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丹田に力を入れて我慢する(2023/04/17)

 朝イチ、先週末に発覚したミスの件で得意先へ電話したが、折悪しく担当者が出ない。これはきっとこっちが週例ミーティングの間に折り返してくるパターンだろうと思ったら果たしてその通りで、ミーティング開始から数分で電話が鳴った。このタイミングでは出られないから、心を鬼にして「ただいま電話に出ることができません」とやっておいた。

 かつて営業部に在籍していた畜山生太郎(ちくやま・しょうたろう)は、得意先から電話があれば会議中でも構わず出た。そうして必要以上に大きな声で「お世話になっております!」とやりながら、颯爽と部屋を出て行くのである。
 恐らく畜山一流の “こんなに頑張ってる俺” アピールだったのだろうが、その度に会議が中断されるものだから残ったメンバーはおおいにじりじりさせられる。

 イゴールさんは畜山の放逐後、会議中に電話を取ることを禁止した。
「会議中は出ないのが常識だよ。逆に、相手の会議中に電話をしたって出ないだろう?」と、吐き捨てるように云った。畜山のアピールをよほど苦々しく思っていたのだろう。
「そんなことだから、商談でも無闇にへりくだって不利な条件を飲んでくるのだよ」とも云った。それが畜山に対する評価だったらしい。20年ぐらい営業の仕事をしてきて最終的にこの評価では、随分浮かばれないことだ。

 そんなわけだから、自分は早く折り返したいのを丹田に力を入れて我慢しながら、ずっとじりじりしていた。

 結局、状況・背景・展望など諸々確認してみたら、自分が進めた通りで何ら問題ないとわかった。つまりミスではなかった。
 ミスではないものをミスだと思って陰鬱になっていたので、随分損をした。
 くっそぉ、俺の土日を返せよ、畜山め、と思ったが、別段これは畜山が悪いわけじゃない。

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