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春告花

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菊崎知冬と桜井海音の話。小説家になろうやTwitterからの転載。出掛け先での体験をネタにしています。
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#春

〈春雪〉海音

 仕事が終わる頃に雨が降っていた。スマホを見てメッセージを確認する。
 明日は休日だ。それを把握している知冬に、一緒にご飯を食べようと誘われている。隣の街だが車で飛ばせば大した時間はかからない。ああだこうだ考える前に、気持ちは行くと決まっていた。
 行き当たりばったりな知冬だ。家まで行ってみれば何を食べたいか聞かれ、寒いし鍋がいいと言えばこれから材料を買いに行くと言われた。一人で買いに行かせるのも

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〈散歩〉知冬

「今日はマイペースに行こう」
「いつもマイペースだろ」
 いつもならいつどこへ遊びに行くと前もって決めるけれど、今日はたまたま僕と海音の暇が被ったので、ノープランで僕の家に来てもらった。
 とりあえずくつろいでもらおうと、お菓子とお茶を用意する。
「よいとまけか」
 海音が紅茶に口をつけながらお菓子を見た。僕が自分で食べようと思って買った、よいとまけのはんぶんこ。
「嫌いだった?」
「食ったことな

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〈海が見たい〉

 逃げ出したくてたまらなかったので、文字通り逃げ出した。
 もう何もかも嫌だ。いくら仕事をしてもボロクソに言われる。なんのために仕事してるのか分からない。いや、生きるためにお金が必要で、そのお金を稼ぐために仕事をしているはずなんだけど、その仕事が原因で死にたくなってきたとか、本末転倒というか。
 とにかくもう嫌で嫌で辛くて苦しくて一刻も早くこの場所から逃げ出したかったんだけど、臆病な僕は定時で無理

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