不穏な記憶（2023/12/31）

　沢田の墓へ車で行った帰り、昔釣りをしていたダムへも行ってみようと思い付いた。

　途中、道ぞいの茂みの中に、知らなければきっと見落とすような小さな神社がある。周りには田んぼと川があるだけで、何かの物語に出てきそうな趣である。
　お詣りしようかと思ったが、何しろ道が狭くて駐車場などもないから諦めた。
　全体、ただそこにあるのを知っているというだけの者が思い付きで突然現れたって、神様にしてみれば「お前誰？」となるだろうし、却って悪い気もする。
　最近ネットで、その神社辺りで道に迷って異世界に行ったという書き込みを見たからそれも気になっていたのだけれど、そもそも一本道で、迷うようなところではない。文章自体もおかしな感じだったから、きっとあれな人が書いたものだろうと思う。ただ、そういうことを思い付きそうな風景ではある。

　ダムへの道をもう忘れていたからスマホで調べたら、あのダムは心霊スポットだという情報がぱらぱら出てきた。
　茂みの中から女の悲鳴が段々近づいてくるんだそうだ。
　そういえば昔、湖底から身元不明の遺体が乗った車が見つかったと聞いたのを思い出した。
　随分怖ろしい所で釣りをしていたものだと感心した。あのダムへは小1の時に遠足で行って、みんなで花いちもんめをやったのを覚えている。