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予感、感謝、カメムシ(2023/09/27)

 営業部として配布する資料を自分が作ることになっているけれど、何だかその気になれずに3日ばかり経過した。あんまり先延ばしするのも精神衛生上よくないから、とうとう着手することにしたら、根本的なところで問題があるとわかった。ある情報について、書かなければ資料の意味がないが勝手に書くと得意先に迷惑がかかる恐れがあるのだ。なるほど、これを予感してやる気になれなかったかと得心した。
 どうするかねとネルソン氏に問うたら、彼は「あ」と言った。やっぱり初めて気付いたらしい。そうして少し考えて、「やっぱりこの件は延期しよう」と言った。それで結局作らなくてよくなった。

 夕方、上の人から電話があり、会社に置いている車で17時50分に駅まで迎えに来てくれと云う。置いている車とは、この人が通勤に使っている社有車である。
 17時50分なら既に定時を過ぎている。どうもこの人はそういうところがルーズでいけない。
 全体、どうして自分を指名してきたのか、忙しいのに、とも思ったが、断れば後々厄介なことになるのに違いない。それにこの人とは今後諸々の件で連携しておかなければいけないというのもあって、結局引き受けた。

 車に乗ったらカメムシが1匹一緒に入ってきた。窓を開けて追い出そうとしたが、あさっての方へ逃げるばかりで一向に出ていかない。手で掴むのも嫌なので、そのままにして迎えに行った。
 上の人は「いやぁ、すまないすまない。助かりましたよ」と随分機嫌が良かった。そうして、どこそこでこんな話をしてきたと語る。聞きながら、運転席のバイザーにカメムシがいるのが気になったが、カメムシはいつの間にか姿を消した。
 会社に着いてキーを上の人に返したら、もう一度「ありがとう」と言われた。
 カメムシはきっと車内に潜んだままだと思う。

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