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異世界、変な偶然(2023/11/16)

 ある事情で今日の予定がぽっかり空いたから、少し遠目の店回りをすることにした。
 店回りは、得意先の店舗スタッフに商品の説明をしたり現場の情報をもらったりするのだけれど、相手の反応はまちまちで、目を輝かせながら色々訊いてくる人もあれば、興味はないけどメーカーが来たからと渋々対応してくる人もある。今日行った店はみんな前者で、気分が良かったからいつもより多めに回っておいた。

 夕方、会社へ戻るのに高速道路を走っていて、どうもおかしいようだと気がついた。
 もう随分走っているのに、先刻から知らないインターチェンジばかり現れて、知ってる地名が一向に出てこない。そうしてカーナビはいつの間にか高架下の一般道を走っているつもりになっている。
 どこかで道を間違ったには違いないが、まるで覚えがない。異世界に迷い込んだみたいな気分だったが、どうやら気付かないうちにうとうとしてしまい、ナビの指示を聞き漏らしたらしい。
 事故を起こさなかったのは自動運転のおかげである。便利な時代になったと感心した。

 もう随分昔になるけれど、居眠りで前の車に当ててしまったことがある。あの時は飲酒もしていたから、警察で随分ねちねちやられた。まだ飲酒運転の罰則が今ほど厳しくなかったから、ねちねちやられただけで済んだ。
「今日は、飲酒は誰が担当だっけ?」と年配の警官が尋ねたら、若い方が「ナカザワ君とホンダ君です」と言った。名前の組み合わせが自分の上司と同期社員と同じで、変な偶然もあるものだと感心した。
 当てた相手の方は自衛官だった。自分の免許証の本籍地——自衛隊と縁が深い土地だった——を見て親近感を持ってくれたのと、「コツッ」ぐらいの軽い当たり方だったのとで、大事には至らなかった。

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