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【育児】童謡の世界~「どんぐりころころ」における発見について~

育児をしているときには適当に音楽を流して、子供が気を取られている間に必要な作業をすることがよくある。
テレビだけしかなかったころには年がら年中子供番組を映し続ける番組などなかったので、おもちゃや絵本といったものでなんとか気を紛らわせていたのだろう。テレビがない時代はなおさら様々な工夫があったはずだ。翻って今の時代は非常に便利になり、大人も子供も暇つぶしには事欠かない。

もちろん、子供向けの番組と言ってもいろいろある。
音楽一つとってもいい感じのリリックが光るラップを聞かせても仕方ないので、大体はクラシックとか童謡とか、そういう感じの平和な音楽になりがちだ。
クラシックなんかは気の利いたライブ動画なんかがあるものの、まだ少し難しいようでいまいちノリ切らない。

そこでただただ童謡を垂れ流す動画があったりして、再生回数が1000万回を超えるものも珍しくない。そういった人気チャンネルのうち、よく見るのが「シナぷしゅch」と「横山だいすけチャンネル」である。
いずれも子供のころに聞いた童謡が多くあり、動画というのも手伝ってテレビに映しておくと娘は関心を持って一緒に踊ることもしばしばだ。
もっとも、だいすけお兄さんのチャンネルではだいすけお兄さんの顔がでかでかと映るつくりになっており、男性に対する人見知りを覚えた娘は若干警戒気味であり、現時点で楽しめているのはシナぷしゅのほうのようだ。

ユーチューブということもあって勝手に童謡が流れ続けるわけだが、そのなかに「どんぐりころころ」という誰もが知る童謡がある。いまさらながらではあるが、歌詞を見てみよう。

どんぐりころころ どんぶりこ
お池にはまって さあ大変
どじょうが出て来て こんにちは
ぼっちゃん一緒に 遊びましょう

どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に 遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた

作業の傍らでふと歌詞に耳を傾けると、一つの事実に気づく。それは、どんぐりころころとは「どんぐり(より厳密にはオスのどんぐり)とどじょうの歌」だということだ。
小さなころの私はてっきり「ぼっちゃん一緒に遊びましょう」と言っていることもあって、人間のぼっちゃんが出てくるとばかり勝手に思い込んでいたのだが、「ぼっちゃん」とはあくまでオスのどんぐり(というかオスのどんぐりって何)のことなのだ。この歌はすなわち、どんぐりが木から落下して池に落ちたがそこで出会ったどじょうと遊ぶこととなり、しばらくして山が恋しくなってどんぐりが泣き出しどじょうが困惑する歌なのである。

小さいころ、童謡など大半はノリで歌っており歌詞に目もくれない。それだけに、私たちが成長して童謡の世界を離れていったとき、童謡から学び取ることなどすでになくなったかのように思い込む。
しかし、童謡という「音楽」に飽きがきて、音で楽しむのではなく言葉で楽しむような大人になってみてはじめて見える世界もある。改めて子供の世界を見たときに、「どんぐりころころ」よろしく、幼年期のちょっとした思い違いや、当時見落としていたものの存在に気づくことがあるのかもしれない。

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