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大学職員の仕事内容ってどんなもの?【大学職員への就職・転職】

こんにちは。
0から始める大学職員(@university_sta)です。

普段はこちらのWebサイトで大学職員の新卒・第二新卒・既卒採用に関する情報を紹介しています。

本日は大学職員の仕事内容についてご紹介します。

最初に断っておくと、
大学職員は全てこうです。とは言えません。

「IT業界は年収が高い!」「商社の仕事内容はこうです」と言ったところで、結局会社によって違うでしょ?
と言われてしまいます。

大学職員の仕事とは

大学職員の仕事については、ここまで極端なものではなく、「概ね」こんな仕事です。といった多くの大学で共通しているものとなります。

逆に、

大学職員の仕事ってこうです。

と自信満々に言っている方は注意が必要です。
それはあくまで、「あなたが知っている大学職員の仕事」と言えます。
大学職員といっても、

  • 国立・公立・私立

  • 地域

  • キャンパス設置数(場所)

  • 学生規模

  • 設置学部

  • 経営主体(一族経営か)

  • 宗教的な背景があるか

など、千差万別です。

例えば、同じ都内私立大学で人気の高い「早稲田大学」「明治大学」「法政大学」といった大学を比較した場合、似たような境遇にありながらも、待遇や実態、職場の雰囲気や制度は異なります

今挙げたような違いがあれば、更にその状況は異なります。

これを知らずに大学職員とは●●だ!といっている人の情報は鵜呑みにしない方が良く、大学職員とは●●だ!ではなく、私の知っている大学職員とは●●だ!というのが正しく、それが1校の話なのか、2校の話なのか、700校の話なのかでもその情報の根拠がまったく異なります。

また、ここ数年で大学職員に求められるものはかなり変化しています。

これまでは大学職員は「事務処理をしっかりとこなす人」「教員や学生の要望に応える人」というイメージが強く、それでも世間の平均年収と比較するとある程度好待遇であることが多いです。

しかし少子化の影響で18歳人口が年々目減りしている状況では、「単に事務処理をこなす」だけではいかない現状にあります。

新しい大学職員の仕事像とは

これは多くの大学の求める人材像に「課題解決」や「新しい価値を創造する」
といった自分で考え、それを解決できる人材が求められています。
ここで一つ誤解のないようにお伝えすると、これまで求められてきた「事務処理をしっかりとこなす人」「教員や学生の要望に応える人」という能力がなくなったわけではありません。

これらの仕事はいまだ大半を占めています。

つまり、「事務処理をしっかりとこなす人」は前提にあり、
さらに「課題解決」や「新しい価値を創造できる」人が求められています。

ここを理解しておかないと採用の段階で、大学職員のことをわかっているな。
わかっていないな。と捉えられしまいます。

特に大学職員は多くの大学でジョブローテーション制度を導入しています。
これは一定の周期で各部署(各部門)をローテーションしていく制度で、定期的な人事異動が発生します。

「こういった仕事がしたいです!」と面接で伝えても、それが叶わない場合や、数年間で別の業務をしなくてはならないことがあります。

もちろん、大学の事情や、採用枠(SE枠、建設枠など)で別部門への異動がない場合もありますが、多くの大学、採用においてこのジョブローテーションがあります。

しっかりと大学職員の仕事を把握することで、
「●●という部署に配属された場合、どんな観点から本学に貢献してくれますか?」
といった質問や、
「あなたのやりたいことはわかりましたが、本学にはこういった仕事もあります。モチベーションを維持して頑張ることはできますか?」
といった質問にも焦らず冷静に的確な答えをすることができます。

一長制度と二長制度とは

少し大学職員の話とは逸れますが、大学によっては、「一長制度」「二長制度」といったものに分かれます。

一長制度は法人、教学の長が同じ人のケースで、総長という言い方をします。

私立大学は「大学の設置者としての学校法人」と「学校法人が設置する大学」という2つの姿・形をもっており、学校法人の長を「理事長」、学校法人が設置する大学の長を「学長」とよぶことになっています。本学では、同一人が「学校法人早稲田大学の理事長」と「学校法人が設置する『早稲田大学』の学長」とを兼ねる制度をとっており、これを「総長」とよんでいます。

早稲田大学HPより引用

総長を置く「一長制」の大学は、早稲田大学、法政大学、立教大学などが挙げられます。
学長、理事長をそれぞれ分ける「二長制」の大学は、青山学院大学、明治大学などが挙げられます。

この違いについても面接などで聞かれる場合があります。
どちらが良い悪いというわけではありませんが、その違いについて理解しておくようにしましょう。

一長制度と二長制度のメリットとデメリット

一長制度と二長制度の一番の違いは、意思決定プロセスです。
二長制度の場合、学長は教員から輩出されることが多く、理事長はOBや経営者出身の方から輩出されることが多いです。
(あくまで一般例です)

一長制の場合は、総長は教員から輩出されることが多いです。
この違いについてあくまで1つの事例になりますが、二長制の場合、教員出身である学長が、こういった教育・研究をしたい。
といった案件を、理事会(理事長)がその内容を精査し、内容を教学・法人で精査をしながら決定していきます。

一方、一長制の場合は、総長として教学・法人代表である総長の下にある会議等で決定されるので、総長の権限が強くなります。

総長としてしっかりと内容を精査することができれば問題はないのですが、「本当に必要か」といった決定が総長の権限によるものが強くなってしまいます。

纏めるとこんな感じとなります。
一長制:意思決定が早い。権限が集中しがちになる。
二長制:意思決定に時間がかかる。様々な視点から実行が決定される。

※この違いもあくまで事例なので、うちの大学はこうじゃない。
という方もいると思いますので、参考程度にしてください。

それでは、ここからは大学職員の具体的な仕事について紹介します。

大学職員の具体的な仕事(教学・法人)


まず大前提として知っておくべきなのが、「教学」「法人」の違いです。

教学部門


「大学」の教育・研究に関する部門。
教務や学生支援、就職支援、国際化、研修支援、図書館、情報支援(一部法人)など
基本的には学生や教員の支援を担当します。
履修登録や学籍手続きなど、学生として接していた大学職員のイメージ。
いわゆる大学職員としてイメージしやすい業務を担当していることが多いです。

法人部門


学校法人として経営や財政、人事、総務、施設といった組織を支える部門。
一般企業でもよくある部署が多く、教育・研究活動を支える部署として、大学職員が従事する。

ここまで前置きが長くなりましたが、教学・法人と分けて仕事内容を紹介します。

教学部門の仕事例

教務
授業運営(授業設計、教室管理、教員への連絡、学生への連絡)から、学籍管理や成績管理、証明書発行といった、大学教育の支援となる業務全般です。
学部が多ければ、教務に従事する職員は多くなり、学生時代に一度は窓口に行く経験はあったと思います。
学部事務室と呼ばれる業務がここで、大学にもよりますが、新卒の最初に配属される傾向が強めです。
この学部事務室は学生として見ると窓口だけをやっている暇そうな人という印象があるかもしれませんが、実態は、一番業務量が多いともいえる部署で、いわゆる大学職員のイメージが強い一方、どの大学においても大変さは上位に位置しています。
教員、学生、保護者の要望やクレームを受けがちで、結構大変。

学生支援
学生の課外活動を支援したり、奨学金の調整をしたりと、学生の生活支援を主に担当しています。
公認サークル活動や体育会、飲み会のトラブルなどで学生と関わる場面は多い。
その他、学生同士のトラブルや事故に遭った学生対応などもすることがあります。
学生相談の窓口となることが多く、メンタル不調、発達障害、ボランティア活動、LGBTといった授業以外の部分で学生をサポートしています。
専門的な資格をもったスタッフを採用していたり、業務委託していたりと大学によって異なりますが、いわゆる事務職以外の方も所属しています。

入試業務、入試広報
受験生の受け入れ、広報を担当する部署です。
入試の実施・運営以外にも、高校向けイベントの実施を行うケースが多いです。
特にオープンキャンパスや高校への出張講演など、大学に興味を持ってもらうための広報支援を行うことも。
高校生の時に大学職員が説明に来てくれて、大学職員という仕事を知り、大学職員を目指した。といった方も結構多い印象です。
入試当日の運営についても責任を持つことが多く、また少子化の影響で学生確保が重要となっており、やるべきことは多いのに、結果が出ないとやり玉に挙げられることも…

研究支援
教務の業務では、学生・教員の研修を支援する部署であり、研究支援はその名のとおり、学生・教員の研究を支援する部署です。
教員の外部資金獲得のために支援や、研究成果の公表、研究費の管理を行います。
産学連携といったフレーズで、民間企業との連携や他大学との共同研究、海外大学との共同研究といったことを行います。
最近は業務自動化といったアプリやサービスも増えており、そういったトレンドに乗れている大学であれば、比較的事務処理は簡素化されていますが、未だに紙でせっせと処理している大学もあるようで、そういった大学はなかなか業務が終わらず大変な様子です。

就職支援
学生の進路相談や求人紹介、新卒採用を検討する民間の人事担当者とのやり取りなどを行います。
最近はどの大学も学生のキャリア教育に力を入れており、早期から低学年向けのキャリアサポートなども行っています。
大学職員の中でも、一般企業の人事担当者と関わることが多いため、ビジネススキルも必要とされます。
教員とのやり取りがあまり発生しないため、大学職員としては、自由度の高いやりがいのある部署として人気がある傾向にあります。
キャリアコンサルタント資格が求められることもあり、転職した職員が配属されることも比較的多いです。
年々、教育の質以外にも就職実績が大学としての価値を示す指標として見られ宇ことが多く、シビアな一面もあります。

国際化推進、国際教育
学生の派遣や留学生の受け入れ、学生の国際化教育・推進を担当する部署。
留学プログラムの新規発掘や管理などを行う。
近年多くの大学が国際化に力を入れており、志望動機を国際化推進とする方が多い印象です。
職員にも語学スキルが求められる部署です。

社会貢献
大学の役割は「教育」「研究」「社会貢献」と言われることが多いです。
この社会貢献を担う部署で、地域貢献、社会連携、社会貢献といった名前を使った部署名になることが多いです。
地域の自治体と協働して、公開講座を運営したり、企業との連携をしたりといった社会との調整弁的な存在です。
学生のフィールドワークや、最近ではリカレント教育といった社会人の学び直しにもスポットが浴びており、やるべきことは結構多いです。
地域連携といった分野では、都内の大学なのか、校外の大学なので、派遣する側、受け入れる側といった違いもあるようです。

図書館運営
大学にある図書館を中心に、図書の購入・選定・発注・貸出といった業務を行います。
研究に必須となる論文データベースや電子ジャーナルなどを扱い、研究機関である大学特有の部署でもあります。
重要な組織でありながらも、司書資格を持たない職員が配属されることも多く、専門的な部分は業務委託などに依存している大学もチラホラ出ているよう。

情報部門
高校での情報科目の必修化やAIの発展など、今後ますます情報部門の役割は大きくなります。
この分野は日々情報が更新されていくので、定期的に民間企業出身者が転職し、大学SEを担うというケースが多いです。
大学内には多くのシステムが動いており、大規模な大学になればなるほど、その情報管理やシステム整備が必須となります。
プロパーの職員が配属されることは多くはありませんが、情報の管理・運営以外にもオンライン授業などの教育的な分野の部署であれば、新卒職員も配属されることもありえます。
他にも大学IR「Institutional Research」が最近脚光を浴びており、学生の多様なデータを収集、分析を行い数々の取り組みの材料としています。
入学後の学習状況を分析し、そこから導かれるデータを活用するといった動きをしている大学も増えています。
どの地域に人気なのか・不人気なのかといった分析や、どの入試形態を増やすべきなのか、といった情報についても、根拠をもって示すことも可能です。

システムでいうと、履修成績システム、学籍管理システム、財務システム、図書館システム、就職センターに関するシステムなど、各部署が持つ情報システムを把握し、保守や新規システムの導入をするなどの役割があります。
最近ではコロナ禍を受け、全国の大学がオンライン授業や、学内外のオンライン会議システムなどを進めることもありました。

法人部門の仕事例


企画

大学の将来的な長期計画、中期計画、単年度計画などといった経営的な戦略を考える部門です。
他にも学部・学科・専攻の新設や停止、再編といった業務も実施。
情報公開の情報整理や文科省の事業申請も行うことがあるが、場合によっては、別部署に業務移管されていることもあるので、大学によって業務範囲が異なることも。
理事長、学長といった役職のついた偉い人と接することや、文科省との接点も多いことがあります。

人事
教職員の採用から退職や、給与・服務を担う部門で、民間企業での業務内容と基本的には同様。
職員の採用は人事部で対応しますが、教員の採用は各学部に設置される教授会で審議され、承認手続きを行う。
その他、非正規雇用の職員の採用や管理など、大学職員と言いながら民間企業の人事のお仕事を行う。
他にも職員の人事異動や、労働組合との折衝など、苦労するケースが多く、嫌われやすい部署でもある。

総務
大学の規模によっては、人事と総務が明確に分かれる大学もあれば、総務・人事が同じ部門であることもある。
総務については文書規程の改正を担ったり、警備的な手配を行ったり、理事会や評議員会などの会議を運営したりと幅広い業務を行っています。
他にも入学式や卒業式の式典関係の業務を担う大学も。

財務部
学校法人の財政的な管理や経営を行う部署。
教職員の人件費や教育研究でかかる費用など、学校経営で発生する全てのお金を管理しています。
特にお金に関わる部分でしっかりと通常業務をこなせること、今後の財政計画を見通せる人が求められます。
最近は大学単位の資産運用についても求められており、証券会社や銀行出身者などの既卒採用枠がこのポジションに収まることもあります。

広報
先ほどの入試広報ではなく、大学広報、法人広報については、法人部門の広報という部門になります。
広報部門に入試広報と大学広報を担う大学もあれば、教学・法人と分かれているケースもあり。問題としては、どちらも学部の特色を広報したいときに、学部事務室から提供依頼をするものの、似たような依頼が大学広報、入試広報から来るため、二度手間となっているケースがあるようです。
こういった情報を一本化については、面接時に実際に感じた課題として話ができると、大学職員の課題意識として話ができるかもしれません。
大学をいかに宣伝できるかというのは、全ての面で影響を与えます。
また、良い宣伝以外にも不祥事があった場合の記者会見なども広報課が対応することが多いです。
そういったリスケヘッジや良い面・悪い面を含めた大学のリアルタイムでの動きを適切に把握しておく必要があります。

その他にも、同一法人により設置される付属校での運営(直系付属)や、医学部がある大学は、大学病院勤務、保護者と接点を持つ部署、寄付金をお願いする部署など、大学によって部署設置が異なります。

志望する大学の組織図については、「大学名 組織図」といったキーワードで検索すると出てきます。

どのような組織があるのか、志望する大学は「一長制」「二長制」なのか、といった点を知っているかで、その人の志望度が図られてしまいます。
特に目に見える特殊な能力が求められていないからこそ、志望する理由や大学職員の仕事や特性を知っているかが選考に影響を及ぼします。

大学職員の仕事をしっかりと把握しつつ、選考を進めてください。

具体的な対策については、本noteでも随時更新をしていく予定です。


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