残業マジック
月に1,2回あるかどうかの残業の日だった。
残業になるかどうかは、5時くらいに大体感覚的にわかる。
「あ〜〜これは残業だな〜〜」と思いながら5時半まではなんとかしようとするのだが、5時半を過ぎるとだいぶ諦める。
今日はそもそもの業務の進みが遅く、上手く連携も取れなかった。
そこに襲いかかるイレギュラー。
取引先との交渉で、先輩の凄さを思い知らされる。交渉を成立させるにはエビデンスが必要なんですね、私はまだまだです・・・となった今日。
そして迎えた定時。
もちろん仕事は終わっていないし、営業課の人から頼まれていた仕事の進捗状況を聞かれる電話。電話を取った先輩が「春川がやるって言ってました、帰るまでに送るそうです。」と伝えてくれた。
定時を過ぎると少し砕けた空気になって、話し方も少し砕ける。
その空気感が嫌いではない。
一つ上の先輩とあーだこうだ言いながら、今日は頑張った!と労いつつ少々ふざける。
そこに2階で働いている3年目の先輩がふらりと現れた。
「あれ?今日は残業なの?」と。
前に何人かでご飯に行った時に「僕はミスター定時」と言っていたあの先輩が!と驚いていると、今日は必須の会議だったから残っていたという。
なんというタイミングだろう。
ミスター定時というだけあって、業務時間中は全くと言っていいほど話さない。
私の部署の車の鍵は私たちの階にあるため、「車借ります」と言いに来る時もそれしか言わず、顔色一つ変えずにいる先輩。
そんな先輩がニコニコしながら私と先輩に話しかけてくれた。
それから駅に着いてホームで別れるまで話をした。
別れてから少しの間、フワフワした気持ちになった。
残業、という非日常がもたらしたマジック。
(Photo by shinobuwada、Thanks!)
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