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kenohiと僕の1年間の軌跡 - 1人でカフェ開業してから1周年を迎えました -

・いつか、カフェや飲食店をやりたいと思っている人
・kenohiに興味がある人
そんなあなたにとっては、読んでいただく意味があるかもしれません。

僕は、東京の武蔵小山で小さな喫茶食堂 kenohi を一人で営んでいる
ひかると申します。

2019年4月10日にkenohiをオープンしてから、
あっという間に1年が経ちました。

記録として、この1年間の振り返りを書きたいと思います。

1.振り返って思うこと

いやもう、本当にあっという間でした。
壁を塗ったり、書類を書いたり提出したりしていたのが
はるか遠い昔のことのようです。

季節を1周する間に、本当に色々なことがありました。

・たくさんの方との出会いと別れ:転勤、引っ越し、進学...
・テレビ取材を受けた:緊張してご飯食べられなかった...
・忙しい日にキッチンで砂糖をぶちまけた
・暇な日は客席で本を2冊読破した
・レンタルなんもしない人 さんを呼んでみた
・アコースティックライブを実施した
・映画を上映した
・お店(空間)を人に貸してみた
・店内のノートに感動するようなコメントをいただいた...
・悲しいことも腹立たしいことも、ありました

やること、やったことも沢山ありました。
毎日の業務だけでも、これだけありました。

・食材や調味料、資材の買い物/発注
・経理
・問合せ、予約対応
・調理や盛り付け
・接客、会計
・清掃
・各SNSへの投稿
・飲食業界や社会情勢について情報収集

...

コツコツコツコツ...積み上げてきたんだなあ。

毎日決めたことを、同じことをやった。
そのうえで、思いついたことを、すぐにやってみた。
自分で変化を作った。

上手くいかなかったら、やめたり、変えたりした。

...

「誰かに頼れたらなあ」

そんな風に思うときもあったけど、
一人だから気楽だったし、柔軟だった。

「これはもう、明日でいいかなあ...」

自分に負けそうになる時、
自分しかいないという事実が、自分を律してくれた。

...

僕はそんなに強くないし、賢くもない。
kenohiの開店準備をしているときは、うつ病&不眠症だった。

浪人時代に必死に勉強に取り組んで分かったことは、
センター試験の点数はぐんぐん伸びるが、
二次試験の点数は1年間横ばいだった。

きちんと準備をしたこと、やったことのあること。
それしか僕はできないのだ。
でも、きちんと準備をすれば、できるということでもあった。

...

前職での仕事の華々しい実績もない。
いじめられっ子で、周りの目を気にしてきた。
プレッシャーに弱い。委縮する。
勉強でも部活でも、活躍したことがない。
突出したスキルや特性はない。

...

だからこそ、

できることを、きちんとやる。
やると決めたら、すぐにやる。

そんなことを大事にしてきた気がする。

たくさんの人の考え方や価値観を吸収して、
「たくさんの自分」を作った。

「今日も頑張ったね」
「あの時の言動は良くなかった」
「次はどうする?」
「長期的に見たらあのミスは大したことないし、むしろ今後の大事故を防げたよ」

自転車を漕いで帰る時間に
毎日いろんな自分と会話して、戒めたり励ました。

...

「結果」や「成果」ってなんなんだろう。

全国の誰もが知っているカフェ
雑誌に取り上げられる
いつもお客さんでいっぱいのカフェ

僕にとっては、どれも違う。

自分がやりたいことをやって、
ありのままの自分で生きること。

そうして1年間生き延びてこれたことが本当に嬉しい。

時々、たまたま、何かの奇跡で
たとえ、たった一人であっても

自分のためにやっていることが、
誰かのためになること。

そんな時、心がふるえる。

心が何度も何度も ふるえた
とても充実した最高の1年間だった。

...

僕がkenohiを作って、運営しているのではなく、
kenohiや、お客さんに僕が支えられて生きている。

最近は、そんな風に思う。

2.数字で振り返るkenohi

売上目標は決めなかった。
でも、ちゃんとお店を続けていくために
毎月最低限の数字は確認して、ぼんやり考察してきた。

のんびりまったり、kenohiを運営したいからこそ
ちゃんとすべきところは、する。

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○トータル収支:+630,372円
 ・売上:8,122,879円
 ・費用:7,492,507円
※初期費用は省略、また、些末な費用については記載しておりません。
※プレオープン日の4/6,4/7の売上含む
※便宜上、僕の給料を人件費として記載しております。

黒字で1年間を終えることができました。
(もちろん、初期費用含めると赤字ですが、健全に運営することができた。
と言えると思います。)

〇収支の推移

収支1年

青が売上、赤が費用、緑が収支です。

9月以降は黒字を継続することができています。
とはいえ、こうしてグラフを見ると
山あり谷ありで、まだまだ安定していないことがわかります。

理想としては、毎月60~70万円程の売上を出し、+5~10万円の利益を出して非常時(今のような)や、やりたいことができたときの資金として蓄えていきたいです。

逆に、70万円以上となると忙しくて疲れてしまうこともわかりました。
せかせかしたり、疲れてたりすると、
一番大事にしたい居心地の良さが崩れてしまう。

それでは継続が困難になるので、お金と体力と精神力と
バランスが取れるのが60~70万円だと感じました。


<店舗売上詳細>

○会計回数、客単価、客数
 ・店舗売上:7,691,455円
 ・客単価:1,196円
 ・客数 :6,432人 (ユニークではありません)
 ・会計回数:5,032回

客数を会計回数で割ると、約1.3人。上半期は約1.2人でした。
微増ではありますが、引き続き、お一人での利用客が多いです。

客単価は上半期の1,263円と比較して94%。あまり大きく変わっていません。
これ以上伸ばしたいとも思っていません。

しかし、客数こそ爆発的には伸ばしたくないので、
客単価は引き続きキープしていきたいです。

居心地の良い空間を崩さないこと、よりよくしていくこと。
これはブラしたくないです。

そのために、飲み物と一緒に頼みたくなるお菓子を作ったり、
単品で単価の高いお食事のクオリティを落とさないようにしたいです。

<時間帯別売上>

時間帯別1ねんb

(右端の%は売上に対する比率です)
夜は単価が高いことがわかります。
貸し切りやイベント実施によるものだと推測します。

午前中に伸びしろがあります。
席に余裕があって、ゆっくり過ごしていただける時間が
まだ午前中にはあるので、そこをどうしていくか。
この課題はオープン当初からありましたが、改善できていないところです。

朝の読書会のような企画をしたり、モーニングを充実させたり。
今の情勢だからこそ、できることもあるかもしれないので
少し考えてみます。

<曜日別売上>

曜日別1ねん

土日が合わせて44%。上半期集計時の46%とほぼ変動なし。
肌感としては、平日のお客さんが増えてきている実感はあるので、
半年後や1年後はどうなっているかなあ。
※火曜日定休日ですが、イレギュラーで対応した売上が入っています。

直近は土日休みに変更したので、変わってくるとは思います。

<部門別売上>

部門別1ねん

お菓子はテイクアウト以外は
単品売りしていない(食事か飲み物を最低1つは注文いただいている)
ということを踏まえると、

お菓子の販売数 ÷ (食べ物+飲み物+アルコールの販売数) =24%

おおよそこれくらいの方に、お菓子を注文していただいていると
推測するのは...安易か。。。

ただ、単価が上がっている要因の一つであるのは間違いありません。

お菓子はきまぐれで色々作っています。
少し疲弊して、同じものをグルグル回しがちになっていた最近。

初心にかえって、魅力的なお菓子の開発を続けていきたいです。

<商品別売上>

部門合算でtop10はこんな感じでした(上から販売点数順)
定食とブレンドがほぼ同数(1726,1612)で、頭一つ抜けていました。

1.kenohi定食
2.kenohiブレンド
3.自家製キーマカレー
4.カフェオレ
5.チャイ
6.エルダーフラワーコーディアル
7.パウンドケーキ
8.穀物カフェオレ
9.穀物コーヒー
10.フレンチトースト

<新規、既存の比率>

新規:39%
既存:61%
※入力抜け漏れを覗いた比率

kenohiのお客さんのうちどれくらいが、

・新規:初めてのご来店
・既存:2回目以降のご来店

かどうかは、非常に重要だと思っています。
どれくらいの比率が正解なのかはわかっていませんが...

・新規がたくさん:不安定。流行り廃りになるかも。
・既存がたくさん:安定...ともいえるが、既存が100%近くなると、ある意味崩れやすい。(リピーターさんだって、引っ越しでご来店いただけなくなったりする。少数に支えていただいていることになる。)

既存の方にリピートしていただけるように努めつつ、
新規の方も一定数増え続けている状態が理想だと思っています。

<流入経路(集客)>

有料の広告は一切使っていません。
流入経路は主に下記だと推測します(多い順)。

・近隣にお住い、通りがかって知った
・Instagramを見て知った(毎日投稿)
・知り合い、知り合いの知り合い
・Google mapで「カフェ」を探して
・写真展示による認知
・Twitterを見て(2020年始くらいから毎日投稿)

※instagramはフォロワー0から、1400人を最近突破しました。数字は重視していませんが。。

やってきたのは、毎営業必ず投稿すること。これだけです。
(Facebookも連携して、同内容が投稿されるようにしています)

ハッシュタグは特に分析、改善していません。
ただ、見てもらえる可能性が高いだけのタグ付け(カフェ、コーヒー等)
ではなくて、「武蔵小山カフェ」などの、
実際来てもらいやすい人に届きそうなタグをつけるようにしています。

ツイッターでの投稿も、2020年1月から始めました。

各SNSの特徴に合わせて投稿内容を変えたほうが良いのは良いでしょうが、
そこまではちょっと余裕がないので、

・使い慣れているSNSで見てもらえるように
・知ってもらえる場所を増やすために

そういう意図で複数のSNSで投稿しています。

3. やってみて...良かったこと、悪かったこと。

<良かったこと>
・お菓子を固定メニューにせず、気まぐれにしたこと。
・定食のお惣菜を固定にしなかったこと。
・定食以外の食事メニューを用意したこと。

・他店との差別化を意識したドリンクメニューにしたこと(穀物コーヒーやハーブコーディアル)
・珈琲は1種類にするかわりに、味にこだわったこと。

・壁面をギャラリーとして貸し出したこと。新しいお客さんに知ってもらうきっかけになったり、既存のお客さんを楽しませたりできていた。

・スマホ金庫(スマホを触らないように、しまっておけるハコ)を席に置いたこと。使用率は高くなくても、コンセプトに興味を持っていただく機会になっていた。

・ありのままの自分で接客したこと。これが一番。
 できるだけ猫かぶらない...。あとで、しんどくなるから。

・毎月収支の振り返りをしたこと。
 現状を把握することは、「わからない」「見えない」不安を和らげる。
 良し悪しの基準ができてきた。

・客数を急に増やすべく流行りに合わせたり、広告を出したりしなかったこと。焦らず、じっくり、リピーターさんを少しずつ少しずつ。それが良かったと思う。

・自分の想いを言葉にして、発信したこと。

・いろんな人と関わってきたこと。ホームページ制作、イベント、ワークショップ、ライブ...大変だったこともあったけど、大切な繋がりがたくさんできた。

<悪かったこと>

・無理せず休むべきタイミングで、休まなかったこと。
 (完璧にやろうとしすぎたときは、1度や2度ではない)

・日をまたいで残る日が多すぎた。
 およそ1日14時間くらいお店にいて、週休1日で。
 今は楽しいし元気だからいいけど...やっぱり健全ではない。

・言うべきことを、言えなかったときがあった。
 (やめてください、それはできません等)

・オンオフの切り替えができなかった。休みの日に休めていない。
 (結局kenohiに来ることもしばしば。休みの日の作業含めて成り立っているのであれば、「成り立っていない」)

・総じて、自分の体や自分の一番身近な周りの人を大切にできなかったこと。

4. これからについて

結局、「キャパシティ」は簡単に増えるものではなかった。
ただ、自分の生活や時間を、kenohiに全振りしたのがこの1年だった。

それで良かったこともあるし、悪かったこともある。
迷惑をかけた人も、たくさんいる。

社会情勢も鑑みて、以下に取り組んでいきます。

自分の生活を整えることを第一に
これからやることを変えていく。

・店舗営業:体力、時間、気持ちの余裕を作る
 - そのために、何かを捨てる
 - 営業時間の短縮、定休日を増やす
 - メニュー(仕込み)を減らす
 - 定食やお菓子を「一日限定〇食」という形に変える

・労働集約型以外の形で収益を作る
 - noteサークル
 - オンラインショップ
 - その他

新しい可能性が拓けるものは積極的に取り組む。
でも、コンセプトはブラさない。
焦らない。始めたことをやりっぱなしにしない。

具体的なことはまだ決まっていないことも多いですが、
時々このnoteを見返しながら、
kenohiをより良く、自分もより良くしていけたらいいな。

...

正直、ここまで無事にやってこれたのは「運」の占めるところが大きいと思っています。

たまたま、住宅街でやりたいと思っていた。
たまたま、kenohiに合うお客さんがそこにいらっしゃった。

合う合わないの部分は運ですが、
そもそも「らしさ」が確立できていなければ合う合わないすら生まれません。
そういう意味で、やれることはやったと思っています。

...

いま、色々と大変なときですが、
潜在的には、もともとありえたことが、顕在化した。

そんな風にとらえています。

できることはあるし、
戦うべきは、他人だったり世の中のせいにする自分自身。
弱音を吐いたって、愚痴を言ったって仕方ない。

環境的に本当にどうしようもなくなったときに、
ちゃんと諦めがつくように、それまでは自分に負けたくない。

...

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
(スキ!を押していただいたときのリアクションを変えてみました。
どうぞお試しください!)

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