか。

最後までお読み頂きありがとうございます。また、今後は【一級建築士試験の製図試験】の私のやった学習方法について解説をしようと考えております。

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