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死地、記憶(2023/06/22)

 出社してまもなく、腹がじわじわ痛くなった。トイレに行ったが捗々しい成果は得られない。そうしてなおなお痛くなってきて再びトイレに入ったが、やっぱり状況は変わらない。
 そのうちに痛みは、脂汗が滲んで吐き気もするほどのレベルになった。鏡の中で顔が真っ白になっているし、とても仕事どころではないから、少し痛みが引いたところでイゴールさんにそう云って早退した。
 帰りに二度ばかり波が来て、途中にあるコンビニとショッピングセンターで全ての決着をつけた。家に着く時分には何事もなかったように回復したから、家で仕事をした。

 大学3年の後期試験で、空き時間に友人らと喫茶店で喋っていたら腹が痛くなった。最初はじんわり痛かったのが段々ひどくなってきた。
 今日と同じで何度かトイレに行くも成果はなく、そのうちに「そろそろ行こうか」となったから体を折り曲げながら学内へ移動した。
 移動はしても、とても試験どころではない。正門前の図書館トイレに駆け込んで焦りながら苦しんでいたら、吐き気と眩暈がし始め、「図書館のトイレでうんこをしながら死ぬ俺」と思った。
 実際ここで死んだら学科の友人らはきっと悲しい顔をするのだろうけれど、サークルの友人らはゲラゲラ笑うに違いない。その様子がありありと脳裏に浮かび、それは嫌だなぁ、と思ったら急に力が湧いてきた。

 けりを付けてすっきりした気分でトイレを出たら、既に試験は始まっていたがぎりぎり入室できた。試験は小論文だったから30分で書き綴って、一番最初に提出し、退室した。
 何だか大変な偉業を成したと思った。

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。