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東京から福岡に家族で移住。田舎から音楽を発信する “shibaken records" が伝えたい枠にとらわれない暮らし方

今年の春、東京・代々木上原から福岡・福津市に家族で移住した、アナログレコード事業を中心とした豊かな音楽生活をサポートするサービスを展開する株式会社NOWHERE代表・柴田 広輝 さん。

なぜ音楽カルチャーの中心地ではない、さらに福岡の田舎方面でもある福津市津屋崎町に拠点を構えたのか。

そこには、世間の常識や風習にとらわれない、人生を充実させる柔軟な考え方がありました。

〈聞き手=ゼロトイチ〉

柴田 広輝 (しばた こうき)
地元・福岡にて15歳でストリートダンスを始め、早稲田大学在学中および留学先のアムステルダムにてダンスミュージックに浸かり、ダンスとDJに没頭する。大学卒業後、日系石油企業にて海外営業・事業開発に従事、辺境の地(主にアジア)を飛び回り、巨額案件に奔走。会社の上場から倒産までを経験し、経営や会社組織への問題意識を抱く。会社倒産後に渡米、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)MBA留学し、アントレプレナーシップとエンターテイメントを専攻。自身の原体験をもとに、アートとビジネスの狭間を埋めるべく起業。双子4歳男児と1歳女児の父。現在、福岡県福津市在住。
https://www.now-here.co.jp/


日曜日は必ず
子どもと遊ぶ働き方

−福岡に移住する前の不安要素はありましたか。
 
柴田:奥さんの仕事の状況だけ心配していましたが、リモートで働けるようになったので、それ以外に不安は特にありませんでした。仕事面は起業して、一人会社だったので、ネット環境を整えれば、適応できると思っていました。

−東京で起業していた方がスケールしやすいということは考えませんでしたか。
 
柴田:それは思いましたね。でも同時に、東京に居続けていたら埋もれる可能性も高いと思いました。売上や集客など規模の拡大を目指すのであれば、東京の方がいいと思います。ただ自分自身と向き合いながら、芯のあるサービスを作るにはノイズが多すぎるなと振り返って思います。東京のほうが人脈も作りやすいのは間違いないですが、コアになる部分は人に頼るべきではないとも思っていたので、多少時間がかかっても自分でやってみたほうがいいと思いました。単純に、地方のほうが新しくて尖ったことがやりやすいだろうとも考えています。

−アナログレコードなど、音楽カルチャーと密接なのは都心の方だと感じています。その中で福岡の田舎方面でもある福津市津屋崎町を選んだのはなぜでしょうか。
 
柴田:たしかに音楽カルチャーは、都心中心でいろんな人が交わってできあがっていくものがあると思うんです。ただそれ以上に、どんな場所にいようが自分のこだわりを持っておくことの方が大事だと思っています。東京だと流行のサイクルが早く、家賃も高いため、短期的な成果や目の前の利益を追いかけてしまいやすい状況です。雑音が少ない離れた場所で、より長い時間軸で腰を据えてやっていく。長く続く企業は、大切にしている哲学やカルチャーがしっかり根付いていて、そういうものは創業初期にこそ培われるものだと思います。周りに振り回されずに、軸を固めるには都会じゃない方がいいのかなと思い、父親の生まれ故郷で縁があった福津市津屋崎町を選びました。

−移住後、働き方で決めている優先順位はありますか。たとえば家族との時間を大事にするなど。

柴田:田舎に住んでいるのに、なんでこんなに慌ただしい日々を過ごしているんだろうと思っているところです(笑)。強引にでも、周りと比べて慌てたり焦らないようにしていますね。

移住して、縁が繋がり出会った古民家。津屋崎千軒エリアに佇む築約50年の元自転車屋さんを、音楽体験工房として実験を繰り返す日々。

−焦りは何に対してになりますか。
 
柴田:世間の常識に対してです。

−焦らないことは大切ですよね。働き方でなにか決まりごとはありますか。

柴田:MBA留学時代から、日曜日は必ず子どもと遊んでいます。日本だと仕事を優先する空気があると思うんです。アメリカだと家族との時間をむちゃくちゃ大事にします。アメリカの売れっ子タレントマネージャーは、子どもとの時間を大事にしたいから、20時以降にアポイントをいれないと言ってました。多忙を極めていても、そう決めているとのことです。日本だと、なかなか表向きに発するカルチャーはないと思うんですけど、そこはアメリカナイズでいこうかと(笑)。家族との時間を優先しないと仕事ばかりしてしまうので、そこは守りたいところです。

福岡に移住して変わった出来事として、海に行きやすくなったのが一つ。海や山が10分内に位置するのは田舎ならではの魅力。

−大事なことだと思います。家庭を大事にしたいと思ったのは昔からなのですか。

柴田:脈々とあります。大学生の頃、オランダ留学に行ったときも、オランダ人は17時にピシャっと仕事を終えてました。なんなら16時45分くらいから帰宅準備を始めています(笑)。人生を楽しんでいる姿が伝わって、夏はバカンス期間もあり、この人達いいなと思いました。オランダは、『ワークシェアリング』という文化が根づいていて、いかに人生を充実させるかを重視しています。会社員で独身の頃、『THE 企業戦士』みたいな時期を数年間過ごしたので、より一層家族の時間を大事にしたいと思っています。アメリカ人みたいに、大きくなっても子供とハグできる仲でいたいです。

次回は、柴田さんのレコード話をお届けします。

【柴田さんの手掛けるお店とサービス】


shibakenrecords
「イーストフクオカ」の港町、津屋崎千軒エリアに佇む築約50年の元自転車屋さんを音楽体験工房にリジェネレーション中。
https://www.instagram.com/shibakenrecords/
 

good record club
good record clubはアナログレコードを通じて、人生を豊かにするような「いい音楽」と向き合う時間と空間を、そして「音楽と遊ぶ」体験を共につくる会員制レコードクラブです
https://goodrecordclub.com/
https://www.instagram.com/goodrecordclub/


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