五月の夜のバス停で
異国での一人旅。
見えない何かが私といると思っていた。
暗闇を街灯が照らす中、
おーい!何をしてるの?大丈夫?この辺は、危ないからね。
バスを待っているんです…でも、来ないような気がして…。
そうか、わしが路面電車の駅まで連れて行ってあげる。スーツケースを貸しな。
そこには、白髪、長髭、さっき家から出てきたような格好のおじいさん。
今日、シアトル行きの長距離バスを逃してしまったんです。
ただ怖さや不安から涙がでる。
心配しないで。時々、神様はちょっと意地悪するけど、泣かないで。
ほれ、電車が来た来た。
お姉さん。この子が、ちゃんとホステルに行けるように停まるところ教えてあげて。
おじいさんはそう言って、私が電車に乗り込むのを見ると手を振りながら去っていった。
私はぐしゃぐしゃな顔で、
ありがとう。
たくさんの感情が溢れていた。
あの時、ポートランドの夜のバス停で出会ったのは、目には見えない救い主だったのかもしれない。
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